フランスの大統領選挙がヨーロッパの政治的な不安につながり株価や為替に影響を与えています。
今回は、フランス大統領選挙の候補者一覧を見ながら、世論調査などによって誰れが勝つか予想しましょう。
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2017年のフランス大統領選挙
フランス大統領選挙は、直接選挙で、第1回投票で過半数をとればその人に決定し、だれも過半数がいなければ第2回目の投票へ第1回目の投票で上位2名の人が進い、決選投票となります。
よって、第1回目の投票で1位になったとしても第2回目の投票で大統領に当選するとは限りません。
これはまぐれでふさわしくない候補が当選するのを防ぐためです。有力候補同士で票が割れて、別な候補が1位になってしまうとう意図しない結果を生むのを防ぐ意味合いです。
今回の大統領選挙がまさにこれに当たる可能性があります。
極右政党の国民戦線のルペン党首が世論調査で1位になっていて、第2回目の決選投票に進むのを確実視されていますが、決選投票では、逆に敗れると予想されています。
それは第1回目の投票では、保守2党の候補にそれぞれ票が割れて、ルペン党首より得票率が低いと予想されていますが、保守の2人のうちどちらかが決選投票に勝ち残れば、保守2党の票が集中して、得票率でルペン党首を逆転すると思われています。
実際には、保守の候補者にもスキャンダルが出ていますのでどうなるかは未知数ですが、今のところの予想では、ルペン党首が決選投票で敗れるという予想です。
2017年フランス大統領選挙の候補者一覧
2017年のフランス大統領選挙は4人の候補が立候補しています。
その4人の右派・左派の区別は
- 極右:ルペン氏
中道右派:フィヨン氏
中道:マクロン氏
左派:アモン氏
となっていて、簡単に言えば、
極右のルペン氏が愛国主義
中道右派のフィヨン氏が保守
中道のマクロン氏が中間的
左派のアモン氏が社会主義的
という思想や政策を掲げている勢力の代表です。(私が持つイメージも含みますので、100%正確に表していないかもしれません)
右翼や左翼は、フランス革命で生まれた用語のようで、フランスの政治がこの2つを中心に動いているのがよくわかります。
2大政党の共和党と社会党は、それぞれ右派と左派になっており、フィヨン氏が共和党、アモン氏が社会党となっています。
現在の与党はオランド大統領が所属する社会党です。
それでは、4人の大統領候補者を2月10日時点の世論調査で支持率が高い順に紹介していきたいと思います。
マリーヌ・ル・ペン氏
出典:Wikimedia Commons File:Le Pen, Marine-9586.jpg
極右政党の国民戦線(FN)の党首、48歳
2012年のフランス大統領選にも立候補しており、第1回投票では3位につけ得票率17.9%を獲得した。
よくトランプ大統領と並べられて語られており、移民や難民を制限する立場を取っており、反イスラム過激派の立場をとっている。
アメリカ第一主義ならぬフランス第一主義を標榜しています。
政策もトランプ氏と似ており、自国の製造業保護などを公約にして発表しています。
EU離脱の立場をとっている唯一の候補で、大統領の当選したら半年以内にEU離脱の国民投票を行うと公約しています。
スローガンは、「国民の名の下に」
世論調査によると第1回投票での支持率は25%となり1位となっています。
エマニュエル・マクロン氏
参照:Wikimedia File:Emmanuel Macron par Claude Truong-Ngoc avril 2015.jpg
元経済・産業・デジタル大臣、39歳
大臣に就任していましたが、政治家経験がなく投資銀行で働いていた経歴の持ち主です。
中道無党派として自身が率いる「前進!(En Marche!)」の支援を受け独立候補として立候補しています。
経済・産業・デジタル大臣時代にマクロン法と呼ばれる100条からなる規制緩和の法律を提出して経済を活性化しようとしていました。
しかし2月7日に同性愛者との不倫疑惑が浮上しました。
マクロン氏は支持者に対して完全否定したと報道官が伝えております。
しかし不透明感の高まりからフランス国債の利回りが上昇し、ドイツ国債との利回りの差が4年ぶりの水準に上昇したということがありました。
世論調査によると第1回投票での支持率は22%となり2位となっています。
フランソワ・フィヨン氏
参照:Wikimedia File:François Fillon 2010.jpg
元フランス首相、62歳
中道右派の大統領候補予備選挙でこちらも元首相のアラン・ジュペ氏を下して正式に大統領候補になりました。
フランスの保守政党・共和党(元UMP(国民運動連合))に所属しています。
フランスの2大政党の中道右派の共和党の代表として予備選を勝ち抜き大統領候補になっています。
2007年から2012年までサルコジ大統領の元で首相を勤めていたので、政治経験は豊富です。
2013年から大統領出馬を表明して、党内で団結を乱すなど非難を受けました。
カトリックで妊娠中絶や同性愛に対して保守的な考えを持っており、同性カップルの権利を制限するなど保守的な公約を掲げています。
他には公務員50万人削減などの経済政策を公約にしています。
フィヨン氏は、最初は大統領候補NO.1だったのですが、妻と2人の子供に不正に給与を払っていたとされるスキャンダルが発覚しました。
そのスキャンダル発覚で支持率を急速に落とし、共和党支持者からは大統領選挙への出馬辞退も取りだたされています。
フィヨン氏の妻に1990年後半から約50万ユーロ(約6000万円)の給与を支払っていたとされ、勤務実績がないのに退職金も受け取っていたとの報道もあり、かなりの向かい風になっています。
世論調査によると第1回投票での支持率は20%となり3位となっていて、第2回目の決選投票には進めない見通しです。
ブノワ・アモン氏
参照:Wikimedia File:Benoit Hamon meeting Saint-Denis – face (cropped).jpg
前国民教育相、49歳
左派統一の大統領予備選でマニュエル・バルス前首相に勝ち大統領候補になりました。
2大政党の現与党の社会党に所属しています。
社会党所属の現大統領のオランド大統領が出馬辞退をしていて、マニュエル・バルス前首相と一騎打ちのすえ左派統一の大統領候補となりました。
アモン氏の政策は、ベーシックインカムや大麻の合法化、雇用と人員削減を容易にする労働法と撤廃するなどの政策を打ち出しています。
ただし、社会党所属の現職のオランド大統領が支持率を大幅に低下させていますので、同じ社会党のアモン氏は苦戦を強いられています。
世論調査によると第1回投票での支持率は17%となり4位となっていて、第2回目の決選投票には進めない見通しです。
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2017年フランス大統領選挙は結局誰が勝つのか?
今のところ、世論調査では、第1回投票はルペン氏が1位になる予想になっています。
2位のマクロン氏と3位のフィヨン氏にスキャンダルが生じているので、このままいけば、1回目の投票はルペン氏が勝利するものと思われます。
トランプ大統領の時も直前にヒラリー氏のメール問題のスキャンダルやトランプ大統領自身の女性蔑視発言などスキャンダルが表面化しました。
スキャンダルが出ることで命取りになるケースも多く、今のところスキャンダルがないルペン氏が1回目の投票は勝利することが堅そうです。
しかし世論調査の数値では、1回目の投票でルペン氏が過半数をとることは、ほぼありえませんので第2回投票の決選投票に進むと思われます。
世論調査では、マクロン氏が2位になると言われていて、ルペン氏とマクロン氏の一騎打ちになりそうです。
決選投票では、世論調査では、マクロン氏:64% ルペン氏:36% とマクロン氏勝利となっています。
これは、フィヨン氏やアモン氏の支持層が決選投票ではマクロン氏に集まると思われており、ルペン氏は、1回目投票を1位で通過しても決選投票で敗れると予想されています。
さすがに世論調査でここまで差があるとサプライズの結果になる可能性は少ないと思われますが、マクロン氏のスキャンダルが出て、どこまで影響があるかにかかっていると思われます。
今回のフランス大統領選挙は、フランス国民もアメリカ大統領選の時のように既存の政党や政治家に失望しており、改革勢力であるルペン氏が支持を集める状況は出来上がっていると言えます。
ルペン氏は、EU離脱などを掲げていますので、アメリカ大統領選のようなサプライズの結果を起こせるかは、フランスの国民がどこまで現状に不満を持っているかがカギになっていそうです。