10月13日にプミポン国王が崩御してから1週間が過ぎました。
先週のタイの株価指数SETとバーツの推移を確認して、今後を予想しましょう。
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10月22日までのSETの推移
プミポン国王の容体が悪いと報道された10月10日からSETが下落し始め、最大で10%もの下落となりました。その後13日まで下落していますが、プミポン国王崩御のニュースが流れた後、13日の17:00からSETが上昇し始めました。
その後、先週の17日からは上昇を続け、22日には、1500を回復しています。
10日からの下落は、プミポン国王の容体悪化のニュースがあってから、タイの政情の不透明感を嫌った海外からの資金が引き上げられ、SETが下落して行きました。
その後、13日に崩御のニュースが流れた後は、素早い政府の対応があり、金融機関や産業界に通常通りの対応を強く求めたことから思ったような混乱がなく、逆に不透明感がなくなり、下落した分が戻っていく形になったのだと思われます。
プミポン国王崩御の翌日の14日が市場が休みにならなかったことが、政府の対応のおかげと言えるでしょう。
実際には、軍事政権が良い方向に働いているのだと思われます。
国民の動揺を抑えるように強権を発動できるので、通常の政府より、やれることが多いので、そう言う意味でも投資家に安心感が広がっているのだと思われます。
しかし外国人の資金流出は収まっておらず、先行き不透明感はまだ続いています。
10月24日までのバーツの推移
バーツの動きも株価と一緒で、10日からプミポン国王の容体悪化が伝えられるとバーツ安になり、その後、プミポン国王崩御後にバーツ高に戻っていって、10月8日の水準に戻りつつあるという状況です。
現在は、世界的にドル高傾向にありますので、バーツドル為替は、バーツ安に振れる可能性もありますが、安定していると言えるでしょう。
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今後のタイ株価指数SETとバーツ
株価のところでも述べましたが、外国人の資金流出は収まっておらず、株価が上昇しているのは、タイの機関投資家が買い越しているからです。
外国人も個人投資家も売り越していますので、完全に安心できる状況ではありません。
中期的なリスクとしては、1年間の喪に服すことによる消費の落ち込み、混乱に乗じたテロの横行、軍事政権の長期化という3つのリスクがあります。
1年間の喪に服すことによる消費の落ち込み
まず、1か月間の自粛は、旅行者への少なくない打撃を与えると思われます。
バンコクの歓楽街も明かりが消え、ス実は営業していなかったようです。
今でも外から見えるように営業するのは禁止されているので、オープンバーなどは軒並み営業停止しています。
店舗型の店は、窓を外から見えないようにして、扉をしめ切り営業しているようです。
イベントやコンサートの中止が発表されていますので、
2008年のプミポン国王の姉が死去した際にも自粛期間が3日あり、民間消費指数から経済の減速感がみられました。
今回は、その時より長い自粛期間と喪服期間ですので、影響は大きいのではないかと思われます。
混乱に乗じたテロの横行
タイでは、最近、テロが目立ってきていて、8月11日から12日にかけてタイ南部での同時テロが起きています。
8月12日は、王室の保養地のホアヒンが狙われるなど、多くなってきています。
タイ警察は、10月25日~30日にバンコク周辺でテロが起こる可能性があるとして警戒を呼び掛けていますが、実際にバンコクでテロが起これば、大きな衝撃を与えることとなります。
旅行者にも大きな影響を与えて、渡航者が減少する可能性もあります。
タイは、観光業がGDPの10%強を占めていますので、そこに影響があれば、経済が減速する恐れがあります。
軍事政権の長期化
最後は、軍事政権の長期化です。
プミポン国王の次の国王は、ワラチロンコン皇太子ですが、プミポン国王ほど国民に慕われてないという話で求心力にかけるという噂です。
皇太子は、プミポン国王の喪が明けるまで即位は延期させてほしいと言っていましたが、政府は、今月中に即位すると発表しています。
政府と王室のすれ違いもあるようです。
そのような状況で、軍事政権が長期化すると民主化を進める欧米との関係やタクシン派や支持層の農村部との関係も改善しませんので、経済が停滞する恐れがあります。
上記のリスクが経済の停滞を招く恐れがありますので、中長期的には、株価が下落傾向、もしくは、停滞になる可能性が高いと思われます。
少なくとも1年は喪が明けるまでは消費が落ち込むと思いますので、SETの動向も周知が必要だと思われます。