投資アノマリーまとめ/株式市場の「経験則」一覧

投資行動の根拠として、はっきりした説明ができるわけではないにもかかわらず、多くの投資家の経験則として「頼りにされる」のが、「アノマリー」と呼ばれる様々なことわざのようなものです。

多くは経験則の域を出ず、成立がかなり昔で現代には当てはまらないものもありますが、中には実際に結果が証明されているものもあります。

こうしたアノマリーを、カレンダー形式で説明します。また、時期や季節とは関係のないアノマリーも、とくに重要なものを説明します。

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月や季節のアノマリー

アノマリーのうち最もポピュラーなのが、毎年やってくるもの、つまり季節や月にまつわるアノマリーです。

中には明確な根拠があるものも多く、これらをざっと理解することで、相場がどのようなサイクルで動いているのかを、かんたんにイメージできるようになります。

1月効果

12月末から1月第一週までの株価は上げるといい、これを1月効果と呼びます。
なぜそうなるかは、大口投資家・機関投資家の事情によるものといいます。

12月から年末にかけては、税金対策などを踏まえ含み損確定などの売りが多く発生する傾向があります。これはウィンターブレイク(節税売り)とも呼ばれます。

そして、このとき流入した資金が、1月に市場に流れ込むのが、1月の株価上昇を生む、といわれています。

また、1月の傾向はその年を通じての傾向を占うものともいいます。1月が堅調なら一年通じて堅調、そうでなければ通じてそうでない(軟調)とも言われます。

ただ、事実かというと、統計的には当たっているとはいえないようです。

節分天井彼岸底(2-3月)

1月効果の株高が波及し2月上旬まで上げ(節分天井)、そしてそこから反動、かつ3月決算に向けた調整売で下げ(彼岸底)、というアノマリーがあります。

2月上げというのは共感で切る人も多いようですが、少なくとも、彼岸底の方はさして実現率は高くないようです。
なお、「彼岸底」は、2月(春分の日のお彼岸)の下落トレンドを指すこともあれば、もう一つのお彼岸である9月下旬(秋分の日のお彼岸)の下げトレンドを指すこともあります。どちらかというと、9月の彼岸底のほうが、肌感覚としては信憑性が感じられるという人が多いようです。

4月効果/新年度効果

日本では新年度となる4月は、新規投資の資金が市場に流入してきて、株高を生むと言われています。2-3月の彼岸底で売った資金が再度市場に戻っていくことも影響しているという説があります。

「4月効果」の詳細記事はこちら

GWの値動き(4-5月)

5月初頭のゴールデンウィークころに株価が天井を迎え、それから値動きが激しくなる、というアノマリーです。GWは日本にしかないので、もちろん日本特有のアノマリーです。

3月に決算準備、4月に決算を迎え、しだいに活発化してきた投資家心理が、休場のつづくGWを境にいっきに冷めていきます。この落差が、GWの値動きを大きなものにする、と言われています。

またGWが過ぎると数カ月は材料に乏しい時期が続くため、GWを天井と見て投資計画をたてる向きもあります。天井になるかはその年によってまちまちですが、休場をはさんで値動きが激しくなるケースはよく見られます。

セル・イン・メイ (Sell in May)/5月は売れ

米国を起源に古くから言われるアノマリーが、「セルインメイ」あるいは「5月は売れ」というもの。そのとおり、5月は値下がりトレンドの起点となりやすいから、ポジションを売り払うとよい、というアノマリーです。

セルインメイ、つまり「5月は売れ」というと、それに続いて「10月に戻ってこい」というアノマリーも出てくることが多いはずです。(ときには「11月に戻ってこい」と1ヶ月ずれているケースもあります)

これは実は、一年を半年ずつ2つに分けた次のサイクルで見るとわかりやすいのです。

– 5-10月は下落サイクル
– 11-4月は上昇サイクル

以後のアノマリーを見ていくとわかりますが、夏場は材料に欠け、下げやすいと言われています。その下降トレンドの起点が5月とされています。この軟調な時期は10月末(11月頭)までの半年間続くといいます。

そして、年末にかけての相場は上昇トレンドが大くなると言われています。その起点となりやすいのが11月です。このとき始まるおおまかな上昇トレンドは、半年後の4月末(5月頭)のピークまで続くとされます。

夏枯れ相場(7-8月)

「セルインメイ」の5月を境目に、7月から8月にめがけて、市場は閑散期に入り、出来高は縮小、株価は軟調となる傾向があります。これを夏枯れ相場といいます。

特に、北半球が夏休みとなる8月は顕著です。このとき日本はお盆休み、海外も夏休みの時期です。

この、株価が下げている夏枯れ時期(7-8月)を、買い仕込み時期としてめやすにしている人も多くいます。アノマリー通りであれば、5月に売った資金を、値下がりの顕著な夏枯れ時期にまた投入する、というイメージです。

「夏枯れ相場/8月株安」詳細記事はこちら

8月後半の円高

なお、株式は「夏枯れ」となる8月ですが、外為は円高に振れることが多いと言われています。これを「8月後半の円高」というアノマリーで説明することがあります。

市場のが非活発化する8月は、とつぜん予期せぬ材料により大きく相場が動くことがあります。これを投機筋が円買いによって狙う「8月は仕掛け時」という説が、8月後半の円高をつくると言われています。

「8月円高」詳細記事はこちら

9-10月の株安/彼岸底

7-8月の夏枯れ相場に続いて、9-10月も世界的に株安となりやすい時期であるとされています。とくに9月中旬から下旬にかけて株価が下落する傾向が見られ、これを彼岸底と呼ぶこともあります。(お彼岸は春と秋の二回ありますが、こちらは秋の方の彼岸底です)

なお、米国で起きた歴史的な暴落、例えばブラックマンデーなど多くが、この9-10月という時期に起きています。大暴落や世界経済の歴史について少しでも勉強すると、9-10月の株安のイメージに納得が行くはずです。

それだけに、下げの10月に買うとリターンが出やすいとも言えます。
なお、10月4日を「投資の日」とする向きもあります。この日は投資家心理が上向くため、株安の9-10月でも例外的に株価が上がりやすいと言われます。

「10月株安」の日経平均過去データ検証はこちら
「9月の彼岸底」詳細記事はこちら

ハロウィン効果(10月末)

7-8月の夏枯れ相場から9-10月の下げ相場を経て、株価は10月31日のハロウィンの頃を境に反発、以後は上昇トレンドに乗る、と言われます。これをハロウィン効果と呼びます。

なお、ヘッジファンドの決算がハロウィン効果に関連している、という説もあります。欧米のヘッジファンドは11月が決算月であるケースが多く、決算前にパフォーマンスをよく見せるために、9-10月に大きな売りで株価を下げ(9-10月の株安)、そこから反発で上げる(ハロウィン効果)、というのが正体とも言われます。

「ハロウィン効果」詳細と日経平均過去データ検証はこちら

11月の株高

7-8月の夏枯れ相場から9-10月の株安を経て、10月末にハロウィン効果を境目に、株価がようやく上昇トレンドに乗り出すのが、11月と言われています。

「11月の株高」の日経平均株価過去データ検証記事はこちら

12月株安

12月は利益確定で売り越し、株価が下げる、というアノマリーがあります。
ただ、11月で上昇トレンドに乗ったまま、12月は勢いを維持するケースも実は多いようです。

ともかく、これで1年が巡り、年をまたぐと再び1月の株高、節分天井から彼岸底、4月に戻すが5月に下げて「セルインメイ」で売り・・・と再びアノマリーのサイクルが続いていくことになります。

年次以外の周期のアノマリー

一年ごとにやってくるサイクルではなく、毎月、毎週、あるいは5日ごとといった、もっと短いサイクルで見ても、アノマリーが存在します。

ゴトー日(5・10のつく日)

5のつく日と10の付く日は、日本企業では経理関係の決済日が多くなります。

このうち輸入企業では、取引先への支払いをドル建てで行う場面が多くなり、両替のための円売り・ドル買いが大量に起こる傾向があります。そうなると、円は下げ(円安)、ドルは上げ(ドル高)の傾向が現れます。

月曜株安

休場となる土日に悪材料が出て、月曜に大きな下落が生じることがよくあります。
これを月曜株安アノマリーと呼びます。

比較的信憑性の高いアノマリーとして知られており、買いのめやすとして用いている(=株式購入のタイミングを月曜日に持ってくる)投資家も少なくないようです。

「月曜株安」の日経平均過去データ検証記事はこちら

TOM(月の変わり目)効果

月の変わり目、つまりTurn of the Month (= TOM) は、月末が安値になり、開けた月初には高くなる、というアノマリーがあります。これを「TOM効果」あるいは「月の変わり目効果」などと呼びます。

ファンドの締めと買い戻し実需がそれぞれ月末・月初に発生するため、それを受けて発生しやすいのがこのTOM効果の原因と言われることがあります。じっさい、このアノマリーのとおりに動く月の変わり目は少なくありません。

「TOM効果」詳細記事はこちら

SQ効果

先物市場における満期日には、限月最終日時点の清算値である「SQ値」(特別清算指数値)が算出されます。

とくにオプション取引と先物取引のSQ算出が重なる三月・六月・九月・十二月は「メジャーSQ」と呼ばれていますが、このメジャーSQの週は、株高になると言われています。これはSQ効果と呼ばれます。

SQ効果が起こりやすいのは、価格差を精算する裁定取引が活発化するためで、それに応じて変動も大きくなるからだ、と言われています。

魔の水曜日

SQ値の算出がある週の、とくに水曜日は、相場が軟調になりやすい、と言われています。

こうした週、市場では取引量が増えやすくなり、ボラティリティが高まりやすくなります。そんななか、週の真ん中にあたる水曜日は、裁定取引による現物売がとくに増え、軟調になりやすい、というのが根拠といいます。

ただ、統計上は、水曜に特別売りが増えるかというとそうでもないようです。

二日新甫は荒れる

そもそもの意味の新甫とは、商品相場で、月が変わって新しく上場される作物のことを指します。これが転じて、各月の一番最初の立会日が、一日ではなく二日から始まる月は、相場が荒れやすい、というアノマリーです。

有名なアノマリーではありますが、あまり統計的に立証がされたものではありません。

ロンドンフィキシング

金のスポット価格派、ロンドン市場の16時(夏時間15時)に値決めされます。日本時間では午前1時(夏時間では0時)となります。

ロンドン市場は金など現物取引において重要な役割を担っている市場で、このとき決まる金価格が世界的な金市場における指標として機能します。

このさい、金はドル建てで取引されるため、金のスポット価格がドル需要に影響を与え、為替相場が大きく動くことがあります。これをロンドンフィキシングといいます。

米大統領選

米大統領選挙の前年は、次の任期にも支持を集めるために、景気がよくなるような政策を打ち出す傾向があります。こうした際、多くのケースでは株高となります。

こうした流れから、米大統領を経済サイクルとして考えると、中間選挙の年が底となり、大統領選挙の年に向かって上昇していきます。また、米株高は米に資本を集めることになり、結果ドル高に結びつきやすくなります。

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その他のアノマリー

季節や月、あるいは短い周期イベントと関連するアノマリーとは別に、株式の銘柄にかかわるアノマリーもあります。

これらは、あくまで経験則として語られる周期的なアノマリーとは少々異なり、明確な論理的根拠を備えているため、アノマリーというよりもむしろ、投資の基礎的な知識と考えても良いかもしれません。

低PER効果/低PBR効果

PER(株価収益率)ないしPBR(株価純資産倍率)の低い銘柄は、「たくさんの資金を抱える力を持ちながら、市場評価(株価)が低く、過小評価されている」と解釈することができます。

こうした低PER/PBR銘柄は、相対的に高い収益を得られる可能性が強い、といいます。これを低PER効果ないし低PBR効果と呼びます。

といっても、例えばPERなら、めやすとされる15倍からあまりにかけ離れて低い銘柄は、高リスクとなります。

小型株効果

時価総額が小さい小型株のほうが、大型株よりも高い収益率をもたらすことが大きくなります。ハイリスクハイリターンな取引となります。

「小型株効果」アノマリーの解説と活用方法はこちら

配当利回り効果

配当利回りが高い銘柄は、それが低い銘柄よりも、収益率が高くなりやすくなります。

「選挙は買い」「解散は買い」アノマリー

衆議院解散・総選挙が行われると株高をもたらす、というアノマリーです。少々米大統領選アノマリーと雰囲気は似ていますが、こちらの実現率は、年によってまちまちです。

「解散・総選挙は買い」の日経平均株価での検証記事はこちら

サザエさん効果/ジブリ効果

サザエさんの視聴率が高いと株価は下げるという「サザエさん効果」、そして米雇用統計の発表がジブリ映画の放映と重なるとドル円急落という「ジブリ効果」の二つは、かなりよく知られている「アニメ関係の」アノマリーです。

一見全く相場と関係がなさそうに見えますが、その実、意外と信頼に足るデータも出ており、ジブリ効果にいたっては、米経済紙が詳細記事を掲載したこともあります。

「サザエさん効果/ジブリ効果」の詳細記事はこちら

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投資には基準を持とう

株式投資に必要な指針の一つに「明確な基準を持つ」というものがあります。

そのときそのときの気分で行動しがちな人は、株式投資でリターンを上げられないことがあります。しかし、自分で基準を決めて行動すれば、より着実に利益が出せるようになります。例えば、これだけ下がったら損切りしよう、だとか、これだけ上がったら利確しよう、といった基準を決めておくのです。

それに類するのが、5月は利確のタイミング、10月は買いのタイミング、とおおまかな目安を持つことです。アノマリーの知識を上手く活用して、自分の「基準」や「目安」を持つのが、よい投資法と言えます。

アノマリーとは、過去に幾多の投資経験を積んできた投資家たちによってつくられたものです。すべてが予言のように当たるわけではありませんが、覚えておいて損はないはずです。

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