利上げが確実視されるFOMCが2週間後に迫っている。今のところ、米国長期金利はそれ程目立った動きはない。今回のFOMCでは、政策金利が2%から2.25%に引き上げることが確実視されています。しかし、今のところ、米国長期金利にそれ程目立った動きはありません。今後、9月と12月のFOMCを経て、米国長期金利は、年末に向けてどのように動いていくのでしょうか? 今回は、中立金利と利上げ後の過去の動向の2つの観点から、長期金利の見通しを考察します。
【中立金利】
FRBのパウエル議長の金融政策運営のキーワードは中立金利です。この中立金利を市場は、利上げの上限の目安としています。この中立金利について、最近、パウエル氏は、「不確実な幅がある」と指摘し利上げの目安として適当ではないと見立てています。米国経済が予想以上に強く、今後、市場の予想を超える経済指標や企業業績の発表が続けば、市場の想定より利上げが進む可能性も出てきました。
中立金利は、FRBば年4回発表するが6月に発表したのは2.9%でした。中立金利は、景気を適温に維持するための金利とされており、政策金利が中立金利を上回れば景気を冷やしてしまいます。この政策金利の上限目安である中立金利をFRB議長は、足元の米国経済は底堅く、政策金利を上げる目安として、それ程意識する必要はないとほのめかしているのです。
今月と12月とFOMCでは、2回の利上げが見込まれていますので、政策金利は2.5%以上になることが見込まれます。今年中に、中立金利と政策金利と差は縮まり0.4以下になることが予想されます。
市場は既に、政策金利の上限である中立金利を意識しています。しかし、市場は両者にはまだ差があるのも確認しており、今後の長期金利の見通しは上昇の余地を残していると言えます。
【利上げと長期金利の関係】
さて、それでは過去に政策金利が上げられた時、市場はどのように反応したかを考察してみましょう。2008年の金融危機以降、FRBは7回の利上げを実施している。
出典:https://fred.stlouisfed.org/series/IRLTLT01USM156N#0
内訳は、2015年に1回、2016年に1回、2017年に3回、2018年に2回の合計7回で、いづれも0.25%の利上げです。2018年は9月、12月の2度、政策利上げが確実視されており、2018年は合計4回、リーマン金融危機後の利上げの合計は9回で、今年末までに政策金利は2.5%まで上げられると予想されています。
では、リーマン危機以降の政策金利(利上げ)と長期金利の関係がどうなっているかを考察してみます。2008年以降、政策金利は0.25%と事実上0金利政策を取っていましたので、長期金利も上下しながらも傾向的には低下していました。リーマンショック前の2008年8月に4%近くにあった米国長期金利(米国長期国債)は、2016年7月には1.4%以下にまで落ちています。その後、7回のFRBの利上げを経て長期金利は、現在は2.9%前後まで上昇しています。しかし、その上昇は
長期金利の上昇幅は、「利上げ2回目前後:トランプ大統領就任前後」と「利上げ5回目前後:FRB利上げペース加速観測」の周辺に限定されており、3回目、4回目、6回目、7回目は、利上前に若干、長期金利の上昇が見られるものの、利上げ後はダラダラと下落していく傾向にあります。
過去の利上げと米国長期金利の動きから、今後の米国長期金利の見通しを予想すると、年内は上下しながらも3%前後で落ち着くと予想しています。市場で現在予想されている利上げペース(2018年4回、2019年3回)の加速観測が出ない限り、9月26日のFOMC前後に3%を超える時期もあると思いますが、年末に向け再び2.8〜2.9%低下、その後12月のFOMCに向け再び3%に向けて上昇するような展開になると予想しています。
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【米国長期金利の見通しまとめ】
今後の米国長期金利の見通しは、
2.過去の利上げと米国長期金利の動きから、年内は上下しながらも3%前後で落ち着くと予想しています。
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