トルコリラ大上昇!を予想する2つの理由/利率17.75%の高スワップ通貨運用法

リーマンショック以降つづく長い下落相場にありながらも、今後の経済成長への期待から高い注目を集める新興国通貨が、トルコリラです。

この2018年、リラの金利は、なんと以前の二倍以上まで跳ね上がりました。このことから、スワップポイント狙いの長期筋もどんどん参入しています。

こうして大きな期待を受けているトルコリラの、今後のトレンドを予測する場合、根拠となる大きなポイントが、大きく2つあります。

それらを解説し、今後のトルコリラ予想と、おすすめの取引方法について説明します。

※7月2日更新

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年利17.75%!の高スワップ通貨、トルコリラ

高スワップ通貨(スワップポイントの高い通貨)の筆頭であるトルコリラは、この5月から6月の政策金利引き上げにより、金利8%から金利17.75%という高い水準へ急激に伸び、人気が高まっています。

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この急激な金利上昇により、トルコリラにはさらなる資金が集まり始めています。

なにしろ、金利17.75%といったら、100万円預金すれば年利17万7500円が手に入るということです。

日本円の金利が0.01%あるいはそれ以下のレベルで、100万円預けても100円以下の利息しか生み出せないことを考えると、大きく隔たったパフォーマンスと言えます。

今後トルコリラは40円まで上がる

トルコリラ円は現在24円手前で推移していますが、長期的には40円あたりまでの上昇が見込まれています。

トルコリラは、リーマンショックの影響が出た2009年から現在まで、緩やかに減価を続けてきました。

2009年には90円超の水準だったのが、現在は23-24円周辺ですから、60%も下落したということになります。

しかし、この2018年6月を境に、ようやく底打ちの見通しも聞こえるようになりました。そして長期的には、現在の2倍近い40円台まで戻す、という説が聞かれます。

こう予想する理由は、大きく2つです。

1. 経済成長への期待
2. 利上げ進展

この2つについて、次にわかりやすく説明します。

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1. 経済成長の可能性がきわめて高い

トルコは、今後の経済成長期待がきわめて高い国です。

交易上の要衝に位置する

多くの日本人にとってほとんど馴染みのないこの国トルコですが、世界史を習っていたなら、トルコの首都「イスタンブール」の名前は何度も聞いたことがあるでしょう。

イスタンブールは、かつての大帝国であるオスマン帝国、あるいは東ローマ帝国の首都でもあり、ヨーロッパと中東の境目という重要な場所に位置する、いわば要衝都市です。

人口ボーナス期に飛び込むトルコ

また、トルコの労働人口は約3000万人であり、これはヨーロッパで第三位という規模です。若年層によって構成されるこの豊富な労働力は、近隣他国を引き離して、トルコを労働力大国としています。

しかも、若年人口は今後も増加の見通しです。つまり、トルコはこれから、高度経済成長が起きやすい「人口ボーナス期」に入ることになります。この面だけでも経済成長はほぼ確実と言えるでしょう。

このように、地理的には交易上の要衝に位置し、かつ大きな労働力を抱えるトルコは、さらなる労働人口増加(人口ボーナス期)や海外企業の積極的な誘致などにより、長期的には経済成長がほぼ間違いないと考えられているのです。

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2. 高インフレ対策としての利上げの進展

冒頭で述べたように、トルコは2018年5月から6月にかけて、大胆な利上げ(政策金利引き上げ)を行いました。これは、トルコの経済成長に対する懸念を払拭する要素となりえます。

金利が8%から17.75%に引き上げ

今年トルコが行った利上げを少し詳しく見てみましょう。

以前は8%という水準だった金利を、5月末にまず16.5%に引き上げます。

既に2倍以上の金利となっていたところで、6月頭にはさらに金利を引き上げ、現在の政策金利は17.75%に達しています。

トルコ中銀は、なぜこのような大胆な金融政策に踏み込んだのでしょうか?

その理由は、トルコを悩ませる高いインフレ率対策のためです。

インフレ対策の利上げ vs エルドアンの意図する利下げ

トルコは長らく、高すぎるインフレ率(物価上昇率)に苦しんでいます。新興国という点を踏まえても高すぎる、と言われるトルコの高インフレ=物価上昇を抑え込むには、政策金利の引き上げ、つまり金融引き締めによって市中のお金の流通量を制限する、のが効果的と考えられるのです。

しかし、トルコで独裁体制をしくエルドアン大統領は、トルコ中銀に対し利下げ圧力をかけていたということが知られています。中銀の意図とは真逆の方向をとろうとしていた理由は、エルドアン大統領が国内景気の高揚を図り、支持率を集めようとしているためです。

エルドアン大統領の思惑通り利下げが起きれば、お金の流通量が多くなりトルコ国内の景気は(一時的にせよ)高揚するでしょう。しかし、多く出回りすぎたお金の価値は下がり、さらなる物価上昇、つまりインフレの加速につながるでしょう。

トルコ中銀が利上げを決断した

このように、利上げを行いたいトルコ中銀と、利下げしたいエルドアン大統領の思惑が、綱引きを行っていたところ、ついにトルコ中銀が、エルドアン大統領の圧力に屈せず、利上げを決行したのです。

これは、短期的にトルコリラの上昇に寄与したのと同時に、現在エルドアンの影響力が弱まったことの証左ともなりました。

エルドアンの権力に屈せずに、正常と思われる金融政策が行われれば、トルコリラの価値は今後長期的には上がっていくと期待できます。

利上げに兆した金融正常化への道

近く6月24日には、トルコは大統領選を迎えます。この時点ではエルドアン大統領の再選可能性は高いと見られていますが、今回のトルコ中銀の利上げは、今後のエルドアン大統領独裁による悪影響をくつがえす兆しとも読み取れます。

こうなると、中長期的には、いずれ正常な金融政策が取られるようになり、高インフレ対策が進むことで、トルコがもともと持つ経済成長力を後押しするのではないか、という見通しが強まります。

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地政学的リスクはリラ上伸を妨げない

リラ上伸の理由として、経済成長がほぼ約束されていること、そして金融政策が正常化しつつあることを根拠に説明しました。

しかし一方で、トルコリラはリスク資産として認識されており、リスクオフ相場では大きく資金が流出します。トルコ国内、もしくは国外の地政学的リスクが高まった際、トルコリラ上伸のシナリオが崩れることはないのでしょうか。

答えは、そうしたリスク局面を経てもなおトルコリラは上昇していく、と考えられます。なぜなら、地政学的スクから悪影響を受けても、それを跳ね返せるほどに、トルコリラの経済成長余力は強いと考えられるからです。

目についていたリスクは改善しつつある

これまで説明したこと(エルドアン独裁、インフレ)以外で、トルコリラの重しになる要因は、国内なら民族紛争に端を発するテロの頻発、国外であれば、やはり民族紛争から派生したアメリカや欧州との関係悪化が挙げられます。これらはトルコの経済成長にどれだけ悪影響を与えるのでしょうか?

国内治安改善

まず国内テロについては、2015年末に首都アンカラでトルコ史上最悪のテロが起こり、それ以降混乱に拍車がかかっていました。
しかしその後、現在(2018年6月)にいたるまでに、トルコの治安はかなり回復したとの情報があります。

いぜん、シリアと近接した地域については、日本外務省などから退避勧告が出ていますが、少なくとも大規模なテロはこの1年間で激減したもようです。

対米・対欧関係の下げ止まり

もうひとつ、欧米との関係悪化について見てみると、例えば対米では互いに一時ビザ発行を停止するまでに関係が悪化したり、欧州も、トルコからの難民増加に対する懸念のほか、エルドアン政権の人権弾圧が原因でトルコへ欧州連合が経済制裁を加えたりと、大きな悪材料がこれまでにいくつも現れました。

しかし、対米関係はそれ以後かなり改善しており、すでにビザ発行停止は解除済み、また先日の6月10日には、トルコとアメリカとの間で、トルコ国内のIS(イスラミックステート)掃討作戦などにおいて、トルコ・米国間で軍事協力が行われると発表されています。

欧州についても、難民流出数はかなり減少したとされ、また経済制裁も比較的ゆるやかなレベルにとどまっており、目先の見通しは改善してきています。

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高スワップ期待や時間の分散がポイント

このように、中長期的には強い経済成長が見込まれるうえ、諸環境も次第に改善しつつあるトルコリラですが、資金を投入する場合は、あくまで中長期的な視野を持つ必要があります。

長期筋はすでにポジションを入れている

すでにリラ買いに入っている長期投資家も少なくなく、目先の経済イベントや地政学的リスクの高まりにも、長期筋から大きな動きは出なそうです。

現在17.75%の超高金利であるため、保有しているだけでも大きなスワップポイントが手に入ります。その額は、たとえこの先1年でトルコリラ円が2-3円値下がりしたとしても、スワップポイントでトントンになるほどです。

今後さらに大きく下がる可能性も否定できませんが、利息に期待しつつの長期運用なら、トルコリラ円には適しているでしょう。

短期筋は対米関係にアンテナを

一方の短期筋は、既に利上げは行われており、今後の利上げもありうるものの、それよりも対外関係、とくに対米関係に気を配るのが、目先のポイントでしょう。

なお、到達間近とされた24円から現在はさらに下放れ(6月21日現在)し、まだ底は見えない状況ですが、安易に大きな売りポジションを持たないよう、大きなレバレッジを控えた取引が肝心になります。

おすすめ投資法はドルコスト平均法

今後も短期的な価格変動は大きいと見られますが、それを逆手にとるならば、大口の注文を入れず、細かく取引単位をわけて買っていくドルコスト平均法で長期運用を行うのが、いま最もおすすめのトルコリラ運用法と言えます。

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更新:大統領選結果と今後のトルコリラ予想

先日の6月24日、ビッグイベントであったトルコ大統領選が行われました。

最も注目されていたのは、与党大統領であったエルドアン大統領と共和連合が再選するかどうかですが、9割の開票を終えた25日未明、エルドアン陣営は過半数得票による勝利宣言を発し、発表上はエルドアン陣営の圧勝という結果に終わりました。

一時的には上昇しているが…

この結果を受けた直後、トルコリラ相場は大幅な上昇という反応を示しました。

開票前の23円台前半のレンジから、勝利宣言のあった日本時間25日7:00には、高値23.865円まで上昇、ほぼ瞬間的に2%ほど上げたことになります。

しかしその1時間ほど後、再び23.5円のレンジまで急落、さらにその後(25日14時現在)には23.7円あたりまで再上昇と、短時間で思惑が交錯する神経質な展開を見せています。

トルコリラ予想:不安定な相場ののち上昇トレンドへ移行する

当ブログでは、エルドアン再選の場合はトルコリラが下落する予想をたてていました。

現在もそれは変わらず、いま見られる瞬間的な激しい騰落ののち、しばらくは下落すると見ています。

しかし、選挙の影響が一段落すると、長期的な上昇トレンドへ移行するでしょう。

時系列で並べると、次のような流れとなると予想します。

①エルドアン再選後、瞬間的に上昇
②その後しばらく下落相場に入る
③大統領選の影響が薄れ上昇トレンドに移行

それぞれのフェーズを解説します。

一瞬上昇、から下落相場へ

エルドアンの勝利により、野党勢力による新政権擁立という、目に見えないリスクを孕んだ状況は実現せず、トルコは現状維持ともいうべき方向に向かいました。

これが ①一時的にせよ好感されトルコリラ上昇 につながったと言えます。

しかし、今回の勝利の影に不正(選挙結果改ざん)の噂が早くも出ているように、エルドアン独裁政権の懸念要素が再び表面化してくると思われ、トルコリラは ②これからしばらくは下落相場に入る と見ています。

長期的な経済成長・トルコリラ上昇のシナリオは変わらず

そして、この ③大統領選の影響が薄れたころ、再びトルコリラは上昇トレンドに向かう と考えられます。

というのも、先に述べたとおり、人口ボーナス期を迎えるトルコの経済成長の勢いは、エルドアン政権による負の影響をも飲み込んで行くと考えられるためです。

高レバレッジは避け、慎重に買い場を探ろう

しばらくは、エルドアン大統領周辺の動向が注目される神経質な展開が続くと考えています。

そのため安易に高いレバレッジのポジションを持つのは避けたほうが懸命でしょう。

あるいは、長期的な視野に基づくならば、この先しばらくの間で買い場を探ることもできるでしょう。

※6月27日:エルドアン当選後のトルコリラ為替レートの動きについて解説記事を公開 →トルコ大統領選でエルドアン圧勝、トルコリラ予想はどうなる?

 

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