米利上げ、投資家はどうすれば?/利上げと株価の基礎知識

米国利上げ、もしくは利下げ、と経済ニュースで取沙汰されるのを、経験豊富な投資家でなくてもよく目にしているはずです。しかし、利上げの影響について整理できていない個人投資家は珍しくないものです。

米利上げは、私たちの投資活動に(さらにはわたしたちの生活にまで)大きな影響を与える要素です。一度しっかり整理し、我々個人投資家は米利上げをどうとらえればよいか、理解しておきましょう。

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基礎知識:そもそも「利上げ」ってなに?

「利上げ」がどんなことを意味するものなのか、そもそも理解しているでしょうか。

とくに経済ニュースで取り上げられる「利上げ」とは、「その国の中央銀行が、政策金利を上げること」です。
…と一言でまとめられても、よくわかりませんね。少しずつ解説してみます。

その国の金融政策を担っているのが「中央銀行」

まず、中央銀行とは、かんたんに言うと「その国で一番えらい金融機関」です。

日本では日本銀行ですが、米国では「FRB」(Federal Reserve Board = 連邦準備理事会)が中央銀行の役割を担っています。

中央銀行の仕事はいくつかありますが、その一つが金融政策、つまり、その国の物価を安定させることです。

対して、一般の銀行は「市中銀行」という

さて、中央銀行以外にも金融機関はたくさんありますね。そうした民間の銀行一般は、「市中銀行」と呼ばれます。

日本でいえば、私たちに馴染みのある普通銀行(三井住友銀行、三菱東京UFJ、ネット銀行…)も、ゆうちょも、あるいは信託銀行や信用金庫も、すべて市中銀行に入ります。
米国だと、シティバンクやゴールドマン・サックス、JPモルガンといったものが市中銀行です。

市中銀行どうしは「短期金融」で資金調達している

市中銀行は、民間企業や個人相手の預金業務や融資が仕事ですが、例えば大企業へ巨額の融資が必要となった場合など、市中銀行同士で資金の貸し借りを行うことがあります。

こうした、とくに、翌日といった短い期間で利子を付けて返済する資金調達のやりとりを短期金融と言います。

なお、短期金融は、各市中銀行が日本銀行に預けた資金を利用してやり取りされます。この資金は日銀当座預金と呼ばれるものです。

短期金融の利率は景気に影響する

この短期金融の利率が高い場合には、融資を受ける企業へ課される利率も、とうぜん高くなります。(そうしないと、お金を借りて企業に貸している銀行は、損をしてしまいます)

つまり、短期金融利率が高いと、企業にとっても、多額の融資を受けるための利息コストが大きくなります。

こうした状況で、企業が利息コスト増を嫌った場合は、その企業は融資を受けることをあきらめ、投資をやめる(引き締める)選択をします。

企業が投資をやめるということは、世の中に出回るはずだったお金が、その分減ってしまうということです。

となると、下請け企業の儲けも減り、雇用拡大も止まり、消費が冷え込み…と、結局景気の引き締め(冷え込み)につながりやすくなります
つまり一般的には、短期金融の利上げは、景気引き締めにつながるのです。

中央銀行は、短期金融利率を調節する役割を担っている

このように、短期金融の利率は、経済全体と密接につながっています。
そのため、経済が極端に振れて破綻することがないよう、誰かが短期金融の利率を調節しつづける必要が出てきます。

この、短期金融市場の利率の調節役を担っているのが、中央銀行なのです。

中央銀行が運営される目的のひとつは、金融政策=物価を適正に保つことです。そのために、中央銀行は、短期金融市場の利率を調節する役割を担い、状況に応じて利上げ、もしくは利下げが起こるよう、利率を誘導するのです。

利上げと株価

米国で利上げ(/利下げ)が起こった場合、その影響は米国内の経済だけにとどまりません。現在はグローバル経済であり、米国の経済状況は他の国にも大きく影響します。

米利上げにより米国の企業がお金を借りにくくなると、米国の企業は海外投資も引き締めます。そうなると、他国企業にはお金が回ってこず、見通しの悪化から、株価も下落する傾向があります。

日本株価も例外ではありません。米国利上げ時は、日本の株価も下落する傾向がある、というのが定説となっています。

サンプル1:2017年6月14日の米利上げで日経平均下げ

例えば、先週の2017年6月14日のFRBによる米利上げ決定を受け、翌15日の日経平均株価は下げ幅128円安まで広がる場面がありました。

これはまさに、米利上げ→日経平均株価冷え込み下落、という典型的なケースと言えるでしょう。

サンプル2:2016年3月15日の米利上げ減衰で日経平均が小上げ

あるいは、2017年3月15日には、FRBから米利上げペースが減衰したとの見方が出て、日経平均株価も前日比12円76銭高を示しています。

こちらも、米利上げ減衰→相対的に利下げ評価寄りへ→日経平均株価も上昇へ、と言えます。上の例とベクトルは逆ですが、こちらも米金利と日本株価が相関を示した典型的なケースといえます。

サンプル3:2004-2006年のバブルでは、定説と逆の動きも

しかし、米金利と日本株価がいつも定説通りに動くとは限りません。

たとえば、2004年後半から2006年にかけては、米国の利上げが続いたにもかかわらず、日経株価平均も上昇傾向が続く、ということがありました。

というのも、この当時は、いわゆるインターネット・バブルの高騰期だったのです。
こうしたバブル期間などの相場(非効率的市場)では、セオリーと乖離した非効率的な動きを示すことがあるのです。

当時の米利上げは絶好調な景気と表裏一体であり、また日経平均も国内IT株の高騰に牽引され上昇を続けていました。
その後2006年ころに入ってバブルが崩壊すると、今度は、急速な米利上げと同期するように、日経平均株価も下落傾向に入ります。

これは、米利上げと同時に国内株上昇、米利下げとともに国内株下落、という、定説とはまるで逆の相関になっています。

といっても、その後バブルの影響が沈静化したとみるや、地をはうような米の低金利継続とともに、やはりセオリー通り日経平均は上昇傾向に戻りました。

まとめ:基本を覚え、さらに評価の目を鍛えよう

ここまでをまとめると、次のようになります。

米利上げは国内株下げにつながりうる

米利上げとは、米国の中央銀行によって行われる、政策金利の上昇誘導のことです。
基本的に、米利上げは米企業の投資引き締めを招き、結局日本含む海外銘柄への投資冷え込み、ひいては日経平均株価ならびに日本銘柄の株価下落傾向へとつながります。

これは、金利の上げ下げが逆の方向でも同様のことが言えます。つまり、米利下げが起きると、今度は企業の投資楽観が広がり、日本株買いも促進され、株価上昇を招く傾向となる、ということです。

例外的な状況だと、米利上げ+国内株上げも起きる

とはいえ、例外となるケースも十分に考えられます。

例えば、米経済がそもそも大きく上向きな状況での米利上げは、とくに日経株価平均では下落につながらないばかりか、そもそもの米経済上昇を受け、同期するように上がるケースも見られるのです。

言ってみれば、「なぜ利上げするのか」を理解していなければ、株価動向を正しく読むことはできない、ということです。

まずは基本を覚え、情報を注視してみよう

個人投資家としては、まずは「米利上げ→日本株下げ」と基本を覚えておき、次に、どんな状況だと「例外的なケース」に当てはまるか、を、まずは経済ニュースから読み取ってみるとよいでしょう。

米利上げと一口にいっても、期間の長短や幅など、インパクトには大小があります。

インパクトの小さなものである場合は、利上げ→日本株価下げ、利下げ→日本株価上げ、と、定説通りに推移することが少なくありません。
しかし、インパクトがとくに大きなケースでは株価動向も個別に異なることもあります。

まずは米利上げ/下げのニュースを注視し、それに応じて市場がどう反応するかを意識してみましょう。すると、全体的な相場の流れが理解できてくるはずです。

 

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