株価の状況を判断する指標にPER(株価収益率)というものがあります。
通常は、個別株で算出するのですが、日経平均でも算出することが可能で、日本の市場の状況を判断するひとつの目安になっています。
今回は、日経平均のPERとその他の指標のPBR・EPS・BPSなどの関係を解説していきます。
参考:日経平均PERのチャート
このページの目次
日経平均のPERとは?
PER「株価収益率」とは?
まず、PERについて簡単に説明します。
PERは、「株価収益率」と呼ばれ、「時価総額÷総利益」もしくは「株価÷一株あたりの利益」で計算し、株価が、利益の何倍買われているかという意味です。
ちなみに「時価総額÷総利益」と「株価÷一株あたりの利益」は同じ意味です。
時価総額を株式数で割ったものが株価で総利益を株式数で割ったものが一株あたりの利益です。
時価総額÷総利益=(時価総額÷株式数)÷(総利益÷株式数)=株価÷一株あたりの利益
株価が1000円で1株あたりの利益が100円なら、PERは、10倍となります。
つまり利益の10倍が株価になっているので、1株買った場合に10年で元が取れるという意味合いになります。
PERが5倍なら、元が取れる期間が5年ということです。
さらに先ほどのPERの計算式を見るとわかりましたが、分子の株価が高くなればなるほど、PERも高くなり、分母の1株当たりの利益が多くなればなるほど、PERは低くなります。
PERが高い銘柄は、1株当たりの利益に対して、株価が高くなっているか、株価の割に1株当たりの利益が少ない銘柄といえます。
PERが低い銘柄は、1株当たりの利益に対して、株価が安くなっているか、株価の割に1株当たりの利益が多い銘柄といえます。
1株当たりの利益が確保されていてPERが低い銘柄は、株価が割安と言えるでしょう。
PERは、「株価が、割安かどうかを判断できる指標」といえます。
日経平均のPERの求め方(計算方法)
日経平均のPERは、2種類あります。「加重平均」と「指数ベース」です。
日経新聞などに載っているよく使うPERは、「加重平均」の方ですので、こちらの数値で話を進めて行きたいと思います。
計算方法は、「時価総額合計÷予想利益合計」です。
難しく計算式を出しましたが、考え方は、日経平均株価の算出に使っている225銘柄のそれぞれの時価総額を合計して、それぞれの利益を合計したもので割ることで求められます。
225銘柄を1つの会社として擬似的に扱うことによって、日経平均のPERが求められます。
ここで重要なのが、分母の利益の部分が予想利益といって、確定した利益ではなく、今期の利益を予想して、それを当てはめていることです。
よって、決算発表の翌日から次の決算期の予想利益を元に算出しますので、企業の決算期には、株価と別にPERが変動します。
詳しい説明は、日経平均プロフィルのユーザーズ・ガイドで確認してください。
・日経平均プロフィル ユーザーズ・ガイド
https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/file/users_guide_jp.pdf
日経平均のPERの推移
UPDATE:2024年8月28日
●日経平均株価とPERの長期推移グラフチャート
上記を見ると2010年4月頃までPERが30倍を超える水準ですが、その後急激に落ちて17くらいに落ち着いています。
PERの数値が変化するのは、計算式の分子の時価総額が上下する「株価の変化」と分子の純利益が上下する「予想利益の変化」の2つがあります。
「株価の変化」につられてPERが上下する場合は、日経平均株価とPERのグラフが同じ形になります。
「予想利益の変化」によってPERが上下するときは、日経株価株価との連動がなくなり、まったく違う動きになっています。
2010年4月頃のPERの大幅な減少は、2010年の決算期にリーマンショック後に低迷していた業績が、回復したことにより、利益が大きくなったためと思われます。
それまでの予想利益より決算発表後の次の期間の予想利益が大きくなったので、PERが急激に落ちたのだと思われます。
最近の2024年の日経平均とPERは、コロナの影響が落ち着いた2021年以降に低水準で推移していたが、2023年に株価の上昇とともにPERも少しずつ上昇していた。
2015年の時のようなPERと株価が一緒に上がるパターンに近く、企業の成長に対する期待の高まりといえるでしょう。
現在のPERは、先日の暴落時に一時13まで下落しましたが、15前後なっています。
日本のバブル期のPERは、60倍程度といわれています。
今の状況と比べて、如何に異常な事態かがわかると思います。
日経平均PERからみる暴落の可能性
日経平均の暴落時のPERから今後の暴落を考えて見ましょう。
バブル崩壊のときは、直前までPER60倍くらいでバブル崩壊の1989年12月のときは50倍前後でした。
ITバブル崩壊のときは、直前に100倍を超えるPERになり、2000年3月頃は、40倍前後になっていました。
サブプライム問題(リーマンショック)のときは、2007年4月の20倍前後から株価下落時の2007年9月は17倍くらいになっていました。
上記を見ると40倍を超える場合が続く場合は、バブルの可能性が高く、暴落することがあるようです。
PERが落ち着いてきた2003年以降では、サブプライム問題の時のように20倍を超えた場合に過熱感が大きくなり、株価が暴落するときが訪れる可能性があるようです。
それでは、現在は、どうでしょう?
現在のPERが、2024年8月27日で15.62倍となっています。
下落幅史上1位の大暴落(2024年8月5日)のPERの値が、13.01倍です。
過去の暴落時のPERは、大体半分程度までの数値になっていることを考えると半分程度の数値になると予想します。
現在は高値圏のため、大暴落した場合には、直近の下値めどである約21,000円ぐらいまで落ちる可能性があるといえるでしょう。
日経平均PERのまとめ
日経平均のPERについて解説しました。
PERに関しては、この指標1つだけで判断すると間違う場合がありますので、複数の指標をからめて判断することがよいと思われます。
今回の日経平均PERからの暴落の考察は、1つの事例として受け止めてほしいと思います。
参考:日経平均PERのチャート