26日、数日下落を続けた日経平均株価が3日ぶり反発、ふたたび20000円台に上昇しました。下値のかたい日経平均の動向を受け、投資家心理の中で、株価下落に対する警戒感が薄まっている状況と思われます。
しかし、そんななか、相場急変の兆候とされる「恐怖指数」(VI)や、その他の指標が、異変を示しています。
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史上まれに見る「恐怖指数」の低さが現実に
日経平均株価のVI(恐怖指数)は、26日、11.99という低い数字に達しました。
この値は、同月21日に記録した過去最低VI値である12.19をさらに下回る数字であり、VIの過去最低値を更新したことになります。
しかも、恐怖指数が史上まれに見る低さを示しているのは、日経平均だけではありません。
米国株の恐怖指数であるVIXも、25日には9.04まで下がり、過去最低水準に極めて近い値となっています。
「恐怖指数」の低下、何を示す?
日経平均のVIや米国株のVIXといった「恐怖指数」は、大まかに言えば、「世の中の投資家全般が、どれくらい株価暴落を警戒しているか」の数値、と言い換えられます。
恐怖指数が高いときは、みんなが「株価が暴落しそうだ」と警戒しています。
反対に、恐怖指数が低いときは、みんなが「株価は暴落しないだろう」と楽観しています。
そして、今は恐怖指数がとても低いのです。
つまり「株価は暴落しないだろう」と、みんながすごく楽観している、ということです。
「みんなが楽観」なら、相場は安定し続けるのでは?
ところが、これまでの株式の歴史をふりかえると、このように「みんなが楽観しすぎている」局面のあとには、暴落が起きるケースが多かったのです。
つまり、みんなが「暴落しなそうだな」と思う心理がピークに達したときに、高い確率で暴落がやってくる、という、一見逆説的な法則が、株式投資にはあるのです。
相場急変を予感させるもう一つのデータ「期間変動率」
しかも、暴落が近づいているサインは、これら恐怖指数だけではありません。もう一つ、日経平均の「期間変動率」が07年以来のきわめて低い値となっていることも、暴落が近づいている可能性が高いことを示しているといいます。
値動きの相対的な大きさを示す期間変動率
期間変動率とは、日経平均株価の6ヶ月間の高値と安値の差を、半期ごとの日経平均終値で割った値です。
大まかに言うと、値動きが大きな期間ほど、期間変動率も大きくなります。
しかし、値動きが小さな期間ほど、期間変動率は小さくなります。
今の期間変動率は「9.9%」
直近2017年の1月から6月の六ヶ月間の高値・安値の差を、日経平均の2017年上半期終値で割った値は、9.9%です。つまり、直近の期間変動率は9.9%です。
この9.9%という値を、過去の値と比較してみましょう。
リーマン・ショック直前=9.3%
例えば、2007年の下半期(7月から12月)の期間変動率は、18.9%です。
これは、直近の値である9.9%の2倍近くに達しています。
この値から、2007年下半期には、大きな株価変動があったということがわかります。
そこで、2007年下半期当時の状況を振り返ると、2007年は米国でサブプライムローン危機(リーマン・ショック)が起きた時期であり、相場に暴落が起きた時期でした。
そして、リーマン・ショック直前にあたる2007年上半期(1月から6月)を見てみると、2007年上半期の期間変動率は、9.3%という、極めて低い値を示しています。
同じ9.9%を記録した2005年は、何が起きた?
リーマン・ショック直前の9.3%に比べると、現在の期間変動率である9.9%は「マシなほうでは?」と思った方もいるでしょう。
しかし、そうも言っていられません。
なぜなら、2005年には、今と同じ9.9%の期間変動率を記録し、その直後に大きな相場の変動が起きた例が記録されているからです。
2005年上半期の期間変動率は9.9%でしたが、その半年後である2005年下半期、期間変動率はなんと41%にも達しました。
当時、小泉純一郎政権による郵政解散が行われ、相場が急騰したのです。
この例から、9.9%であろうが9.3%であろうが、期間変動率がきわめて低い値をしめしたときは、すぐ後に大きな相場変動が起きる可能性が高い、ということがわかります。
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落ち着ききった相場心理、近い未来の予兆?
26日、円安を好感で輸出関連株に買いが入り、日経平均は数日ぶりの20000円台へと回復しました。NASDAQなど米国株が前日に上昇したこともあり、相場心理は上向きと見られます。
日経平均株価は、ここ数日下落がつづいていたものの下値は固く、結局6月以来、日経平均株価は20000円台前後を維持しています。冒頭に述べたような恐怖指数の著しい低下が起きるのも、こうした状況をかえりみれば当然と言えなくもありません。
株価の動きは常にランダムであるとはいうものの、昨今の恐怖指数の著しい低下をふまえ、歴史をふりかえると、すぐそこに暴落が迫っている可能性は否定できません。
短期~中期的な動向予測を参考にすることも、投資行動の意思決定に役立つでしょう。
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