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「ゴトー日」アノマリーとは/FXへの影響?株式には?

投資の世界でも特に有名なアノマリー(投資家たちの間で共有される経験則、ことわざや格言のようなもの)に、「ゴトー日(5・10日)」というものがあります。

その名の通り、5か10の付く日、たとえば10日や25日といった日付には、ドル高・円安になる、というのが、このアノマリーの意味合いです。でも、なぜそうなるのでしょうか?また、為替レートではなく株価への影響はどのようなものなのでしょうか?

ゴトー日とは

ゴトー日とは、具体的に言うと、毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日のことです。毎月少なくとも5回、多ければ6回やってくるのが、このゴトー日です。

ゴトーというのは、5と10のことです。ゴットー日、5・10日、あるいは漢字で五十日と書いてゴトー日と読ませることもあります。

支払いのためのドル需要が高まる

ゴトー日には、ドル高・円安が起きやすくなる、といいます。それはなぜなのでしょうか?それには、れっきとした理由があります。

まず、ゴトー日は、日本の企業がお給料の支払いをしたり、決算をしたり、取引先への支払いを行ったりすることが多いのです。お給料日が10日や15日、25日という方も多いのではないでしょうか?まさにそれがゴトー日です。

ゴトー日に起きやすい為替関連のイベントがあります。それは、輸入企業(外国から資源や商品を買う)の支払いです。

海外企業との取引は多くがドルで行われることになり、この日の輸入企業は、支払いを済ますために、自分が持っている円を、ドルに両替する必要が出てきます。つまり、円売り・ドル買いのニーズが高まるのです。そうなると、買いが増加したドルは高くなり、売りが増加する円は安くなります。

この、大きなドル買い円売りの潮流が、ゴトー日アノマリーを作る主な原因と言われています。

ドル需要の高まりを見込んで、銀行もドル仕入れを加速する

ゴトー日にドルを手に入れたい企業が増えるのを、ドル供給源である銀行は見越しているため、銀行も価格が上る前にドルを仕込んでおこうとします。市場の買いが始まってからだと遅いので、なるたけ早く銀行はドル買いを進めます。

銀行は、ドルが安いうちに買い込んでおき、あとで需要が高まってドルが高くなった時に売れば、利益を最大化できます。それもあって、銀行のドル買いは早いうちに進みます。

ゴトー日の相場は「仲値」を境に見る

ドル円レートを見るときには、仲値(なかね)というものを基準にすることが多いものです。仲値とは、日本時間朝9時55分に決まる、その日のドル円取引の基準となるレートです。

もちろん、ドル円レートは刻一刻ととどまることなく世界各地で変動しています。しかし、銀行が顧客に対して円とドルを両替するとき、レートが変動していては取引ができません。そこで、この仲値というものをレートとして据え置き、その日のあいだじゅうは仲値のレートで取引をするのです。

さて、ドル需要が増えるゴトー日、この仲値は銀行にどのような影響を与えるでしょうか。

当然、仲値がドル高円安なら、ドルを売る銀行は儲かります。
しかし逆に、仲値がドル安円高なら、銀行は同じ円の額でより多くのドルを売らなければならなくなり、銀行の儲けは縮小してしまいます。

そこで、仲値をできるだけ上げようとするのです。つまり、銀行がドルを大量に買い、ドル円レートを上げる(=ドル高方向に持っていこうとする)努力をするのです。

仲値に向かってドル高へ、仲値を離れてドル安へ

このように、ゴトー日にドル高円安が進むメカニズムを考えると、ゴトー日の一日の間に、ドル円がどう推移していくかがイメージできます。

まず、ゴトー日のドル円は、仲値が決まるまでにドルを大量に仕入れようとする銀行の買いによって、ドル高方向へ上昇していきます。

そして、9時55分の仲値が決まると、銀行と企業(や個人)との間で取引が始まります。この際、海外へ支払いを行いたい輸入企業らによってドルは大量に買われ、円は売られます。

その後、輸入企業が必要なドルを仕込むと、ゴトー日のドル需要は一息つきます。そうなるとドル円は上昇を止める、あるいは相対的に円高ドル安の方向性を示します。

このように、仲値の9時55分をめどに、ゴトー日のドル円相場は変動していきます。

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ドル高になる日があるなら、円高になる日はないの?

ここで、「ドル高になる日があるなら、円高になる日があってもよいのでは?」という疑問を持った方も多いのではないでしょうか。

もちろん、ドルをみんなが一気に円に両替したい日も、あってもよいはずです。例えば、輸出企業が日々得ているドル収入を、毎月の特定のタイミングに合わせて円に両替する…といった日があってもいいように思えます。

しかし、少なくとも月ごとのスパンで、ゴトー日と対になるようなアノマリーは聞いたことがありません。それよりも、国内企業が決算期を迎える3月の円高だとか、中間決算を迎える8月の円高だとか、そうした半期ないし四半期の区切りで円高が生じることが多いようです。

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ゴトー日は株価には影響を与えないの?

ここまで、為替市場の動きでゴトー日を説明してきましたが、アノマリーが株価に影響することはないのでしょうか?
その答えは、「ゴトー日による株価への影響は、あまりない」です。

ゴトー日はドル高にはなりやすくても、これで直ちに株価が動くかというと、そうでもありません。というのも、ゴトー日があくまで為替に関する定期的イベントであり、株式投資トレンドを転換させるほどのインパクトが薄いからでしょう。ゴトー日にはドル高に動きそのあと円安になる、というのはある種周知の事実とも言え、株価はそれをすでに折込済みである、とも言えるのです。

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ゴトー日の実現性はどの程度なの?

ゴトービにドル高円安が実現する確率は、どのくらいなのでしょうか?
答えは、意外と多くないのです。

様々な検証がすでに行われていますが、体感では、実証率は5割前後というところです。というのも、ドル円の動きは、ゴトー日のドル高圧力もさることながら、その他の様々な政治イベント・経済イベントによって変動するところのほうが大きいからです。

例えば北朝鮮情勢の緊迫度が急激に高まることで円買いが加速するなど、こうした外的要因によってドル円レートが大きく変動することは全く珍しくありません。

ただ、覚えておきたいのは、ゴトー日に定期的に起きる「ドル買い・円売り圧力」は、確かに存在する、ということです。ゴトー日を経理的な区切りにしている企業が多いことは、社会人ならほとんどの人が共感できるはずです。ゴトービにドル需要がふくらむのは自然なことであり、たとえ結局ドル安円高に振れるゴトー日があっても、その中には平時よりも大きなドル高円安の圧力が含まれていたはず、と考えて良いでしょう。

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大きなトレンドにゴトー日がどう作用するかを考える

こうしたことを踏まえると、ゴトー日アノマリーの「活用法」としては、まず大きな経済イベントに注目した上で、さらにゴトー日によって生じるドル買い圧力が、最終的にどのような方向にドル円トレンドを誘導し得るのか、と、二次的な要素として考慮すること、とも言えます。

平時、ルーチンとして起こるゴトー日のトレンドはもちろんながら、例えば地政学的リスクの高まり、あるいは選挙など政治イベント立ち上げといった、なんらかの材料イベントに対して、ゴトー日がどのような影響を与えるか、そのように考えれば、このアノマリーを投資に役立てることができるかもしれません。

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