週明けのドル円:中長期的なドル高観測と「3つ」の重荷

10月第二週のドル円相場では、FRB要人発言や米雇用統計を材料視しつつじり高の展開が続いた。週明けは日銀の円買い介入を意識しつつ底堅い展開となる可能性がある。

なお先週配信のFX有料レポートでは、FRB関係者からのタカ派発言観測を背景とした円安予想などを掲載し、これらが的中。

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中長期的なドル高観測と「3つ」の重荷

市場は今後の米金融政策方針のゆくえに神経を尖らせている。端的に言えば、FRBがハイペースな利上げを続けるのか、その手綱を緩めるのか、どちらに進むかを見極めたいというのが市場参加者の関心事である。

その予想材料として注目を集めたのが、10月第二週に発表の米雇用統計、そしてその前哨戦である米JOLT求人件数や米新規失業保険申請件数といった、雇用関連の経済指標だ。結果として弱い数字のものが散見されることになり、市場ではFRBの積極的な利上げ観測が後退したとの見方も出た。しかしその一方でFRB関係者らは、市場の楽観を許さぬとでも言うように、かたくななタカ派発言を繰り返した。これにより結局市場は緊張を解くことができない状況にある。

とくに端的だったのが、米アトランタ連銀ボスティック総裁の「23年利下げ観測の存在は承知済みだが、早まるな。金融緩和への方針変更など論外だ」という発言だ。要は、足下の雇用関連統計が下振れようとも、FRBはそれをあくまで短期的指標として扱い「確実なインフレピークアウトとはみなさない」というメッセージだろう。

こうしたなか市場関係者からは、ドル円はいぜん中長期的な上昇トレンド(ドル買い円売り)のただなかにある、との見方が改めて出てきている。市場の一角からは、次の大きな節目である150円を達成してもなお上値余地がある、とする声もある。

ただ問題は、上昇トレンドの途上にあることが事実であったにせよ、その途中で生じる調整安の場面がどの程度の期間、どの程度の振り幅になるのか、という点だ。そのきっかけとして、一つには米経済指標のふらつき、また一つには日銀による円買い介入、さらには米中間選挙を控える現米政権の旗の振り方も意識される。

今後の米指標が顕著に悪化すればFRBの利上げ観測後退に繋がり、これはドル売りの口実になる。また先日のレート急落をもたらした日銀の円買い介入も、まだまだ残弾が残っているとの見方が強い。加えて、現在のバイデン政権が11月の米中間選挙を意識し、足下で続く強い雇用情勢を正当化する可能性もある。FRBは物価上昇要因となる強い雇用情勢を冷やそうとしているが、そうなると米有権者には痛みが生じるから、バイデンは中間選挙での支持取り付けのため、逆に強い雇用情勢を維持しようとつとめるのではないか、という見方だ。

ひとまず来週は米9月PPIやCPI、小売売上高といった重要指標が発表となる。FOMC議事要旨公開は従来路線の反復となりそうなものの、こちらも重要イベントには変わりない。これらに振らされつつ仮に146円台といった水準が視野に入った場合、まずは日銀介入の可能性、また中間選挙を前にしたバイデン政権の動きが重荷となろう。
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