中長期ドル円、日米の実質金利差拡大で円高リスク意識へ(2020年、2021年、2022年~)

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中長期のドル円は日米の実質金利差拡大で円高リスク

2020年から向こう数年(2020年、2021年、2022年~)のドル円見通しは、円高リスクが高いと考えられます。

というのも、米・日の金融環境を比べた場合、日本の方が「実質金利が高くなる」可能性があるためです。

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実質金利差から見たドル円見通し

米・日の実質金利の状況

「実質金利」とは、ある国における金利から、インフレ率(物価の値上げ率)を引いた数字です。

一般には、実質金利が低いときよりも、実質金利が高い時の方が、その国の通貨は買われる傾向にあります。保有していて得られる実質的な金利がより大きいと期待できるためです。

2020年7月現在の米・日の実質金利を比較すると、下記のようになります。

米国: (政策金利0.0%) – (インフレ率1.0%)= -1.0%
日本: (政策金利-0.1%) – (インフレ率0.1%)= -0.2%

現在は、すでに日本円の方が実質金利が高い状況で、ドルに対する日本円は上昇圧力がかかっていると言えます。

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米・日の実質金利見通し

この米・日の実質金利差は、さらに拡大すると見込まれています。というのは、下記の二つの理由によります。

  1. 両国が低金利政策を続ける公算が高い
  2. 日本よりも米国の方が、早期の景気回復が見込まれる

これがどういうことかを見ていきます。

景気の早期回復により、米国の実質金利は低下

米国は、コロナ禍の打撃で景気後退期に突入、しかし数多くの大規模経済対策や財政出動により、比較的早期に経済活動回復が見込まれています。

経済回復が進めば物価も上ると見込まれるため、インフレ率(物価上昇率)は長期目線では上昇見通しと言えます。

とはいえ、FRB(米中銀)は低金利政策の長期化を示唆しており、金利はしばらくゼロ付近で据え置きと見込まれています。

ここで仮に、金利をわかりやすく0%据え置きとし、物価は毎年1%ずつ上がる、と仮定して、実質金利の推移をシミュレーションしてみます。

今年  金利0% – インフレ率 +1% = 実質金利 -1%
一年後 金利0% – インフレ率 +2% = 実質金利 -2%
二年後 金利0% – インフレ率 +3% = 実質金利 -3%

このように、金利が据え置き、しかし物価は上がる、とすると、米国の実質金利はどんどん下がっていくことになります。

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景気回復の遅れにより、日本の実質金利は上昇

一方の日本は、やはりコロナ禍で景気後退期に突入しているものの、米国に比べると、経済対策や財政出動は奏功しているとはいいがたく、景気後退期の長期化が懸念されています。

景気後退が長引けば、物価には、据え置きもしくは下落圧力がかかります。つまり、インフレ率(物価上昇率)は長期目線では下落見通しとなります。

また、長らく低金利の続いてきた日本が、コロナ禍による今後の景気低迷期において利上げを行うとの公算は極めて低く、こちらもゼロ金利やマイナス金利が続くとみられています。

ここで今度は、金利が0%据え置き、物価は毎年1%ずつ下がる、と仮定すると、実質金利の推移をシミュレーションした結果は下記のようになります。

今年  金利0% – インフレ率 +0.1% = 実質金利 -0.1%
一年後 金利0% – インフレ率 -0.9% = 実質金利 +0.9%
二年後 金利0% – インフレ率 -1.9% = 実質金利 +1.9%

このように、金利が据え置き、しかし物価は下がる、とした場合、日本の実質金利はどんどん上がっていくことになります。

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日米の実質金利差が広がれば、円には買い圧力がかかる

このように、米・日とも金利は低水準で据え置き、しかし物価は米国で回復・日本で低下、とすると、実質金利は日本の方が高くなる公算となります。

もちろん、上記のシミュレーションのようなわかりやすいインフレ率の推移になる可能性は高くはありませんが、米国がインフレ傾向が強く、日本はデフレ傾向が強い、というのは市場の見方が一致するところと言えるでしょう。

となると、資金は米ドルよりも日本円に流れる観測が強まり、今後数年の見通しは円高傾向、と考えられることになります。

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今後の円高説を補完するいくつかの材料

また、米・日の実質金利見通しのほかにも、今後数年の円高見通しを裏付ける材料は、いくつか考えられます。

世界各国での長期金利低下傾向

やはりコロナ禍により、世界の主要国家では長期金利(=10年物国債金利)が低下しており、日本の長期金利との差が縮小傾向にあります

コロナ禍以前であれば、低金利な日本円を売って、より高金利な海外通貨を買う、という流れが見られたものの、どこの国も低金利となると、より安定した通貨である日本円を売って、よりリスク資産である外国通貨を買う理由が、薄くなってしまいます。

このため、世界的な長期金利の低迷観測も、日本円の上昇圧力になる、と考えられます。

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原油安観測

原油価格の低下傾向も、円高見通しを補完する材料となります。

2014年まで100ドル前後であったWTI原油先物価格は、2015年に50ドル前後へ低下、さらに2020年の「コロナショック時」には市場初の「マイナス」37ドルまで下落しました。

そののち戻しはしたものの、2020年8月現在はコロナ前夜よりも20%ほど低い40ドル前後で推移しており、原油価格の低迷は、今後も継続するとの観測が出ています。

こうした、今後の原油安観測は、原油輸入国である日本にとって支出減を意味し、ひいてはGDPの上昇へとつながります。

そして、日本のGDP上昇観測は、日本円買いにつながります。

こうした流れで、原油安観測も、今後の円高見通しを裏付ける材料となります。

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円高リスク意識の数年へ

米・日の実質金利見通し、そしてその他のいくつかの材料をもとに、今後のドル円見通しについて解説しました。

ほかにも、コロナ禍の見通し不透明感はもちろんのこと、2020年11月の米大統領選、米中対立懸念など、多くのリスクが存在しており、これらの推移しだいでは、より急激な円高局面への突入、あるいは90円台など大幅な下値拡大なども考えられるでしょう。

もちろん、今後数年で円安に振れるシナリオも十分に考えられますが、当面は円高リスクを意識する期間が続きそうです。

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