タカタの「民事再生」と株式投資/誰でもわかる!企業破綻と投資の関係

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きょう26日、エアバッグ大規模リコール問題を受けタカタが「民事再生法手続き」を申請、これをうけ東京証券取引所では、タカタ株を「整理銘柄」として指定し、来月の上場廃止を決定しました。

さて、これに伴い、誰がいくらお金を払い、誰が受け取っているのでしょうか?
また、タカタ株や関連取引先の株価は、どのように影響を受けるのでしょうか?
本記事で、民事再生や投資家への影響について、タカタの例を軸に、かんたんにまとめます。

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タカタ破綻で動くお金のスケール

ブルームバーグ報道によれば、タカタのエアバッグ問題にまつわる全負債総額は、1兆70000万円と見込まれています。

なお、同報道によれば、この1兆7000億円という負債総額は、国内製造業の搭載規模でも最大といいます。
今回に次ぐ巨額負債は、2016年11月のパナソニックプラズマディスプレイの約5000億円ということで、タカタ問題における負債がとんでもない規模となっていることがわかります。

タカタ問題における負債の内訳

この1兆7000億円の負債の内訳としては、下記のようなものが含まれています。

  • ・自動車メーカーへの詐称報告罰金(数十億円
  • ・被害者への賠償金(百億円
  • ・取引先自動車メーカーへの補償基金(一千億円
  • ・リコール費用総額(1兆数千億円

こうしてみると、総額1兆7000億円のうち八割から九割程度は、リコール費用(1兆数千億円)であることがわかります。

といっても、リコール費用が天文学的に大きいというだけで、その他の詐称報告罰金(数十億)、被害者賠償金(百億円程度)、自動車メーカーへの補償(一千億円)の合計(1千数百億円)も、途方もない巨額に及んでいます。

つまり、あらゆる点で規格外の巨額負債が積み上がっている、ということです。

1兆7000億円を誰が負担するのか

この1兆7000億円を負担する者がだれかというと、当面はタカタだけではありません

タカタのエアバッグなどを載せた自動車を製造・販売していた、ホンダやトヨタといった自動車メーカーが、一時的に肩代わりして払ってくれています。

タカタ連結15社(本社+国内子会社2社+海外子会社12社)と他自動車メーカーで分けると、負債負担の内訳は次のようになります。

  • ・タカタ連結:4000億円弱(各種補償など)
  • ・自動車各社:1兆3000億円(リコール費用)

つまり、タカタのかかえた最も大きな負債であるリコール費用の部分は、ほとんど自動車各社が建て替えてくれているわけです。

といっても、建て替えているだけなので、最終的な支払責任はタカタが有しています
一方、ホンダやトヨタは、今回の建て替えで、タカタに対する求償権(お金を請求する権利)を持つことになったわけです。

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タカタは民事再生したらどうなるのか

タカタの負債と(以前の)年間純利益

1兆7000億円の負債に対し、タカタの年間純利益はざっくり100億円程度です。

タカタが、この利益から単純に支払っていくとしたら、完済までにかかる期間は、170年ほどです。

もちろん、タカタが資本を精算してお金を作り、また自動車各社が負担を肩代わりしてくれれば、負債はもっと減るでしょう。
それでも、仮にリコール費用が7000億円残ったとしたら、完済までは純利益換算で70年もの期間がかかります。

タカタは「民事再生(=再建型)」という方法を選んだ

このような状況を受け、タカタは民事再生という方法での精算を選びました。しかし民事再生とは何でしょうか?

これは、企業が経営破綻(=倒産)したときにとる、二つの処理方法のうちの一つです。
二つの処理方法とは、その企業が借金を払えなくなった(=債務超過した)ときに、会社をなくすか、それとも存続させるか、のどちらかです。

債務超過したとき、精算して会社をなくしてしまうことを「精算型」の経営破綻といいます。ひらたくいえば「破産」です。

あるいは、精算しても会社を存続させることを「再建型」の経営破綻といいます。今回タカタが選んだ民事再生は、こちらの再建型に含まれます。
タカタは、民事再生をしたことで、全ての株式や資産を現金化し、それによって負債返済にあてたのち、また今後も経営を続けることで、負債を返済し続けるのです。

タカタが「民事再生」でなければならなかった理由

なぜタカタは、破産(精算型)ではなく民事再生(再建型)を選んだのでしょうか?

それは、タカタが破産してしまうと、ほかの関連取引先企業に対する影響があまりに大きいことになるからです。

タカタが破産(精算型)してなくなってしまったら、タカタが負うべき債務が、今度は各自動車メーカーに降り掛かってきます。自動車メーカーにしてみれば、今後長期にわたってもいいから、タカタが存続して返済を続けてくれたほうが都合がいいのです。

また、タカタが破産してしまうと、タカタがこれまで製造してきたエアバッグ(あるいはその他の自動車セキュリティ部品)が供給されなくなります。
自動車はタカタ製品に合わせて設計されているため、かんたんに他社製品に乗り換えることなどできないため、自動車メーカーにとっては、タカタが存続して部品を供給してくれるほうが都合がいいのです。

自動車メーカーは、主にこうした理由から、タカタの負債を肩代わりし、タカタが破産しないよう手を貸しています。

また、米自動車部品メーカーのKSS(キー・セイフティ・システムズ)が出資者(=スポンサー)としてタカタを支えると申し出たことも、もちろん存続の大きな理由です。
この事業譲渡金は1,750億円にのぼるといいます。

これによって従業員の雇用は維持されるうえ、KSSとタカタを連結した従業員60,000人もの巨大自動車安全部品会社が生まれることにもなります。

タカタ破綻と、投資家や市場への影響

タカタ「100%減資」の意味は?

タカタは債務超過により「100%減資」すると報じられています。これはどういう意味でしょうか。

100%減資とは、下記の手順を踏むための過程のことです。

  1. 既存株式を消滅させる(=100%減資
  2. 資本金を精算し、負債支払いに当てる
  3. 新規株式を発行する(=新たに出資者を募る)

このとき、既存株式を保有する株主(既存株主)の権利を消滅させることになります。つまり、経営から既存株主を「強制退出」させる、ということです。

既存株主は、これまでの(破綻にいたった)既存経営体制に対する責任を負っているのであるから、その責任を果たしてもらう、といった意味合いが、この既存株主権利の消滅には含まれています。

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タカタあk部はどうなる?

また、タカタが民事再生法の適用申請を行ったことで、東証はタカタ株を「整理銘柄指定」にした、といいます。
こちらはどういうことでしょうか?

整理銘柄指定とは、市場が投資家などに対して「この銘柄はいずれ上場廃止する銘柄(=整理銘柄)だから、気をつけてね」と周知するためフラグを付けた、ということです。

整理銘柄である期間(=整理銘柄フラグ付きで市場取引される期間)は1ヶ月です。
そして、1ヶ月たったら、その銘柄は上場廃止されます。

今回のタカタ株のケースでも、6月26日に民事再生法適用の受理があり、それから1ヶ月後の7月27日に上場廃止することが決まりました。それまでの1ヶ月間、タカタは「整理銘柄」フラグ付きで市場に並ぶことになります。

整理銘柄指定された株式銘柄は、当然暴落します
上場廃止されるまでの1ヶ月間は市場で普通に取引できますが、数百円~数千円の銘柄であっても、整理銘柄指定されたとたん10円や50円にまで値下がりすることは珍しくありません。

そうなると、これら暴落株の取引は、投資家というよりも投機家の領域になります。
一瞬で10円が50円(=5倍)になったり、20円が10円(=半値)になったりすることがあるためです。一般的な個人投資家にはあまりにリスクが高い状況と言えます。

既存株主(=タカタ既存株保有者)はどうすればよいか

そのため一般的には、今のタカタ株のような整理銘柄をすでに保有している人(=既存株主)は、できるだけ早く売り払うのが推奨されます。

というのも、時間の経過とともに値段は落ちていく一方だし、1ヶ月経ったら上場廃止で市場では取引できなくなるからです。

僅かな値動き(10円から20円…)があるにせよ、それに機敏に反応できる一般投資家は、多くないでしょう。

市場やその他投資家への、影響と対策

では、タカタ株(もしくは同様の整理銘柄)を保有していない、その他の一般的な個人投資家は、どうふるまえばよいのでしょうか?

日本株価は「折り込み済み」で悪影響少なく

タカタ破綻が連日大きなニュースとなっているにもかかわらず、このところの日経平均の動きは、特別乱高下しているというわけではありません。

大きな報道の続いた本日ですら、日経平均株価6月26日終値は20,153.35円で前週末比+20円(0.1%)、底堅く悪影響は目立っていません

これは、タカタ破綻がずっと前から折り込み済みであったためです。

今回具体的な情報が明らかになったとはいえ、タカタ破綻にまつわる負債超過は周知であるほか、負債を肩代わりする自動車メーカー各社も、すでに損失(=貸倒引当金といいます)として業績に計上済みであり、トヨタ含む日経平均業種別の自動車も-0.1%の下落に留まっています。

代替メーカー銘柄上昇も

一方、整理銘柄の代替メーカーの株式が上がるケースがあります。

例えば今回なら、タカタのかわりに自動車安全部品を供給できると目される流れから、やはりエアバッグなど製造の日本プラストが、このところ株価上昇傾向にあります。

日本プラストは、数年前のタカタエアバッグ不具合問題表出から、ときに応じ高騰が起こっています。

昨年と比較するなら、16年6月末の834円から本日6月26日終値は1,265円(+51.6%)と高値につけています。

民事再生銘柄と個別銘柄、インデックス

個別銘柄という観点では、タカタの民事再生に伴い、注目すべきポイントが随所に見られます。
当のタカタ株はもちろん、代替メーカーは上下動激しく、また関連自動車各社はむしろ堅調など、個別の判断が必要になってくるでしょう。

一方、日経平均株価のほうは今日も底堅く、これだけの巨額負債が発生してもマクロでは折り込み済みの状況が見て取れます。

乱高下する銘柄に注意を取られず、インデックス投資は手堅く長期的に行っていくことをおすすめします。

 

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