Boombergの記事で「世界株投資で先入観にとらわれるな-好成績狙うなら新興市場回避ダメ」という記事があり、読んでこれはどうよと思ったので、記事を書いてみようと思います。
世界株投資で先入観にとらわれるな-好成績狙うなら新興市場回避ダメ
今日のBloombergの記事に世界株投資で好成績を狙うなら新興国市場を買わなければダメという内容の記事がありました。
過去20年のドルベースのリターンの上位10位のほとんどが新興国で、ボラティリティのリスク調整ベースでのリターンでもほとんどが新興国だという理由からです。
では、実際に乗っていた英語の表を日本語に直したのが以下の表です。
○国別株式市場のドルベースのリターン ベスト10
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1997年 | オマーン | トルコ | ロシア | ボツワナ | ハンガリー | メキシコ | スイス | ポルトガル | ギリシャ | クウェート |
1998年 | ギリシャ | 韓国 | スペイン | フランス | ニュージーランド | ポルトガル | アメリカ | ドイツ | モロッコ | スイス |
1999年 | トルコ | ロシア | マルタ共和国 | インドネシア | 韓国 | メキシコ | フィンランド | 日本 | ギリシャ | エジプト |
2000年 | ベトナム | モンゴル | 中国 | ナイジェリア | ラトビア | ジャマイカ | デンマーク | ブルガリア | チュニジア | サウジアラビア |
2001年 | ロシア | モンゴル | ラトビア | カタール | ボツワナ | ヨルダン | 韓国 | スロバキア | クウェート | ナイジェリア |
2002年 | パキスタン | ルーマニア | ブルガリア | エストニア | クウェート | ロシア | チェコ | カタール | ハンガリー | スロバキア |
2003年 | ブルガリア | 中国H株 | リトアニア | ブラジル | タイ | アルゼンチン | トルコ | クウェート | インド | チリ |
2004年 | ドバイ | ルーマニア | エジプト | モンテネグロ | コロンビア | スロバキア | サウジアラビア | チェコ | リトアニア | ハンガリー |
2005年 | モンテネグロ | カザフスタン | ドバイ | エジプト | コロンビア | レバノン | サウジアラビア | ロシア | クウェート | モンゴル |
2006年 | カザフスタン | ペルー | ベトナム | 中国 | キプロス | モンゴル | モンテネグロ | 中国H株 | セルビア | モロッコ |
2007年 | モンゴル | ザンビア | モンテネグロ | 中国 | スロベニア | ナイジェリア | クロアチア | モーリシャス | トルコ | ブラジル |
2008年 | チュニジア | ガーナ | ラオス | ニュージーランド | モロッコ | スロバキア | レバノン | ヨルダン | 日本 | カタール |
2009年 | ブラジル | ロシア | スリランカ | ペルー | インドネシア | ノルウェー | トルコ | アルゼンチン | チリ | インド |
2010年 | モンゴル | スリランカ | ペルー | ウクライナ | エストニア | タイ | インドネシア | チリ | アルゼンチン | フィリピン |
2011年 | モンゴル | ザンビア | ジャマイカ | アメリカ | フィリピン | インドネシア | カタール | モーリシャス | ニュージーランド | マレーシア |
2012年 | トルコ | エジプト | フィリピン | エストニア | ナイジェリア | タイ | ケニア | パキスタン | ギリシャ | ラオス |
2013年 | ドバイ | アブダビ | ブルガリア | ナイジェリア | ケニヤ | ガーナ | アルゼンチン | アイルランド | パキスタン | フィンランド |
2014年 | 中国 | パキスタン | エジプト | インドネシア | スリランカ | フィリピン | アルゼンチン | インドネシア | トルコ | カタール |
2015年 | ジャマイカ | ラトビア | ハンガリー | デンマーク | マルタ共和国 | スロバキア | アイルランド | 日本 | エストニア | 中国 |
2016年 | ブラジル | カザフスタン | ペルー | ロシア | パキスタン | ナミビア | ハンガリー | モロッコ | コロンビア | ブルガリア |
黄色のセルが先進国で色がない部分が新興国です。
たしかにほとんどが新興国で先進国が過半数を占めてるのは1998年しかありません。
Bloombergの記事で言っている通りで新興国市場に投資することが、世界市場投資では重要ということがわかります。
しかし、ベスト10に入っている新興国の範囲が広すぎませんかね?
2016年で2位のカザフスタンに投資するのは、投資信託などでロシア東欧系のファンドかアジアの新興国ファンドくらいしか見当たりません。
実際、楽天証券で調べてみたら、カザフスタンが入っている投資信託は、2本ありましたが、「ドイチェ・ロシア東欧株式ファンド」は、設定来では-22%の騰落率で「ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド」は設定来での騰落率は、+71.08%と好成績ですが、1年で見ると-2.80%とマイナスの成績でした。
「iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF」でも23か国にしか投資していません。
設定来での騰落率は約+300%になりますが、2007年からは、ほとんどマイナスで2007年の時の高値よりマイナスになっています。
2016年の6位ですが、ナミビアに投資しようとか思わないですよね普通は。
実際、上位10位に入っているような国のすべてに投資するのは不可能だと思われます。
東欧の国がかなりの割合で入っていて、アフリカやアジアとかなり幅広く入っています。
そのような人はいないと思いますが、個人投資家にとって、この記事のタイトルを早とちりして、新興国市場に投資しようと安易に手を出すと痛い目を見る可能性があります。
新興国投資は、たしかにどこかの新興国がかならず伸びていますが、一定の地域や国が伸びているのではなく、どこかの新興国が伸びているということですので、その時に伸びている地域や国を見極めて投資する必要があると思われます。
新興国投資は、伸びているところもあれば減速しているところもありますので、新興国すべてに投資できたとしてもプラスになるかどうかは、わからないので、注意が必要です。
参考:Bloomberg 世界株投資で先入観にとらわれるな-好成績狙うなら新興市場回避ダメ