米選挙後のドル円は「議会選次第」? 2020年米大統領選とドル円予想

衆議院選挙

いま市場が最も注目しているイベントは、11月3日の米大統領選挙だと言って間違いはないでしょう。

選挙戦前の現在は、民主党候補のバイデン前副大統領が支持率でリードしており、市場はバイデンの巨額におよぶ財政出動や上下院のネジレ解消(両院で民主党が勝利)への期待感から、リスクオンの状況が続いています。

しかし、前回の2016年米大統領選を思い起こすと、そのときも事前調査で劣勢であったトランプが、開票結果では逆転勝利となりました。しかも「トランプ勝利なら大幅円高 (↓) 」と予想されていたのが、実際は1か月で15円もの大幅円安 (↑) となっています。

この例にならえば、今回の2020年米大統領選挙も、開票まで何が起こるかわかりません。今回はどのような展開となるか、2016年米大統領選挙の流れをふりかえりつつ、大統領選後のドル円展望を解説します。

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前回選挙後の大幅円安は「誰のおかげ?」

2016年11月8日に行われた前回の米大統領選挙は、大方の事前予想に反して共和党が勝利し、トランプ米大統領の誕生となりました。

そして為替市場でも、「トランプ勝利なら円高」との当初予想に反し、大幅な円安が進みました。

前回の大統領選挙前に103~104円台であったドル円レートは、大統領選挙を経てほぼ一本調子での上昇トレンドへと移行し(週足は大統領選挙の週から6週間続けて陽線を形成)、11月末に114円台でようやく上昇一服となりました。

その後ひとまず値動きが停滞したものの、12月中旬にかけて再び反発、12月15日には高値118.66円まで到達しました。


・ドル円の日足チャート(画像はTradingView、以下同様)

大統領選前のレンジが103円台とすると、大統領選後高値の118.66までは、たったの約1カ月で約15円もの大幅かつ急速な円安が進んだことになります。

なお、このときの高値118.66は、現在(2020年10月)にいたっても更新されていません。

大幅円安のワケは「トランプ勝利」+「上下院の共和党勝利」

前回選挙では、なぜここまで円安が進んだのでしょうか?

この時に注目されがちなのは、やはりトランプ候補の逆転勝利ですが、その一方で、ここまでリスクオンの円安が進んだ背景には、米議会選挙で上院と下院の両方を共和党が制したことも押さえておく必要があります。

当時「理念重視の民主党、ビジネス重視の共和党」とも称されたなか、共和党が米上院下院とも勝利したことで、それまでの民主党オバマ政権下における社会問題や環境問題を重視した政策(ビジネス界の負担増)から、共和党トランプ政権下でのビジネスフレンドリーな政策へと移行し、しかもそれらの政策が矢継ぎ早に実行される、との期待感が、急激に強まったのです。

つまり、前回選挙後の大幅円安は、トランプ政権のビジネスフレンドリーな政策への期待感と、米上院下院がいずれも共和党勝利となって政策がスピーディに実行されるとの期待感の、相乗効果であったと言えます。

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2020米大統領選とドル円予想

では、今回の2020年米大統領選は、どのような展開をたどるのでしょうか?そして、ドル円レートはどのような値動きを示すのでしょうか?

米大統領選直前となる今年2020年のドル円の動きを振り返りつつ、トランプ・バイデン両候補がそれぞれ勝利した場合のシナリオを考察します。

ドル円は大統領選向けペナントパターン

今年10月までのドル円チャートは、どんどん狭い値幅へ収束していくペナントパターンを形成中で、値動きが停滞しています。


ドル円月足チャート

このペナントパターンが米大統領選を意識したものだとすると、このパターンは投票日の11月3日まで継続し、開票後にはパターンブレイクとなって、大きな値動きを生じる可能性があります。

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では、パターンブレイク後の値動きは、大統領選勝利者のそれぞれで、そのようなものになるのでしょうか?

トランプならビジネス路線継承で円安?

まず、トランプ勝利となった場合のドル円を予想してみます。

現職トランプ米大統領が勝利、かつ米議会でも上院下院とも共和党が勝利、となった場合は、

・ビジネスフレンドリーな政策路線の継続
・議会のネジレ解消

により、追加経済対策のような大型景気刺激策を実行する力が戻り、リスクオンの円安が進む (↑) と見られてきました。

この場合、2019年以降の高値112円が最初の高値メドとなり、次は2017年以降の高値114円も視野に入ってくると考えられます。


・ドル円週足チャート

ただし、このところになって、トランプ勝利による円高リスクも浮上してきています。すなわち、

・対中強硬姿勢による地政学的リスクの強まり
・議会選での民主党優勢によりネジレ議会発生のリスク

が意識されているのです。とくにネジレ議会継続(現在は上院が共和党・下院が民主党でネジレ議会の状態)となれば市場の懸念は強まると考えられ、この場合はリスク回避の円高展開 (↓) となって、レンジ下限100円がひとまずの視野に入ってくる可能性があります。

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バイデンの巨額財政支出に期待?

一方、バイデン勝利となると、市場はどのように反応するでしょうか?

当初は、バイデン勝利なら増税路線、しかもトランプ政権の経済政策が見直される、との見方から、円高リスクが高まると考えられてきました。

しかし、大統領選が近づきバイデン優勢が明らかになってくるにつれ、市場では下記の点に注目が移ってきています。

・バイデンの方が財政支出額は大きい
・民主党が上院・下院とも勝利する可能性

これらのポイントに注目することにより、バイデン勝利かつ民主党も上下院勝利で、巨額の経済対策がスピーディに実行に移される、との期待感が浮上しているのです。

この場合は、リスクオンの円安が強まり、やはり2019年来高値112円、次に2017年来高値114円をめどに上昇トレンドに乗る (↑) 可能性があります。

バイデン勝利・民主党が上下院勝利の場合は、政権刷新とあって期待感も大きくなる可能性があり、前回の大統領選後高値118円を目指す可能性もなくはないでしょう。ただ前回と違うのは、いまの世界経済は新型コロナ禍のまっただなかということであり、サプライズがなければ118円までの上昇は難しい可能性もあります。

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大統領選後はペナントパターンブレイクか

ここまで見てきたように、11月の米大統領選後は、現在ドル円レートがたどっているペナントパターンを上下どちらかにブレイクする可能性が高いと言えます。

ただ、大統領選が近づくにつれて浮上してきた市場の見方を顧みると、どちらの候補が勝てば円安 (↑) で、他方が勝てば円高 (↓) といった単純な図式には収まらないようです。

むしろ、大統領選後のドル円の展開は、どちらの候補が勝つか、と言う点よりも、当選した候補者の属する政党が議会上下院を両方制することができるか、と言う点にかかっているとも考えられます。

現在の時点ではバイデン優勢が継続、また上下院とも民主党勝利の可能性が高いとの見方が優勢です。

しかし、大番狂わせの生じた2016年のように、開票まで何があるのかわからないのが大統領選挙の通例とも言えます。今後両候補がどのような動きを見せるか、開票まで注意深く市況を見守る必要がありそうです。

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