株価とは、株ひとつ(1株)あたりの価格のことです。
といっても、とくに投資初心者の場合は、ぱっと株価を見ても、それが高いのか安いのか、高いとどうなって安いとどうなるのか、イマイチ要領を得ない、というのが実際のところではないでしょうか。
実は、どれかひとつの銘柄の現在株価だけを見ても、投資には全く意味がありません。
この記事では、株価とは何か、株価はどうやって決まるか、投資のためには株価をどう見ればよいのか、を解説します。
このページの目次
株価とは
株価とは、ある株式銘柄の一株あたりの値段です。
・・・ということはわかっていても、いざ株式情報を見てみると、初心者の頃は混乱することばかりではないでしょうか。
少なくとも、初心者の頃の筆者は、様々な点が意味不明で、株価をどう見ればよいのか見当もつかなかったものでした。そんなとき感じていた悩み毎に、解説を加えてみようと思います。
株価が高い銘柄のほうが価値がある?
株価が高い銘柄ほど価値があり、投資家にとっては「買い」なのでしょうか?
その答えは、「×」です。例えば、次の表を見てみましょう。
銘柄 | 株価(取引値) |
---|---|
任天堂㈱ | 34,750 |
トヨタ自動車㈱ | 5,926 |
どちらも日本を代表する優良企業ですが、株価だけ見ると、開きがありますね。
任天堂は34,750円も出さないと1株買えないのに対して、トヨタはその五分の一にも満たない5,926円で1株買えます。
では、私たち投資家は、より株価の高い任天堂の株のほうを買うべきなのでしょうか?
その答えは、NOです。実は、今この瞬間の株価だけ見ても、どの株が「買い」なのかは、一切わからないのです。
株主にとっての株価
株の価値は、誰の立場から見るか、どんな時系列で見るか、などによって、様々に異なってきます。
例えば、株主(株を所有している人)から見ると、時系列で見た時の所有株の価値は、大変重要になります。
たとえば、今手元に、現在価格30,000円の株Aと、現在価格5,000円の株Bが、ひとつずつありました。
一見すると、株Aのほうが価値があるように見え、今売りに出せば30,000円の現金がもうかりそうに見えます。
しかし、この現在価格30,000円の株Aが、実は昨年50,000円で買ったものだとしたら、どうでしょうか?今30,000円で売ってしまったら「売買差額 -20,000円」となり、損失が出てしまいますね。
一方、もっと現在価格が安く5,000円の株Bですがが、実は昨年1,000円で買ったものだとしたらどうでしょう。今売れば「売買差額 +4,000円」で、利益を出せますね。
このように、その銘柄の保有株主は、所有株から利益を生み出すために、買ったときと売るときとの差額(=売買差額)を常に意識しているはずです。
投資家にとっての株価
今度は、これから株を買おうとしている一般投資家の立場で見てみましょう。
投資家にしてみると、五万円の株Aと三千円の株Bは、どちらが買いでしょうか?
こちらも、「Aより安いから株B」とか、「高くて価値がありそうだから株A」とかいった単純な決め方にはなりません。投資家にとって最も肝要なのは、その株価が、購入後に値上がりしそうかどうかです。
将来その株価がもっと上がりそうなら、株価が今の状態のうちに買っておいたほうがよいかもしれません。株価が下がりそうなら、今買うのはひかえたほうがよいでしょう。
この「上がりそうか下がりそうか」の予想をたてることを、株価予想と呼びます。
わたしたち個人投資家にとっては、この株価予想に基づいて銘柄を選ぶことが、投資を成功させるためには、きわめて重要になります。
株価予想は、証券会社ホームページやYahoo!ファイナンスといったサイトの情報をもとに独自に立ててもよいし、日経平均株価ロボ予想のようなツールを活用して予想を立てるのもよいでしょう。
もちろん、証券会社のアナリストや営業窓口に相談するのもよいでしょう。ただし、こうした旧来の証券会社に初心者の個人投資家が相談すると、うまく言いくるめられてよくわからないままに買うつもりのなかった証券を買う羽目になることも少なくないため、注意してください。
株式発行企業にとっての株価
では、株式を発行する株式会社自身から見ると、株価はどのように関係してくるでしょう?
端的に言ってしまうと、すでに発行済みの株の値段がどう動いても、発行会社に直接は影響ないと言えます。
なぜなら、市場に出回り取引されている株は、いわば株主どうしが「転売」しているようなものだからです。転売価格(=株の市場価格)が高くなっても低くなっても、株式の発行会社の保有資産が、その影響で直接増えたり減ったりすることはありません。
株価はどうやって決まるのか
日々動き続ける株価は、どうやって決められているのでしょうか?
これについては、よく「市場が株価を決める」といいます。
くだいて言うと「売りたい人の希望と、買いたい人の希望が、ちょうど折り合いのつくような価格が、そのときそのときの株価となる」、ということです。
株価=売り手と買い手の希望が折り合った値
ものすごく簡略化して説明すると、次のようになります。
例えば、売り手(株保有者)がみんな500円で売りたくて、買い手もみんな500円で買いたいとします。この場合はスムーズに取引が成立し、株価は500円に決まります。
一方、500円以下で売りたいと思う売り手がいなかったら、どうなるでしょうか?
この場合、もし「500円で買えないなら、510円でもいいよ」という買い手が現れたら、株価は510円になります。
しかしこのとき、510円でも買いたい、という人が現れなかったら、どうなるでしょうか?
こうした場合は、少しずつ下げた価格を提示していき、たとえば505円まで下げた価格を提示してみたら「それなら買おう」と名乗りを上げた人が出たとします。そうしたら取引は成立し、株価は505円となります。
このように、売り手と買い手の希望額の間で、バランスよく折り合いをつけた金額が、そのときそのときの株価となります。
人気株は高く、不人気株は安くなる
おおまかにいうと、みんなが保有したいと思う人気株は株価が上昇し、持っていたくないと思う不人気株は株価が落ちます。
みんなが買いたい株とは、要は「事業がうまくいっている会社の株」のことです。
事業が成長していたり、経営が健全だったり、時流に乗った事業を手掛けていたりする会社の株を持っていれば、その株式発行会社のもうけが、配当金という形で株主にも分配されることが期待できます。
そうした利益を期待できそうな「うまくいっている(/いきそうな)」会社の株は、時間とともにさらに株価が上がり、株主は売買差額でも利益を出せます。
その逆が、不人気株です。事業がうまくいっていない会社や、不健全な経営状態があきらかになったような会社は、配当金などの利益を期待しにくいうえ、最悪では倒産の危険性もあるかもしれません。万一倒産してしまった場合は、株価は大幅に下落することがほとんどです。一瞬で10円20円という株価に落ち込むこともあり、そうなってしまうと、投資したお金のほとんどすべてが戻ってこなくなります。
倒産まではいかなくても、事業がうまくいっていなかったり、経営に関連する情報が不透明であるような会社の株は、人気も下がり、それに応じて株価も下がることがほとんどです。
株価は上がり続ける/下がり続けるとは限らない
人気次第で株価動向が決まる、といっても、多くの株式銘柄は、株価の上昇と下降、あるいは比較的安定した時期を繰り返します。
永遠に上昇だけを続ける株は、ありません。
そのため、株価が上がるか下がるか、未来を完全に予測できる方法はありません。
(これをランダム・ウォーカー仮説と言います)
株価予測の確実性を上げるには
そこで、どのようにして「株価予測の確実性を上げる」か、が重要になります。
そのためには、歴史上さまざまな経済理論も現れ、また今現在も新しい理論が生まれ続けています。
といっても、投資家がすべての理論を理解しなければならないかというと、そんなことは全くありません。むしろ、難しい理論の部分は、出回っているツールやサービスに任せてしまうのが手でしょう。
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まとめ:株価は「現価」だけではなく「動向予測」が大事
株価とは、銘柄単体の現在価格だけを見ても、(投資計画に勘案するという意味では)さして意味はないのです。
株価から投資計画を組む場合は、現時点の株価だけではなく、それが今後上がりそうか、下がりそうか、どのように予測をたてていくかが、最も重要になります。
ここまで、本記事では、株価ということばを軸になるべくかんたんに説明してきましたが、株の(価格ではなく)生み出しうる利益、あるいは株の種類ごとの価格など、理解しておくべき内容はほかにもあります。
株式投資の世界は奥が深いですが、自分が行う投資にある程度の根拠を持てるよう、一つ一つ理解を深めてゆくのがよいでしょう。