米トランプ大統領が立法における本願として掲げる政策が、税制改革です。
トランプ政権による税制改革案は、いまだ施行には距離があるものの、なんらかの進展があるたびに米株価に影響を与え、そこからさらに日本株にも影響を波及させています。
トランプ政権の掲げる税制改革案は、いったいどのようなもので、今後どういったスケジュールで進行するのでしょうか?今手に入る主要な情報を、本記事でまとめます。
このページの目次
米税制改革とは?/大まかなまとめ
トランプ米大統領と与党である共和党が公表した税制改革の提案は、米景気を一気に加速させる可能性があるものとして、いま世界中から、その進展が注視されています。
1986年以来の大規模な税制改革
米下院のライアン議長は、この税制改革につき「(米国の)経済成長、雇用機会の再上昇、困窮する中間層の家庭への支援」といった点で、きわめて大きな好影響を与えるだろう、と述べました。
この税制改革案は、かつてのレーガン政権により大規模な減税(レーガノミクス)が行われた1980年代以来の、大規模な税制改革と言われています。
具体的な内容は、ざっくり2つ
その内容は、具体的には、下記の2つにまとめられるでしょう。
1. 法人税率の大幅引き下げ(35%→20%)
1の法人税大幅引き下げが、この改革の本丸と言ってもよいでしょう。
施行されれば現行の35%から20%まで税率が引き下げられ、これにより米景気が大きな好影響を受けると見られています。
2. それによる税収減補填等のため各種税制見直し
ただ、法人税を30%ほど下げることになるわけで、それによる税収減は避けられません。これにより米連邦予算は、今後10年で1.5兆ドルもの赤字増と見込まれています。
そこで、他の様々な税制も見直すことにより、減収幅を縮小したり、あるいは富裕層と中間所得層(あるいはそれ以下)との待遇差を是正したりしようとしている、というのが、おおまかなトランプ税制改革案の構造と見てよいかもしれません。
ここまでの改革案進捗 まとめ
トランプ大統領は、当初は2017年内に法案可決し2018年に施行、という流れを見込んでいました。しかし、2017年11月現在、そのもくろみどおりには進んでいません。
その理由として大きいのは、野党である民主党、ならびに共和党内の一部勢力からも、改革案の内容に対して懸念が噴出していることです。
民衆を締め付け、富裕層を優遇する?
たとえば、上記の「2. 各種税制見直し」の中には、個人の収める税(州・地方税、SALTと呼ばれる)を控除する範囲を現在より狭くしたり、住宅ローンで税金支払い義務が適用される範囲を拡張したり、というものも含まれています。
しかし、これが中間所得者層の締め付けにつながりかねない、という声が挙がっています。
さらにこの法案では、相続税の撤廃といった富裕層優遇とも取れる施策も含まれています。法人税の大幅減額、富裕層に利する税制撤廃、さらに中間層からの税収増、となると、税制改革で得をする層と損をする層がはっきり分かれてしまう、というのが、反対派のおおまかな主張です。
下院通過も上院通過はまだ不透明
税制改革が実現するためには、米上下両院(上院と下院)で可決される必要があります。下院に関しては、この11月16日(米時間)に、賛成多数で可決されました。
しかし、もう一方の上院に関しては、民主党の反対と共和党内の一部反対勢力の存在により、まだ見通し良好とは言い難い状況です。
仮に民主党議員が全員反対に回ったとすれば、さらに共和党議員がたった2人反対に回っただけで、上院における税制改革案は否決となる、とも報じられています。
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これから上院通過の必要がある
もし上院でも審議通過となれば、税制改革はいつ施行されるのでしょうか?
11月17日に下院を通過した案では「2018年に施行」とありましたが、上院の審議案では、進捗の遅れを見越して「2019年に施行」とあり、仮に上院通過しても、どちらのプランになるのか、すり合わせが必要な状況です。
上院での審議通過にトランプ大統領がいつ頃を見ているかは、はっきりしていません。
来年の米中間選挙が節目か
ただ、来年の2018年11月6日には、米中間選挙が控えています。
これは、大統領任期の4年のちょうど中間の年に行われる上下両院選や州知事選の総称であり、ここで共和党が過半数維持できるかどうかで、トランプに対する国民の信が問われることになります。
これに万全の状況で臨む目的で、トランプ大統領はそれまでに税制改革を上院で通そうとする可能性もあります。
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米税制改革案の今後と、株価への影響
さて、これまでの米税制改革と株価との関連を見てみると、「米上院案では施行が2019年」と報道された際には、ダウ、ならびに波及した日経平均株価が、株価が大きく下げています。
しかし、この17日に下院通過が報じられた際には、それでも一定の進展を見たと受け取られ、下落前の高値圏に迫る株価上昇が起きています。
これからの税制改革案の進み方次第で、ふたたび株価が大きな影響を受けることは、想像に難くありません。
最速では2018年に株価高騰も
今後の可能性としては、2018年3月ころから9月ころまでに上院通過で施行見通しがたち、中間選挙の2018年11月を経て、2018年~2019年に税制改革実施、という見通しになります。
トランプ大統領はこの税制改革を、就任以来初の法制成果として刻むつもりでおり、なんとしても上院通過にこぎつける可能性が高いと言えます。
上院通過の際(2018年春~夏?)には株価上げ、米中間選挙(2018年11月)は結果次第で株価上下トレンドは分かれるものの、改革施行(2018年末~2019年?)で株価は上昇圧力を受けるでしょう。
予期せぬ動きの多いトランプ大統領だけに、今後さらにどのようなイベントがあるかはイメージしにくいものがありますが、こうした節目を大まかに注視しておくべきと言えるでしょう。
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