トレーリングストップとは、逆指値注文における執行価格の設定を、株価の動きに合わせて自動で修正していく、自動売買の方法のひとつです。
現物株のほか、日経225先物など指数先物、FXなど、幅広い取引で使用されます。
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トレーリングストップとは/意味とイメージ
「トレーリング」とは、日本語で「追いかけていく」あるいは「(山の稜線などの)何かに沿って歩く」という意味合いです。下図のように、執行価格設定が株価を追いかけていくように動くので、このように呼ばれます。
なお、「ストップ」とは、逆指値による利益確定、もしくは損切り注文によって、損失の拡大を止めることです。ストップロスのストップと同義です。
トレーリングストップの具体的な使用例
上図を見るとわかるように、トレーリングストップ注文では、(例えば買いで入った注文なら、)「高値マイナス100円」で逆指値注文する、といった、相対的な執行価格設定ができます。
こうすると、単に損失を最小限にくいとめるだけではなく、せっかく高値更新して利益が出ていたのに値下がりして結局損が出た、といったケースを防ぐこともできます。
トレーリングストップの用途 ①損切り/利食い
最も基本的なトレーリングストップの用途が、例えば買ったばかりの銘柄にトレーリングストップを出す方法です。これにより、値下がり時の損失を最小限にくいとめ、また値上がり時は利益を確保したまま下落トレンドに入ったとたんに決済する、といったことができます。
例えば、ある銘柄を1000円で買った直後、高値マイナス100円で売りのトレーリングストップ注文を出します。
この銘柄がこのあと下がったら、1000円マイナス100円で、900円のときトレーリングストップ売りが執行されます。これにより、損を100円までに食い止めることができます。
あるいは、この後この銘柄が1200円まで値上がりしたら、1200円マイナス100円で、1100円のときトレーリングストップ売りが執行されます。株価の高値が上昇するとともにトレーリングストップ執行価格も上昇したことにより、値上がり分の利幅を確保できたわけです。
トレーリングストップの用途 ②動意を逃さない
ある銘柄が下落基調のとき、安値が更新されている間は待ち、動意が出たら(株価に明確な上げ方向感が出たら)買いたい、というときにも、トレーリングストップ注文が役に立ちます。
例えば、今1000円で安値を付けている銘柄に対し、安値より+100円上げたら買い、と、トレーリングストップ注文を出しておきます。
このとき、銘柄が反発したら、安値1000円プラス100円で、1100円のときに買いが執行されます。
あるいは、この後銘柄がさらに800円まで値下がりしたとします。すると安値800円プラス100円で、900円に反発したときに買いが執行されます。
下げ基調の間は待って動意づいたら買い、という、手動注文なら時間や手間、あるいは相場のウォッチが必要な取引も、トレーリングストップ注文を活用することで自動的に手間なく済ませることができる、というわけです。
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執行価格設定が肝心、実践で習得を
トレーリングストップの基本的な意味や使い方を具体例とともに説明してきましたが、トレーリングストップの最も重要なポイントは「価格設定の幅」の決め方にあります。
マイナス100円で損切りするのか、それともマイナス50円か、あるいはおおよそマイナス10%を見るのか、執行価格設定の基準は自分で自由に決めればよいものの、思ったとおりの使い方ができるようになるまでは、経験を積む必要があります。
一方、システムトレードや、売買ルールに従った取引を行う場合に、トレーリングストップを使いこなすことで投資行動の効率を上げることもできます。まずは試し玉で実際に使ってみるのも、習得方法の一つでしょう。