ドル円FXと強い相関があるとされる米長期金利が、このところ高い注目を集めています。
その理由は、2021年に入ってからの米長期金利が高止まりしているなか、それに追随するようにして、ドル円も急上昇しているためです。
今後の米長期金利は、このまま上昇を続けるのでしょうか?また、ドル円との相関はどのように変化していくのでしょうか?米長期金利とドル円の2021年の動向を予想します。
このページの目次
コロナショック後の米長期金利とドル円
2021年に入ってからのドル円市場では、米長期金利の動きがさかんに話題にされるようになっています。
米長期金利は2020年秋に反発
昨年2020年3月にかけて発生した「コロナショック」ののち、米長期金利は長らく、歴史的な低水準で推移してきました。
その流れが変わったのが、昨年2020年の秋ごろです。米長期金利はじょじょに反発傾向が鮮明となり、明けた2021年に入って上昇トレンドが鮮明化、さらに今年3月には急騰しています。
2020-2021年の米長期金利(週足)
ドル円は2021年1月にようやく反発
一方のドル円は、2020年2月には112円まで上昇していたものの、コロナショック時に急落、その後は長期的な下落トレンドへと移行しました。
米長期金利が2020年秋ごろに反発したのと異なり、ドル円の反発は2021年まで訪れませんでした。
2020-2021年のドル円(週足)
ドル円は、2021年1月に安値102.59をつけ、ようやく下値を切り上げる展開へと移行。その後は上昇トレンドへの転換が鮮明となり、2021年3月には109円台まで回復と、約2カ月間で6円を超える大幅な上昇を示しています。
とはいえ、米長期金利は2020年8月ごろにはすでに反発傾向となっており、それに比べると、ドル円は5か月ほども反発が遅れたことになります。
こうした状況から、コロナショック後のドル円の動きは、米長期金利に遅れて追随する傾向がある、と見ることができます。
2021年の米長期金利予想
では、米長期金利の上昇はどこまで続くのでしょうか?
米長期金利は「目先の高値メド」を達成済み
それを考えるにあたり、まずは長期チャートから米長期金利の上値余地を探ってみることにしましょう。
長期チャートをみると、米長期金利がすでに昨年2020年2月の水準を回復していることが見て取れます。
2020-2021年の米10年債金利(週足)
昨年2月は、コロナショック発生の直前となる時期であり、市場参加者の多くが「相場の戻り」の目安とする高値メドとなります。
つまり2021年の米長期金利は、当面の高値メドをすでに達成していることから、今後は上昇一服となる可能性が高いと考えられます。
FRBの長期金利高抑制へも警戒感
これに加え、米長期金利の上昇は、米企業の資金調達コストの増加に直結し、景気回復ペースを鈍らせる可能性があることから、今後はFRB(米中銀)が米長期金利の上昇抑制に動く可能性も意識されています。
こちらの面でも、米長期金利が今後も続伸する可能性は低いと考えられます。
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米長期金利から見る2021年のドル円予想
今後、米長期金利の上昇が頭打ちになるとすれば、ドル円も同様に、これ以上の上昇は難しいのでしょうか?
先に結論を述べると、ドル円は今後も上昇余地がある、と見ることができます。
ドル円は今後も上昇余地がある
コロナショック以降のドル円は、米長期金利の動きに遅れるかたちで相関を示してきました。
そのため今後は、米長期金利の上昇トレンドが終わった後も、ドル円は引き続き上昇を続ける可能性があります。
高値メドは110円~112円
では、ドル円の上昇余地はどの程度あるのでしょうか?
米長期金利とのかねあいで当面意識されるドル円の高値メドは、まず昨年1月高値の110円、その次が昨年2月高値の112円、と見ることができます。
というのは、米長期金利の現在の水準が、昨年1月~2月の水準へと達しているためです。
ドル円と米長期金利(日足)
当時はコロナショック前で、ドル円との相関も時間的なずれが少なかったため、市場参加者の多くは、米長期金利が現在と同程度であった2020年1~2月頃のドル円レートを、今後の目標値とする可能性が高い、と考えられるのです。
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金利がレンジ上抜けならドル一段高も
ドル円との相関が強いとされる米長期金利ですが、その相関がはっきりと現れる場合もあれば、相関が遅れて現れる場合もあり、市場参加者が強く意識するかどうかも、その時によって変わります。
しかし2021年は、米長期金利の上昇に追随してドル円も急上昇し、互いの相関が意識されたことで、米長期金利の動向が市場の話題にのぼることが多くなりました。
米長期金利がひとまず上値メドを達成しつつあると考えれば、ドル円もいずれ上値が限定される展開となる可能性があります。とはいえ、ひとまずは最初の上値メド110円、そして次の112円を上値余地と見ることができそうです。
なお、米長期金利が当面の上値メドとなる現行水準(1.60付近)を明確に上抜けて上昇した場合は、ドル円の上値余地も大きく拡大する可能性があります。今後は、ドル円とともに米長期金利の推移を気にかけておく必要がありそうです。
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