日経平均先物(日経225先物)を取引する際、必ず重要になってくるのが、日経平均先物を取り扱う海外の証券取引所2つです。一つはCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、そしてもう一つが、SGX(シンガポール取引所)です。
SGXのような海外の取引所が重要視されるのは、まず第一に、日本の証券所が休場中でも取引が行われているからです。日本と時差があるために、日本が取引時間外でも、SGXやCMEでは取引が進み値が動いているのです。
このことを利用し、日経平均先物の、とくに寄付き値を予想する際に、SGXやCMEでの日経平均株価を参考にすることができます。この記事では、SGXの基礎的な知識と、日経225先物取引の際のSGXの重要性について説明します。
このページの目次
SGX(シンガポール取引所)とは
SGXは、東南アジアはシンガポールに所在する、総合取引所です。現物取引のほかデリバティブ取引も取り扱っています。
SGXとは「SINGAPORE EXCHANGE(シンガポール証券取引所)」の略称からなります。もともとは、かつてシンガポールに存在した旧SIMEXと旧SESという二つの取引所の合併によって生まれました。
アジア初の先物市場
SGXの前身と言える旧SIMEXは、1984年にアジアで初めて金融先物取引を扱ったことで知られています。なお、日本で先物を扱う現・大証(大阪取引所)の先物取扱開始は1988年です。
SGXが扱うデリバティブには、株価指数や為替、コモディティなどがあります。この中には、日経225の先物も上場しています。
日経平均先物を扱う3大取引所の一つ
日経平均先物を扱う取引所は、国内の大証のほかは、同じアジア圏の大手取引所であるSGX、そして世界市場の中心的な位置を担うCMEの、合わせて3つしかありません。
そして、この3つの取引所が、互いに異なる取引時間で動いていることにより、ほぼ全ての時間帯において、日経平均株価の「現在の状況」をとらえられるようになっているのです。
日経225先物の取引時間 大証・SGX・CME
大阪取引所(大証)の日経225先物の取引時間は、8時45分から15時15分(日中セッション)、そして16時30分から翌5時30分(ナイトセッション)です。
そのため、大証だけ見ると、日中セッションが終わってからの1時間強、またナイトセッションが終わってからの3時間強が空白の時間帯となります。
この空白を埋めるのが、SGX、そしてCMEにおける日経225先物取引です。これらの海外取引所における日経225先物の値動きを追うことで、先物価格の動向がわかります。
とくにSGX先物は、日本の取引所(大証)の取引が始まる15分前にスタートするため、その日の日経225先物の取引判断の基準として注目されることが多くなります。
大阪取引所・SGX・SMEの取引時間 見取り図
大証・SGX・CMEの取引時間を横に並べると、次の図のようになります。
青い時間帯は海外取引所のオープン時間です。右端の赤い時間帯は大証の取引時間ですが、これに海外取引所(SGX・CME)の取引時間を重ねたのが、紫色の時間帯です。
これを見ると、3つの取引所すべてが閉まっている午前6時~8時(夏時間期7時)の時間帯以外は、常に日経225先物取引が動いている、ということがわかります。
大証・SGX・CMEの相関関係
SGX先物は、日本時間8時30分に昼間のセッションが始まります。この価格を見つつ日本時間8時45分に始まるのが、大証先物です。そのため、大証先物の始値は、SGX先物の値段にサヤ寄せすると考えられます。
SGX先物の価格は、先物だけではなく、現物の日経平均株価にも、当然影響を与えます。日本次回8時30分というスタート時間も、日本の投資家にとっては、取引前の参考値確認にちょうどいい時間と言えるでしょう。
なお、SGX先物が始まるより早く、CME先物が日本時間8時(夏時間7時)から始まります。そのため、SGX先物の始値も、CMEの値段を見つつ決まると考えられます。
3取引所の取引高
日経225先物の取引高は、3つの取引所で、それぞれに相当なボリュームがあると言われています。2010年ころであれば、大証は月あたり150万枚程度、SGXは230万枚程度、CMEは70万枚程度(いずれもラージのみ)と、十分な流動性が担保されていると見てよいでしょう。
大証は地元だから多そうだとか、海外だから少なそうだとか、そうした印象を持つかもしれませんが、意外とそのようなことはありません。
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売買は各取引所内に限定される
価格がサヤ寄せするといっても、それぞれの証券取引所で取引される日経225先物商品は、あくまで別々の商品です。
日経225先物商品を調べると、大証のもの、SGXのもの、CMEのものと、それぞれが別々に扱われているのは、そのためです。たいていは「日経先物 大証」「日経先物 SGX」「日経先物CME」などと呼ばれます。
なお、どの取引所も円建てで日経225先物を取引できますが、CMEとSGXでは円建てのほかドル建ての商品も扱っています。仮に円建て同士であっても、それぞれの取引所をまたいで売買を行うことはできません。例えば大証で買いポジションを持って、それをSGXで売り決算、といった売買はできない、ということです。
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限月ごとSQ値は日本市場算出のものが共通
先物取引においては、ラージなら四半期ごと、ミニなら各月ごとが限月となり、SQ算出日を迎えます。SQとは、SQ値ともよばれ、その日までに自発的に反対売買して決裁しなかったばあいに、強制的に適用される「特別な価格( : Special Quotation)」のことです。
大阪取引所では、算出日の日経平均構成銘柄の始値にもとづいて、日経225先物のSQ値を算出し、大引け後に発表しています。この大証のSQ値は、そのままSGXやCMEのSQ値としても用いられます。
なお、日経225先物の呼値は、大証ならラージ10円、ミニ5円ですが、一方のSGXであれば、円建てでラージは5円、ミニなら呼値1円単位で取引ができます。CMEは円建てでもラージ5円、ミニ10円です。