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外貨預金の基礎知識/リスクを知ってリターンを得よう!

外貨預金とは、私達が普段使っているお金である日本円を、円のまま預金するかわりに、米ドルのような外国の通貨に両替して預金することをいいます。

「預金」という言葉のイメージから、外貨預金が「外国通貨で高い金利をもらいつつ、安全にお金を運用できる方法」という印象を持つ人も多いようです。しかし、外貨預金はれっきとしたリスク資産であり、円預金とは性質が大きく異なるものです。

リスク資産なら、リスクを取りたくない人はやらないほうがいいのでしょうか?それとも、リスクを低減して外貨預金を運用する方法があるのでしょうか?

この記事では、外貨預金のリスクを知り、それを低減して、リターンを得る可能性を高めるための考え方を説明します。

高利回り期待が魅力の外貨預金

外貨預金が注目される大きな理由は、高金利が期待できるという点です。

日本円の金利はきわめて低い

現在※、日本のあらゆる金利のおおもととなる「政策金利(無担保コールレート翌日物)」は0.10%と、ほぼゼロに等しい値となっており、政策金利に影響を受ける銀行の金利も極めて低い値となっています。

たとえば、ゆうちょ銀行の利回りは定期預金でも0.01%です。これでは、1000万円を一年間あずけておいても、もらえる金利はわずか1000円です。

さらに、普通預金なら利回り0.001%で金利はたったの100円と、コンビニでATM引き出しを利用するのにかかる手数料一回分(108円)だけで赤字が出てしまう金額になります。

※2018年12月時点。以下同じ。

外貨預金の高い利回り

しかし、他の多くの国の通貨なら、日本円よりもずっと高い金利がつきます。
例えば、米国の政策金利(FF金利)は現在2.50%と、日本よりもずっと大きくなっています。

これに応じて、外貨預金の利回りもはるかに高くなります。例えば>住信SBI銀行に米ドルを外貨預金した際の利回りは一年物定期で2.30%と、ゆうちょの円預金利回り(0.01%)の230倍となります。

これは、1000万円分の米ドル預金で、年23万円の利息収入が入ってくる計算になります。

【ポイント】1. 為替レート変動

しかし、外貨預金には注意点もいくつかあります。

まず、外貨預金でもっとも気をつけなければならないのが、為替レート変動によって元本の価値が変動することです。

含み損が出るケース(預金後円高)

たとえば、1ドル=100円の為替レートのとき、1000ドル(=10万円分)の外貨預金を始めたとします。

しかし翌日、1ドルが99円まで下落(円高方向に推移)したとします。すると、あなたの外貨預金の価値は、1000(ドル)×99円=9万9000円分となり、ー1000円(ー1%)の含み損が出ていることになります。

※含み損とは、まだ外貨を円に戻していないときに出ている、計算上の損失額のことです。

含み益が出るケース(預金後に円安)

もちろん、この逆、つまり外貨預金後にレートが上昇(円安方向に推移)した場合は、あなたの外貨預金の価値は上がります。

例えばドル101円にレートが動いたら、1000ドルは10万1000円分となり、1000円(+1%)の含み益となります。

必ず余裕資金で運用する

外貨のレートは常に動いており、その動きはランダム(=規則性がない)と言われるため、外貨預金を運用している間は、誰でも一時的に含み損が出る可能性がある、ということを覚えておく必要があります。

ただし、これはあくまで含み損であり、外貨をそのまま円に戻さず預金し続けていれば、そのうちまた為替レートが上昇(円安方向に推移)して、含み損が消えて含み益が出てくる可能性は高まります。

したがって、外貨預金にまわすお金は、あくまで「余裕資金」である必要があります。そうすれば、一度含み損が出ても、また円安になる(=含み益が出る)まで外貨預金をほうっておくことができるからです。

反対に、生活に必要なお金を外貨預金にまわしてしまった場合、途中でどうしてもお金が必要になって外貨預金を取り崩したい時に、運悪く円高になっていたら、ただ損失が出るだけで終わってしまいます。

利息とレートの関係をイメージする

外貨預金は金利がつくため、為替レートが少々下落(円高)しても、金利で損失を埋められるケースもあります。

したがって、外貨預金を始める場合は、金利がどれだけついて、その金額でどの程度のレート下落を補填できるかの目安を、大まかにでも付けておくとよいでしょう。

例えば、年利2.00%なら、一年に2.00%未満のレート下落なら耐えられそう(=損が出ない)、という計算になります。

一方、年利が0.10%なら、1年後にレートが0.10%を超えて下落してしまった場合、差し引きで損が出る計算となります。
例えば、1ドル=100円のときに始めたドル外貨預金の年利が0.10%なら、一年後のレートがー0.10%、つまり0.1円下落して99.99円になっただけで、損が出てしまう計算になります。

余裕資金で運用することの重要さ

なお、ここでも、余裕資金で運用できているかどうかが重要になります。

というのも、為替レートが上昇しなくても、数年間の利息が積み重なってトータルで利益が出ている可能性があり、長期にわたって預金し続けることが重要になるからです。

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【ポイント】2. 手数料

わたしたちが普段行っている円預金の場合は、銀行窓口やATMで手数料をかけずにお金を入れたり出したりすることができます。

しかし、それと同じ感覚で外貨預金を使おうとすると、どんどん資金が減ってしまう可能性があります。というのも、外貨預金の入金や出金には、比較的大きな手数料がかかるためです。

手数料の仕組みを理解しよう

さて、外貨預金の手数料の仕組みとは、どのようになっているのでしょうか?
それを理解するには、外貨の「買値」と「売値」の差について知る必要があります。

例:SMBCで1000ドル預金する場合の手数料

例えば、SMBC(三井住友銀行)で、米ドルを1000ドル預金するとしましょう。

このときあなたは、銀行とのやり取りのなかで、一度1000ドルを日本円で買い、その買った1000ドルを口座に預金する、という流れになります。

ドル・円を往復するだけでお金は減る

本日時点のレートは、買値が112.91円(2018年12月19日時点、以下同)なので、1000ドル買うためには、×1000で11万2910円が必要になります。

しかし、この直後、あなたは1000ドル購入のために使った11万2910円が必要になってしまい、今度は1000ドルを円に戻す(=ドルを売って円を買う)とします。

現在のSMBCの米ドルの売値は111.91円なので、1000ドル売るとそれ×1000で、手元に戻ってくるお金(円)は、11万1910円になります。

間にあるのは同じ1000ドルなのに、一度円から換金して、再度円に戻しただけで、1000ドル購入代金11万2910円マイナス売却代金11万1910円で、なんと1000円の損が出てしまうのです。

入出金(両替の往復)コストが手数料になっている

この、あなたがいつのまにか手放した1000円がどこに行っているのかと言うと、これは銀行の取り分になっています。

銀行は、外貨の売買のときにこうして値段を操作し、実質的な手数料として収入を得ているのです。

「預けて・引き出す」だけで出費になる

銀行は、市場の為替レートよりもちょっとだけ高く外貨(米ドルなど)をあなたに売りつけて、少しだけ手数料をとります。

また、あなたが外貨を売り払いたいときは、銀行が市場のレートよりちょっとだけ安く買い取ることで、その差額ぶんを手数料収入としています。

つまり、あなたがその銀行から外貨を買うときの値段と、売るときの値段の差が、手数料として引かれることになるのです。

あなたの側から見ると、外貨預金は、ただ預けて(外貨に変えて)、その後引き出す(円に戻す)だけで、お金が出ていってしまうことになります。

※金融機関によっては、外貨を買う時の値段を「TTS」、売るときを「TTB」と表記していることもあります。いずれも「買値」「売値」と同じ意味になります。

円預金とは性質が異なる

円預金の場合は、たとえ10万円を預金先銀行のATMで入金し、直後におろしても、手数料はかからないことがほとんどです。

しかし、「預金」という名称に惑わされて、外貨預金を同じ感覚で出し入れすると、大きな手数料がかかってしまい、時には利息分の利益が全部消えてしまって、むしろ損が出ることも考えられます。

したがって、外貨預金を円預金と混同するようなことをせず、あくまで生活資金とは別によけておくもの、と考える必要があります。

なお、各銀行ごとの手数料は、こちらで見ることができます。
>主要銀行の外貨預金手数料一覧(米ドル他)

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【ポイント】3. 通貨の種類

もう一つの大きな注意点として、通貨の選び方があります。

ここでは、どのような点に注目して通貨を選ぶとよいかを説明します。

選べる通貨の種類は多いが・・・

外貨預金では、様々な通貨を選ぶことができます。

ほとんどの銀行で取り扱っているのは、米ドル、豪ドル、ニュージーランドドル(NZドル)、そしてユーロと英ポンドの5つです。

このほかにも、南アフリカランドやスイスフラン、メキシコペソなど、金融機関によっては、マイナーな通貨での外貨預金にも対応している場合があります。

高金利通貨にはご用心

通貨を選ぶ際には、どうしても金利が高いかどうかに気を取られがちですが、それよりもまず、その通貨の為替レートが安定しているかどうかが重要です。

金利が極めて高いものの、為替レートが不安定だったり、長く下落している通貨があります。

例えば、メキシコの通貨ペソなどは、定期一年物で3.56%と高金利を貰える時期がありました。しかし、メキシコの政情は欧米・先進国と比較し不安定であり、為替レートも安定しているとは言えません。

2018年12月現在のメキシコペソ円レートは5.5円周辺ですが、2015年高値(8.7円)からは37%下落と、ほぼ三分の二に減価しています。さらに、リーマンショック前高値(10.5円)からだと、なんと約50%下落と、ほぼ半分に減価したまま、もう何年もレートを戻せていません。

こうした通貨は、少なくとも外貨預金初心者にすすめられるものではありません。

レートの安定した通貨を選ぼう

外貨預金初心者にも比較的おすすめなのが、金利が日本より高く、かつレートが安定した通貨です。

レートが安定している通貨とは、すなわち、その通貨を発行する国が安定していて、かつ取引量が多いものになります。これに最も該当するのは、世界の基軸通貨、米ドルです。

米国の国力は世界一であり、世界中で取引されている米ドルの取引量も世界一です。そのため為替レートは比較的安定しており、急激な変動が起きにくいと言えます。

米ドルも2012年には75円という超安値(超円高)まで下げていますが、その後2013年には100円台を回復し、以降比較的安定してレンジを維持しています。

そして、米ドルの外貨預金金利に影響する米国の政策金利は2.50%と日本よりずっと高く、外貨預金定期一年物なら年利2%超えも難しくありません。

米ドルよりも高金利な通貨では、豪ドルやニュージーランドドルなどが、先進国でレートが比較的安定しており、かつ金利も高めなので、外貨預金にはどちらかというと向いていると言えます。

ただ、どんな通貨でも、長い目で見れば半値に減価する可能性があることは覚えておいてください。もちろん、逆に大幅に価値が上がることもあるので、下落局面が来ても、レートが戻るのを待てるだけの資金的・精神的余裕を持つこと、つまり、ここでも、余裕資金で運用していることが、重要となります。

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【ポイント】4. 預金方法

もう一つの注意点は、預金方法の選び方です。

定期預金と普通預金

預金方法の最も大きな区別は、定期預金か普通預金のどちらを選ぶか、でしょう。

それぞれのメリット・デメリットは、日本円の預金とさして変わりません。
すなわち、定期は高金利だがお金の出し入れが自由でなく、普通預金はお金の出し入れが比較的自由でも金利は低めとなります。

とくに、資産運用のために外貨預金を考えているなら、定期預金がよいでしょう。銀行によっては、積立定期プランが用意されていることもあるため、検討しても良いかもしれません。

一方、頻繁に入出金する前提で普通預金を選んだ場合は、せっかくの金利が低くなるうえ、入出金手数料がかさんでさらに利益が削られるため、注意しましょう。

海外旅行目的などで普通預金がよいケースも

ただ、海外旅行でその通貨をたくさん使いたい、といったケースなら、為替手数料が市中の両替所よりも安いことのある外貨普通預金を選ぶことに、メリットが出ます。

銀行によってはキャッシュカードで外貨の入出金ができるといったサービスもあります。

ただ、こうした目的については、資産形成・資産運用といった目的からははずれるため、説明は省きます。

一つの銀行ではなくいくつかの銀行に分散する

とくに多額の外貨を預金したい場合、預金先の銀行は、一つではなく、いくつかの銀行に分散しましょう。銀行の破綻リスク対策のためです。

外貨に限らず、預金の際に考えるべきなのが、預金先の銀行の破綻リスクです。

日本では、銀行が破綻した際でも、日本円の預金1000万円までとその利息を保障してもらえる制度があります。これをペイオフ制度といいます。

しかし、外貨預金の場合、このペイオフ制度が適用になりません。つまり、外貨の預金先銀行が破綻したら、あなたの預金がまるごと戻ってこなくなる可能性があるということです。

このリスク対策のため、外貨預金、とくに大きな金額を外貨預金にまわす際は、いくつかの銀行に分けて口座を持ち、資金を分散するのがよいと言われています。

そうすれば、どこかが破綻しても、他の銀行の資金が生き残る、というわけです。

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【まとめ】リスクを遠ざけリターンを得る

外貨預金は、「預金」という言葉の響きで「安全資産」というイメージを持つ方が多く、「安全な上に金利ももらえる」という認識で運用を始めたいと思う人も多いようです。

しかし実は、そのイメージとはうらはらに、外貨預金は損をする可能性もある「リスク資産」です。

リスク資産の性質

ただ、リスク資産は「損する可能性(リスク)」だけではなく「得する可能性(リターン)」もあります。

円預金は、安全資産である反面金利がほとんどつかないことから、低リスク・低リターンな金融資産であると言えます。

一方の外貨預金は、円預金に比べると、高リスク・高リターンな金融資産ということになります。

リスクを遠ざけるのが最重要

より高いリターンを得るには、リスクをとる必要があります。しかし、リスクをよく理解し、対策をよく考えていれば、リスクを避けてリターンを得られる可能性が高まります。

外貨預金の場合は、余剰資金で運用すれば、リスクの多くを回避できる可能性が高くなります。そのほか、本記事で上げた「注意点」をよく考えたうえで運用を始めれば、さらにリターンを得る確率が高まるでしょう。

外貨預金に限らず、リスク資産でリターンを得る大きなポイントは「リスクを回避すること」です。できるだけリスクを遠ざけ、望んだリターンを得られるようにしましょう。

外貨預金を始めようという時、金利や手数料を銀行ごとに比較した場合は、こちらに一覧が掲載されています。参考にするとよいでしょう。
外貨預金(銀行別・通貨別)金利、手数料など一覧

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