【2017年版】グローバル・ソブリンをいまさらですが優しく解説します

グローバル・ソブリン

グローバル・ソブリンは、投資信託を調べたことがある人ならだれもが知っているほど超人気な投資信託で12年以上の国内の投資信託残高首位を走り続け、リーマンショック前には約5兆8000億円まで資産残高が増えた商品です。現在は、資産残高が、1兆円を切っていて、過去の栄光のようになっています。
一世を風靡したグローバル・ソブリンをやさしく解説します。

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グローバル・ソブリンとは?

グローバル・ソブリンとは正式名称を「グローバル・ソブリン・オープン」といい、「グロソブ」という愛称で親しまれているファンドです。かつては、総資産額が全投資信託でトップ、人気の高いファンドでしたが、全盛期に比べると現在は、資産額も1兆円を切り人気にかげりが見えています。

ソブリンとはソブリン債、つまり公的機関が発行する債券のことで、グローバル・ソブリンは世界主要先進国(OECD加盟国)の国債や政府機関が発行する政府機関債等を投資対象としています。
カナダ、オーストラリアなどの州政府債もソブリン債券に含まれます。A格以上の信用力の高い債券に投資しますので、安全性の高いファンドだと言えるでしょう。アジアでは日本とシンガポールの債権に投資しています。

もちろん、数年前に破たんしたギリシャなどの国債は含まれてません。なお、マザーファンドはグローバル・ソブリン・オープンマザーファンドです。シティ世界国債インデックス(円ベース、日本を含む)をベンチマーク(値動きの指標、運用の目標)とするアクティブファンドです。

三菱UFJ国際投信株式会社が運用するファンドで、ネット証券や証券会社窓口はもちろん、全国各地の地方銀行や信金など、様々な金融機関から購入することができ、窓口の広いファンドであると言えます。

グローバルソブリン オープンの商品ラインナップ

決算、配当のタイミングに応じて、「毎月決算型」、「3ヵ月決算型」、「1年決算型」があります。また、「資産成長型」、確定拠出年金向けの「DC年金」、「グローバル・ソブリン・ファンド2014」というものもあります。

・グローバルソブリン オープン(毎月決算型)

毎月配当を受け取れるタイプの商品で、一番人気があります。「グロソブ」といえば、通常はこの商品を指します。
2016年9月1日現在の基準価格は4,962円、純資産総額は6,965.52億円です。
信託報酬は、年率1.350%(税抜 年率1.250%)です。

・UPDATE 2017/11/13
基準価格:5,168円(11月10日)
純資産総額:5,608.46億円

純資産総額がいまだに減り続けています。

分配金も最盛期の1998年は毎月60円ありましたが、2016年8月からは、ついに10円になってしまいました。
年間の配当利回りが3%を切ってしまいました。

・グローバルソブリン オープン(3ヵ月決算型)

毎年3、6、9、12月の17日(休業日の場合は翌営業日)に決算を行い、収益分配方針に基づいて分配を行います。
2016年9月1日現在の基準価格は6,531円、純資産総額は405.05億円です。
信託報酬は年率1.350%(税抜 年率1.250%)と、毎月決算型と同じです。

・UPDATE 2017/11/13
基準価格:6,759円(11月10日)
純資産総額:328.39億円

同じく純資産総額が減ってます

・グローバル・ソブリン・ファンド2014

低迷するグローバル・ソブリンの巻き返しを図るために発売された商品なのでしょうか。2014年02月03日の設定時は基準価格9,949円で、その後同年12月10日に最高額の11,688円を記録しましたが、以降下降傾向で、2016年9月1日現在の基準価格は10,304円、総資産額は0.36億円、設定来の分配金実績(税引前)は0円と、あまりぱっとしない商品です。

・UPDATE 2017/11/13
基準価格:10,993円(11月10日)
純資産総額:0.29億円

なお、ほぼ同時期に設定された「グローバル・ソブリン・オープン(資産成長型)(愛称:グロソブN)」も同様で、目新しさや将来性に欠けます。どちらも基準価格が1万円を維持しているのだけが救いです。

・グローバルソブリンの基準価格動向

日本の国債も1割程度組み込まれていますが、ほとんどが外貨建ての外国債で構成されており、基準価格は為替相場に左右されるため、円高が進行している昨今では、期中分配金を含めても低下傾向にあります。

もともと、債券は株式のように大幅な価格の変動はありません。また、債券価格の上昇とは、利回り(配当)の低下を意味します。したがって、期中分配金を含めた基準価格の変動は、もっぱら為替市場の変動によるものだと考えていいでしょう。しかし、相当円安が進行しない限り、基準価格が1万円程度まで回復することは見込めないでしょう。

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グローバルソブリンの分配金

毎月決算型の分配金は、1万口あたり(つまり基準価格あたり)かつては50円程度あったのですが、最近は20円、そして2016年の8月決算ではついに10円まで引き下げられました。

「先進国の金利が長期的に低下傾向にあることなどから、ファンドの配当等収益は過去と比べて相対的に低い水準にあります。

よって、現在の基準価額水準、配当等収益や分配対象額の状況、市況動向などを総合的に勘案し、分配金を引き下げその差額を内部留保することで信託財産の成長を目指します」と三菱UFJ国際投信は報告していますが、素直に受け止めることができる人は少ないでしょうね。

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グローバルソブリンの評価

債権は、安定した利子収入が得られることが大きなメリットです。
グローバル・ソブリンも、これまではずっと安定して分配してきました。

グローバル・ソブリンに組み込まれている国の債権がデフォルト、つまり紙くず同然になってしまうことは考えられず、日本の国債がマイナス金利だとしても、海外の国債の多くはまだプラス金利で、アメリカなどは利上げを検討しているぐらいですから、これからも手堅く収益を上げるだろうと期待して保有していた人も多いでしょう。

しかし、ベンチマーク以上の運用成績を上げることができず、分配金も徐々に減少しています。

株式を中心に組成されたアクティブファンドに比べると、リスクは小さいものの、どうしてもリターンの低さが目立ちます。

そして、今から投資したとして、円安が進めば売買益を得ることができますが、さらに円高が進むと、元本割れになりかねません。
そうした意味で、為替にかなり左右される低リターン商品ということができると思います。商品そのものでのマイナスの危険性は少ないですが、為替によってマイナスになってしまう可能性があるということです。

ある程度の資産家で、長期的で安定した配当収入を目指して保有し続けるのでなければ、あまり大きなメリットはないかもしれません。「高コスト、ベンチマークを下回るリターン、毎月分配型と3拍子揃ったダメファンド」と酷評する人さえいます。

12年間にわたり総資産額トップの座を誇っていたのが、2014年4月に2位に転落して話題になったと思ったら、2016年9月1日時点の現在では15位までランキングを下げた、というのも、このファンドの人気・行く末を示しているでしょう。

グローバルソブリンは、ほぼどの商品も純資産額が減っています。
分配金を出すタイプの投資信託は、資産を食いつぶして分配金を払っている場合があり、その場合は、純資産額が徐々に減っていきます。
最終的には、先細りになってしまいますので、今からグローバルソブリンを購入するのは控えた方がよさそうです。

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グローバルソブリンの解約

グローバル・ソブリンの総資産額が減少しているのは、基準価格が低下していることも関係していますが、実際に資金流出が起こっていることを示しています。

基準価格が上昇する気配はないし、分配金は下がる一方という今日では、グローバルソブリンを解約したいと考える人もいるのではないでしょうか。しかし、グローバル・ソブリンは、解約時に「信託財産留保額」という手数料がかかります。

これは解約日の翌日の基準価格に0.5%を乗じたものです。保有期間が短いまま(つまり、グローバル・ソブリンの過去の栄光を享受していない)基準価格の低い現状で解約すると、売却損のみならず受け取った分配金は吹き飛んでしまいかねません。資産形成のつもりが、結局損してしまうのですね。

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グローバル・ソブリンのまとめ

グローバル・ソブリンは、ローリスク、ローリターン(でも貯金よりはまし)の、実に安全資産なのですが、収益性が低く、基準価格も近年の純資産価格も低下していることを考えると、決して魅力的な投資先であるとは言えないでしょう。

むしろ、大口資産家向けに、安定収入が見込める安全資産として、証券会社の手数料稼ぎのために開発・販売されたファンドではないかとも勘ぐりたくなります。この先、大幅な円安が進まない限り、ファンドの売却益は見込めないでしょう。ある程度の規模の口数を死ぬまで保有し、その間に安定した配当収入を得たい(たとえ資産価値が目減りしてもそれが相続税対策になる)、という場合には価値あるファンドかもしれません。

 

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