2024年7月31日、日銀金融政策決定会合で0.25%程度の追加利上げが決定しました。
利上げとは何か?利上げがあると私達の生活にどのような影響があるのか、わかりやすく解説します。
このページの目次
利上げとは何か?
利上げとは中央銀行が行う金融政策で、政策金利を引き上げることを指します。
日本の中央銀行は日本銀行(日銀)でアメリカはFRB(連邦準備制度理事会)です。
金利とは、お金を借りた際に借り手から貸し手に支払われる利息の割合を示すものです。
経済全体の景気や物価の安定を図る目的で、中央銀行が金融政策の一環として設定する短期金利(誘導目標金利)。
利上げが行われる理由
利上げが行われる理由は、景気が過熱し物価が急激に上昇するインフレーション(インフレ)を抑えること、バブルが発生するリスクを抑制、賃金の上昇など、景気や物価、金融システムの安定を図るために実施されます。
一般的には景気が良いときに、利上げが実行され、景気の過熱を抑制することが期待されます。
一方で、景気が悪化したり、物価が継続的に下落するデフレーション(デフレ)に陥ったときなどには、利下げに動くことがあります。
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利上げはどのように決定されるのか
中央銀行の政策決定機関が経済状況(GDP、失業率、インフレ率、金融市場の動向ほか)を総合的に分析し、慎重に検討します。
金融政策決定会合で委員会による投票により決定されます。
金融政策決定会合は年8回、各会合とも2日間開催。
2024年 日銀金融政策決定会合 開催日程
https://nikkeiyosoku.com/schedule/boj/
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利上げが私たちの生活にどう影響するのか?
物価
借入金利が上昇するため、消費者や企業が資金を借りるコストが増加するため、需要が抑制されます。
利上げは、物価上昇(インフレ)を抑える効果があるため物価が下がる傾向にあります。
住宅ローン
利上げにより、住宅ローンの金利が上昇します。
特に変動金利型の住宅ローンを利用している場合、ローン金利に反映される可能性が高いです。新規のローン契約や借り換え時には、新しい金利が適用される可能性があります。
住宅ローン金利の見直しのタイミングは金融機関等によって異なりますが、比較的多くの銀行で4月と10月の年2回、適用金利の見直しが行われています。
直近では2024年10月に基準金利の見直しが実施される可能性が高いため注視する必要があるでしょう。
株価
利上げにより企業の借入コストが増加。利益が圧迫される可能性があり、企業の収益性が低下し、株価が下落する要因となります。
消費者も借入コストが増加されると、消費が抑制され企業への投資(消費)も減少し、全体的な経済活動が鈍化する可能性があるといわれています。
しかし、その影響は経済全体の状況や投資家の期待、業種の特性などによっても異なるため、一概に全ての株価が下がるとは限りません。
為替
利上げは、景気拡大や底堅い動きが続いていることを示唆しています。
投資家は金利の高い国の国債を購入したり、預金をする傾向があるため、金利の高い国への資金需要が高まり円高に動く可能性があります。
円が今よりも高くなると、今よりも海外旅行へ行きやすくなる可能性も。
円高
利上げによる、円高により輸入物価・原材料・エネルギー費が安くなることや、消費が抑制されることで需要が減少し、物価が下がることが多いです。
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過去の利上げと結果
日本では2000年以降、過去4回(*1)の利上げが行われています。
1990年代後半から2000年代にかけて長期に渡る経済停滞とデフレによりゼロ金利政策を導入しました。
2000年8月の利上げ
1回目の利上げは2000年8月11日。景気が一時的に回復傾向を見せたため政策金利を0.25%に引き上げました。
その結果、景気が再び後退したため、2001年3月に再びゼロ金利政策が復活しました。
2006〜2007年の利上げ
2回目の利上げは2006年7月。日本経済がデフレから脱却し、景気回復が持続的であるとの見方が強まり量的緩和政策を終了。政策金利を0%から0.25%に引き上げました。
3回目の利上げは2007年2月。政策金利を0.25%から0.50%に引き上げました。
その結果、日本経済は一時的に成長を続けましたが、2008年リーマンショックにより再び厳しい経済状況となり、金利は再び引き下げられ、ゼロ金利政策が再び復活しました。
2024年3月の利上げ
4回目の利上げは2024年3月。マイナス金利政策解除で17年ぶりの利上げ。利上げ幅は0.1%程度と小幅。
その後
2008年のリーマンショック以降は、超低金利政策が続いていましたが、2024年7月の金融政策決定会合で0.25%程度に引き上げすることが決定しました。
2024年8月頭時点の情報です。
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米国の利上げ
上の画像はドル円と米政策金利の推移チャートです。
2008年のリーマンショック以降、低金利で推移していましたが、2015年12月に0.25%に引き上げ。その後、段階的に0.25%刻みで2018年12月まで2.5%まで引き上げられました。
しかし2020年新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、世界的な経済活動に深刻な影響を及ぼしで急激な利下げとなっています。
2022年米CPIの前年同月比+9.1%と40年半ぶりの高い伸びを受けて、過去の利上げ幅を上回る0.50〜0.75%といった大幅な利上げを実施。
2023年7月以降、5.50%という高い利率を継続している。
こちらの画像はドル円と米政策金利と日政策金利の差の推移チャートです。
2022年以降の米国利上げは日本経済に大きな影響を与えていると言われています。
米国が利上げし、日本との金利差が拡大するにつれドルの相対的な魅力が増し、現在の円安ドル高の傾向が強まっています。
米国 政策金利 利上げ・利下げ確率
https://nikkeiyosoku.com/ff_rate/
米国 テーパリングと利上げ
https://nikkeiyosoku.com/nydow/tapering/
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利上げに備えるための個人の対策
政策金利の引き上げがあると家計に影響を受ける可能性が高いでしょう。
しかし、利上げに備えるための個人で出来る対策はいくつかあります。
支出を減らす「節約」では限界がありますので、住宅ローンの借り換えやふるさと納税などの節税。副業収入を増やすことなども検討したいところです。
他には、NISAを利用した節税をしながら収入を増やすことが可能な資産運用も重要と言えるでしょう。外貨預金といった日本円以外の通貨を持つこともリスク分散となります。
#経済 #利上げ #政策金利