投資の世界には「小型株効果」と呼ばれるアノマリー、投資家たちが共有する経験則のようなもの、があります。
小型株効果とは何でしょうか?そこには根拠があるのでしょうか?このアノマリーがどのように成立しているのかを説明し、またこのアノマリーの有効な活用方法についても考えます。
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「小型株効果」アノマリーとは
時価総額が株式銘柄を「小型株」と呼びます。(その反対に、時価総額が大きな株は「大型株」になります)
一般的に、小型株は大型株よりも収益率が比較的高くなりやすい傾向があります。といっても、理論的な裏付けや根拠があるわけではないため、これはアノマリーとして語り継がれています。
注目を集めにくい小型株は割安である可能性
なぜ小型株が収益率を高めやすいかというと、何より第一に、市場で注目されにくいことがあります。注目されにくいということは流動性が高まりにくく、割安が続いている可能性が高いため、今後注目が集まったときの利益の伸びしろが大きくなると考えられます。
一方の大型株は、すでに多くの人の耳目を引いていて注目が集まっているため、割安のまま放置され続ける確率は小型株よりもずっと低いと言えます。となると価格も各銘柄の実力に見合ったもの、もしくはそれに近いものとなっており、値上がり余地は小型株よりも比較的少ない、と見ることができます。
機関投資家の介入が起きにくい点
また、小型株の取引は、その市場規模のゆえに、機関投資家の介入が起きづらい、という点も、小型株が割安になり値上がり余地が大きい説の根拠として語られます。
株式市場における取引は、その非常に大きな割合が、機関投資家による取引によって占められています。そのため、銘柄によっては、機関投資家の動きに連動して値動きを起こすものがあります。
しかし、機関投資家は自身で運用規約をもうけており、その規約によって小型株を取引対象とすることができない場合があります。そうなると、小型株の流動性はおのずから縮小し、割安のままに置かれるケースも増える、といいます。
小型株には固有のリスクも
しかし、こんなアノマリーが存在する一方で、小型株は大型株にないリスクもはらんでいます。それは「上場廃止」です。
もちろん大型株だからといって上場廃止リスクが存在しないわけではありません。しかし事実上、小型株が上場廃止/倒産する可能性は、大型株銘柄よりもはるかに大きくなります。
いくら値上がり余地があっても、いったん上場廃止が起きれば小型株の保有メリットはゼロ以下となります。これを考慮すると、たとえ「小型株効果」アノマリーが真実だったとしても、デメリットと突き合わせて結局プラマイゼロだ、との説もあります。
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「小型株効果」アノマリーを上手に使うには
時価総額の小さな企業の小型株は、より優れたパフォーマンスを備えうる、ということは、ほとんど事実といって相違ないのです。統計的に見ると小型株の長期保有が実現するリターンは大型株を上回るものになる、とのデータも出ているようです。
しかし、誰もが直感的に考えるように、規模の小さい企業はリスクがより高くなりがちであり、上場配信リスクを加味すると、単にリターンの大きさだけで小型株効果を語るのは片手落ちだ、とも言えます。
このアノマリーを上手く使うのであれば、割安銘柄に注目するのはもちろんのこと、ファンドなど分散投資で数多くの小型株のリスクを分散化することが有効でしょう。
もちろん、ハイリスク取引ならではの醍醐味を味わうには、小型株はうってつけ、とも言えます。いずれにせよ、どのように自分の資産を配分するか、自転車操業にならない投資スタンスが、「小型株効果」アノマリーの有効活用には不可欠です。