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【17年下半期】「彼岸底」で株価下落?/九月のアノマリー

2017年8月は、それまで続いて来たレンジ相場から一気に日経平均株価が下がりました。

直接的な原因は北朝鮮リスクの高まりなどが見られますが、この年に限らず、8月という月は、株価が下がる月とよく言われます。(八月株安)
こうした、過去の経験則に基づく格言のようなものを、株の「アノマリー」と呼びます。

そして、9月にもアノマリーは存在し、それによれば9月は下落傾向となりそうです。この「9月のアノマリー」は当たるのでしょうか?今年の日本株と9月のアノマリーについて考えます。

九月のアノマリー(彼岸底)とは

アノマリーというのは、明確に原因が究明されているわけではないものの、過去に何度も起きたことがある現象を指します。たいていは格言めいた言い回しで説明されます。

9月の相場についても、アノマリーが存在します。最もよく知られるのが「彼岸底(ひがんぞこ)」というアノマリーです。

これは、秋のお彼岸の月である9月が、一年のうちで最も下がりやすい月である、という意味合いです。

お彼岸には春のお彼岸(二月)と秋のお彼岸(九月)がありますが、ここでいうお彼岸はもちろん、秋の方です。

なぜ九月は下がりやすいのか

なぜ九月が底になりやすいかを考えると、次のようになります。

欧米の決算月(=年度末)は11月から12月にかけてですが、それに向かって年度の業績がだんだん見えてくるのが、およそ九月上旬当たりです。

業績がだんだん見えてくると、投資家たちは利益確定の売りを開始します。個人投資家・機関投資家ともこうした傾向が見られ、それで九月の株価が大きく下がるというわけです。

海外相場の影響を強く受ける国内相場

しかし日本では、決算月(年度末)は2月から3月ですね。となると、欧米の年度区切りがきっかけの九月のアノマリーは、日本では起きないのでしょうか?

それが、そんなことはありません。

なぜなら、現在、日本の市場は海外の株価動向に大きく影響を受けており、多くの場合において似た動きを示すからです。

売りが出て下げる海外市場に引っ張られ、国内の9月相場にも、利確・損切りの売りが出て、けっきょく相場は下げ調子となることが多くなります。世界中で似たような影響が派生するため、日本に限らず、12月決算ではない他の国でも、統計的に9月は下がりやすくなる、と言われます。

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九月の投資行動を考える/もう一つのアノマリーとは

また、九月にはもう一つのアノマリーがあります。「九月頭のトレンドが続く」というものです。

こちらは、九月頭に下げ調子なら9月末まで下がり傾向となり、九月頭に上げ調子ならそのまま末まで上げ傾向となる、というものです。

九月頭のトレンドが続くのはなぜ?

これは、9月という時期が、欧米では第三四半期の追い込み、国内も上半期末と、いずれも中間決算月にあたることが原因と考えられます。

なんとしても好業績を上げたい本決算月とはまた異なり、こうした中間決算時には、業績評価は「道なり」となる傾向があります。

ともすれば、最終決算月に向かって一度目標を下方修正する企業が見られることは少なくありません。こちらがより強く影響して下げることは多く、結局九月は「彼岸底」となるケースが多々見られます。

投資判断、九月は慎重に

このように、9月第一週あたりに強い景気上昇の兆しが見えない限り、九月の相場は下落を警戒したほうがよいと言えます。

「彼岸底」というと国内株に限った話のように見えますが、海外の経済指数でも、たとえば米S&P指数を見ても、九月はリターンの低い月であるとの統計が出ています

さらに10月を超えて年の瀬に入ってくると、株高の傾向が見られるケースも少なくありません。こうしたことから、九月は待ちと言われるのが一般的です。

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次の九月の見通しと経済イベント

経済イベントとしては、九月には各国で国内総生産(GDP、前期比もしくは前年比)発表などが控えています。その内容が好感される可能性もありますが、今のところは北朝鮮リスクの見通し、あるいは米利率見通しなどに不鮮明さが漂っています。

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補遺:春のお彼岸の「彼岸底」はどうなの?

お彼岸は年に2回あり、そのうち一回目のお彼岸となる二月にも、株価が下降傾向を見せる、との説もあります。

しかし、実際に統計情報を見ると、二月は上昇することが多く、同じお彼岸でも2月のほうはあまり当たらないようです。

二月の「彼岸底」アノマリーが定着したのは、バブル時代の「節分天井・彼岸底」、つまり2月上旬に高値、二月下旬から三月まで下がる、という傾向のためです。

当時は、米国の年度始めである1月に、米国から新規資金が国内市場へ流入していました。それが天井をつけるのが大体二月頭で、それから3月までは利益確定売りで株価が下がっていく・・・というのが、「節分天井・彼岸底」の内情だったようです。

しかし、現在は海外相場変動が国内相場に与える影響がより大きくなっており、上記のような流れだけで節分天井・彼岸底になることは少なくなった、と言われています。

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