【アノマリー】二日新甫は荒れる/信憑性は?「三日新甫」だとどうなる?

投資の世界で、過去に投資家たちが経験してきた「相場の傾向」が長らく語り継がれてきたものを「アノマリー」と呼びます。中でも成立の古いアノマリーの一つとして「二月新甫は荒れる」というものがあります。

ある程度の投資経験を積んでいる方なら、一度は目にしたことがあるかもしれませんが、このアノマリーの信憑性は、いかほどのものなのでしょうか?

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「二日新甫は荒れる」アノマリーとは

「新甫」とは「しんぽ」と読み、月の最初の取引日のことを指します。

一日(ついたち)が平日なら、ここで言う「新甫」は一日になります。しかし、一日が土日祝なら、新甫は二日になります。そうした場合、その月の相場は値動きが大きくなり、荒れやすい、というのが、このアノマリーの意味合いです。

的中率は・・・あまり高くない?

結論を言ってしまうと、このアノマリーの的中率はあまり高くないようです。

ただし、このアノマリーを元にして、投資の際に気をつけるべきことを見つけることもできます。

アノマリー成立の経緯

元々は、商品先物取引における新しい限月のことを指して「新甫」と言っていました。それが、株式相場一般の格言として、拡大解釈され、現在に至る、といった経緯のようです。

このアノマリーが成立したのは、株式市場の歴史でも比較的古く、20世紀半ば頃との説があります。おそらく当時、二日新甫で相場が荒れた月がいくつか発生し、それで「二日新甫は荒れる」というイメージが定着したのだろうと思われます。

昔と今の「二日新甫事情」の違い

このアノマリーの成立当時、米(ないし欧)で「二日新甫」がどれくらいの確率で発生していたのか、それに応じて投資家たちがどのように反応していたのか、それを確かめるのは少々困難ですが、少なくとも日本では、「二日新甫」の発生頻度は、いまと昔でだいぶん異なっていたのではないかと考えられます。

というのも、昔に比べ、今では祝日が増え、それにともなって「二日新甫」の発生頻度も高くなっているはずだからです。

さかのぼること70年ほど前の1948年、我が国の祝日は、年間で9日間だったといいます。それが現在では16日ないしそれ以上と、2倍近く祝日が増えています。

祝日が少なかった70年前は、二日新甫の月は今よりも少々めずらしい月だったはずです。めずらしいことが起きた際には、投資家の判断も変わってくるはずで、それに応じて相場の中長期的な動きも変わっていたと考え得ることができます。つまり、昔なら「二日新甫」がある種の経済イベントとして作用していた可能性があるのです。

一方、祝日が二倍近くに増えた今では、「二日新甫」の月も(少なくとも70年前よりは)珍しくありません。となると市場も特別な行動を取ることは少ないはずです。

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「三日」新甫だとどうなるか

では、より発生率が少ないと思われる「三日新甫」、すなわち一日と二日が土日祝で、三日にようやく取引日が始まる、という月だとどうでしょうか?こちらについては、二日新甫よりも特定の傾向が現れやすいと言われています。

諸説はあるものの、とくに優勢なのが「三日新甫の月は下げる」というもの。三日新甫の月は、軟調な相場が続きやすいと言うのです。そもそも三日新甫の月の発生率が多くないため、十分な検証ができるとは言い難いですが、こちらは現在でもそれなりに信憑性の高いものと言えるでしょう。

三日新甫の月はこう動く?

では三日新甫ならどのように投資行動をとればよいのでしょうか?

値動きのすえ下げる月と捉えるなら、とくに数週間程度のスイングトレードでは、さきに利確を済ませておくか、売りから入る検討を行うなどの考え方もできるでしょう。

なお、2017年7月は三日新甫の月(一日と二日が土日、取引開始日が三日)でした。
この月の日経平均株価の動きを見てみると、6月末の20033.43円から、7月末には19925.18円で、マイナス0.54%の下落が起きています。

ここだけ見ると、とりあえず「三日新甫は下げ」となっていますが、実は翌月2017年8月末を見てみると、19646.24円で、マイナス1.40%と更に大きな下げ幅になっています。

8月は一日新甫(取引開始日が一日)で、二日新甫でも三日新甫でもありません。

と、このように見ると、「三日新甫」で解釈しても、このアノマリーの信憑性は今ひとつのように感じますね

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アノマリーは頼れる?頼りない?

現在では少々再現性の低いアノマリー「二日新甫は荒れる」ですが、もっと信憑性が高いと考えられるアノマリーもあります。

たとえば、「8月株安」や「夏枯れ相場」「ハロウィン効果」などは、今でもよく参考にされるほか、2017年のこのところの相場を見ても矛盾していないようです。

となると、その他のアノマリーもざっと見ておいて、実際の状況を見ながらあてはまりそうなものを参考にするのが、アノマリーの手堅い活用法と言えそうです。
年次サイクルで一覧できる「投資アノマリーカレンダー」はこちら

 

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