トランプ氏が大統領選に勝利して、当初は円高になるとの想定から逆に動き円安になっています。
ドル円為替相場は、今後どうなるのか検証してみましょう。
このページの目次
UPDATE 2018年のトランプ大統領とドル円為替の動き
2018年は、大きなドル円為替の流れとして、1月から3月までは円高傾向で、その後4月から7月半ばまでは円安傾向で、7月半ばから8月までは円高傾向となっています。
ドル円為替の変動要因としては、トランプ大統領の貿易政策で中国への関税をかけるという米中貿易摩擦が大きく影響を与えています。
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大統領選はバイデン優位!今日のドル円重要材料と、高値安値メドは?
2018年のドル円為替の動き
○2018年8月までのドル円為替チャート
★各月のドル円為替の円安円高要因
1月
・円高
日銀長期債買い入れオペ減額通告報道
中国米国債買い入れ縮小報道
ムニューシン財務長官ドル安容認発言
2月
・円高
世界同時株安(NYダウ暴落)
3月
・円高
FOMC利上げ
対中貿易関税発動報道
・円安
北朝鮮リスク後退
米GDP予想上振れ
4月
・円安
米中貿易摩擦懸念後退
米長期金利上昇
5月
・円安
米長期金利3%超え
・円高
米朝首脳会談延期報道
6月
・円安
米朝首脳会談
FOMC利上げペース拡大
・円高
対中貿易追加関税
7月
・円安
資源国通貨安によるドル高
日銀金融決定会合の緩和継続
・円高
トランプ大統領のドル安発言
8月
・円高
米中貿易摩擦懸念
トルコリラショック
2018年は、ドル円為替の大きな要因として4つ挙げられます。
1~3にトランプ大統領が絡んでくるので、トランプ大統領中心にドル円為替が動いていると言っても過言ではありません。
米中貿易摩擦は、トランプ大統領が中国の輸入品に関税をかけると言ったことから始まり、中国の報復関税やさらに中国への追加関税など貿易戦争となり、景気減速への懸念を伴って、くすぶり続けています。
8月に米中貿易協議が持たれることとなり、沈静化が期待されています。
今後も米中貿易摩擦懸念は、ドル円為替の要因となっています。
北朝鮮情勢は、初の米朝首脳会談までは、リスクとして認識されてましたが、米朝首脳会談が決まると北朝鮮リスクが後退して円安ドル高を招きました。
この問題は一旦沈静化して、今後は、北朝鮮の核兵器の廃棄などの話題が出なければ、ドル円為替の要因となりづらいと思われます。
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トランプが支持率追い上げ、今日のドル円重要材料と、高値安値メドは?
トランプ大統領のドル安発言は、ドルが高くなったタイミングでたびたび口先介入をしてきていますが、そのたびにドル円為替は円高ドル安に触れています。
今の円高傾向も7月のトランプ大統領のドル安容認発言をきっかけに円高傾向となりました。
今後もドル高が進んだタイミングでトランプ大統領のドル安容認発言が出てくるものと思われます。
米国の利上げは、3月、6月と2回上昇していて、その間に米長期金利が3%を超え、円安要因となっています。
2018年は年4回利上げ予定ですので、9月のFOMCと12月のFOMCで利上げがあると思われます。
その際に米長期金利が上昇すると円安傾向になると思われます。
2018年9月以降の今後のドル円為替の動き
2018年の9月以降のドル円為替の動きは、大きなイベントとして、利上げと米中間選挙があります。
利上げは、9月と12月に行われると予想されており、過去の利上げ前後のドル円為替の動きは、利上げまでは円安傾向、その後は円高傾向となる場合が多く見られます。
9月末までは、円安傾向になり、その後は10月初旬までは円高傾向になると思われます。
2018年の今後のドル円為替への大きな影響を与えそうなイベントが「米国中間選挙」です。
米国中間選挙は、11月6日に行われて、上院の1/3と下院の全議席が改選します。
近年の中間選挙は、大統領の与党側が議席を減らすことが多いのですが、今回の前評判では、トランプ大統領の共和党が勝つのではと思われておりますので、今までと違う結果になり、ドル円為替へも円高円安どちらに影響が出るのかが流動的となっております。
政権運営がやりやすくなるという意味では、ドル高になりやすく、円安に影響が出るのはないかと思われます。
なぜトランプ氏勝利で円安になっているのか?
トランプ氏の大幅な財政出動をするという政策をうけ、インフレ期待が高まり、長期利回りの上昇につれてドル高円安になっています。
トランプ氏の政策で財政出動でインフラ投資をすると言うものがあり、それを行うことで雇用が増え賃金が上がり、インフレが進むのではないかということと強硬なトランプ氏の政策は議会によって食い止められ、マイルドな政策になるという良いとこどりの期待を市場が抱いているようで、トランプ氏の良い面が強調され、アメリカ経済にプラスになると判断され、ドルが買われています。
現在のドル円為替相場は、米国10年国債利回り(米国長期金利)との相関が高まっており、米国10年国債の利回りが上昇すると円安になり、下落すると円高になるという形になっています。
○直近1か月の米国10年国債利回りとドル円為替チャート(11月17日時点)
11月9日から米10年国債の利回りが上昇して、つられて、ドル円為替もドルが上昇しています。
米10年国債利回りは、1日の中でも細かく上下していますが、この上下にも為替が反応して、ドル円為替が上下している状況です。
9日間で9円円安になる異常な上昇になっていますが、アメリカ当局からは、ドル高のけん制発言が出ませんので、ドル高状態がずっと続いています。
今後、どこかのタイミングでドル高牽制発言がトランプ氏か側近、もしくはFRB関係者から出てくるものと予想されますので、その時は短期的には円高になると思われます。
トランプ大統領体制の今後の為替動向
現在は、円安株高が進み、ついにドル円為替は110円を突破(11月18日時点)しました。
現在は、為替は円安に進んでいますが、今後、為替がさらに円安になる場合と反転して為替が円高になる場合を考えてみましょう。
※2017年4月18日現在は、最高値は、118.6円と12月と2017年1月3日に付けました。現時点では円高傾向で一時108円台になりました。
トランプ大統領で円安になるパターン
トランプ大統領の体制で円安になるパターンは、財政出動が成功して、インフレ率が上がり、その他の経済政策も成功して、アメリカの景気が回復する場合です。
財政出動によって政府の赤字は膨らみますが、アメリカ経済が好調を維持するとすれば、問題視されにくく、順調に金利も上がっていき、日米金利差が開き円安になっていきます。
金利の上げ方も急激に上げるのではなくゆっくりあげることでインフレを抑制しつつ、経済を冷まさないように慎重に利上げする必要があります。
財政出動と経済政策と利上げのスピードの3つがそろった時に円安に向かっていきます。
その場合は、2015年高値の125円近辺まで上昇する可能性があります。
トランプ大統領で円高になる場合
トランプ大統領の体制で円高になる場合は、急激な利上げのしすぎや経済対策の失敗などでアメリカ経済が減速する場合とヨーロッパや中国が発信源となった世界経済危機の場合です。
トランプ氏の政策が失敗した場合は、政府の財政赤字だけが大きく増えて、アメリカ経済が失速して、景気後退期がやってきます。
その場合は、前回のリーマンショックの時のように株価が暴落して、ドル円は円高になります。
トランプ氏の経済政策自体はうまくいっても、ヨーロッパのEU離脱騒動や中国の不動産バブル崩壊など、外的要因によって、経済が失速して景気後退期が来る場合も円高になります。
記憶に新しいと思いますが、2016年1月から2月にかけての中国の大暴落と原油安による暴落で株価は下がり、ドル円は2015年年末は120円水準だったものが6月には100円まで円高になっています。
トランプ大統領とドル円相場 まとめ
短期的には、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げはあると思われますので、就任する1月までは、政策期待と日米金利差で円安を維持すると思われます。
中期的には、2017年前半は、財政出動の効果でアメリカ経済も好調を維持し、緩やかな円安が続くと予想しています。
2017年前半にドル円為替は天井を付けて、2017年後半には、調整局面に入り、実際にトランプ氏の経済政策が効果があったかの判断を迫られると思われます。
2017年は、ヨーロッパで国政選挙が多くの国で行われるので、その結果次第では、景気後退期がやってきて、円高になっていくと思われます。
長期的には、トランプ氏の政策は、保護貿易主義でアメリカの経済へ悪影響を与える可能性が高く、ドル売りが多くなり円高に向かっていくと思われます。
景気後退期に入った場合は、アメリカ経済が失速して、円高が加速して90円を切る円高になると思われます。
ここまで書いておいてなんですが、トランプ氏の場合、何が起きるかわからないことが一番のリスクですので、予想通りいかないというのが当たり前で、予想だにしない展開になる可能性が一番高いのではないかと思われます。
UPDATE 2017年4月までのトランプ大統領とドル円為替の動き
昨年の11月に記事を書いてから時間がたち、ある程度、トランプ政権の元、ドル円為替が動きましたので、今までドル円為替の動きをまとめてみます。
○2017年4月までのドル円為替のチャート
2017年1月3日の118.6円を頂点に下落傾向になっています。
2016年値末までは、順調に上昇していたドル円為替ですが、2017年になってからは、トランプ大統領の就任式まで下落傾向になり113円台まで下落しました。
これは、トランプ大統領の記者会見などで具体的な話が出ずにトランプラリーへの期待が薄れてきたからだと思われます。
その後、2月から3月中旬までレンジ相場となり、112円~115円の間で動いていました。
この間は、トランプ大統領が大統領令を多く出している時期で、その内容でドル円為替上下に動いていたものと思われます。
インフラ投資の大統領令にはドル高で反応し、移民の入国厳格化の大統領令にはドル安になるなど、トランプ政策に一喜一憂していた時期です。
3月のFOMCの利上げから、円高傾向になりました。
これは、事前の市場期待で利上げペースが年3回より多く4回になるのではと予想されていましたが、実際に利上げされた時の資料では、年3回が適当となっていて、市場期待を下回ったことで円高ドル安を招いています。
その後、4月に入り、シリアミサイル攻撃や北朝鮮有事の地政学的リスクが高まり、トランプ大統領のドル高牽制発言も出て、一時108円台まで下落しました。
4月18日時点では、109円台まで戻ってきています。
地政学的リスクとフランス大統領選挙が4月23日に控えていることから、しばらくは円高傾向のままだと思われます。
5月以降に政治イベントがひと段落付き、地政学的リスクも後退すると円安傾向になってくると思います。
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