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「ハロウィン効果」アノマリー/「10月末に買い」でリターンを出すには

10月に入る前後、株式投資の世界で毎年必ず話題になるアノマリー(投資の経験則、ことわざ)があります。それがハロウィン効果です。

「ハロウィン効果」アノマリーの内容と活用法

確たる裏付けはないものの、過去の株式相場では「よく当たっている」事象のことを、アノマリーと呼びます。実に多くのアノマリーが存在しますが、なかでも信頼性の高いものは、昔から現在に至るまで、多くの投資家にとっての判断指針として役立っています。

数あるアノマリーのなかでも、ハロウィン効果はかなり有名な、信頼度の高いものとされます。

ハロウィン効果とは

ハロウィン効果の内容とは、「10月末には株価が下がる」というものです。

毎年10月31日はハロウィンの日ですが、これと時期を同じくするので、このような名称が使われています。

ハロウィン効果の信憑性

アノマリーはあくまで投資家たちの経験則、つまり、大づかみに言えば「みんなの印象」の集合体にすぎないため、絶対に当たるという保証もなければ、論理的な裏付けもありません。

しかし、このハロウィン効果に関しては、比較的信憑性の高いものとして知られています。というのも、過去の歴史的な暴落のいくつかが、ちょうどこの頃に起こっているからです。

例えば1929年の世界大恐慌や、1987年のブラックマンデーは、いずれも10月下旬に大暴落を起こしています。1998年にも10月に通貨危機が起こっています。

あるいは、もっと時代が下った2008年のリーマン・ショックでも、10月の中旬に大暴落が起こっています。

こうした記憶が鮮明に残っている投資家たち、あるいは歴史を紐解いて強い印象を持った投資家たちが、ハロウィン効果を「信憑性の高いもの」として語り継いでいる、とも言えます。

なお、この時期に株価が下がりやすいのは、ファンドの決算期が近く、ポジション調整の都合上売りが入りやすい時期であるのが関係している、と言われています。ただ、本当にこれがハロウィン効果の正体なのかどうか、確証があるわけではありません。

ハロウィン効果を利用してリターンを上げる

ハロウィン効果を利用してリターンを上げるには、これとセットになったもう一つのアノマリーを意識すればよいのです。もう一つのアノマリーとは、やはり非常に有名な「セル・イン・メイ(5月は売れ)」のことです。

つまり、10月頃には株価は軟調なので買い(ハロウィン効果)、4-5月には株価が堅調なので売り(セルインメイ)、という、およそ半年ごとのサイクルを意識して投資を行えばよい、というのが、よく知られるリターン獲得の方法です。

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日経平均でハロウィン効果を検証する

さて、多くの投資家が信頼を置くこの「ハロウィン効果」ですが、日本株の相場にも当てはまるのでしょうか?日経平均株価の過去データで検証してみましょう。

検証したデータは、過去10年の日経平均株価の月次データです。※データ提供:Stooq.com

「ハロウィン効果」の時期の株価が、「セルインメイ」の5月よりも上がっていれば、日経平均でもアノマリー通りの動きが見られたと言えます。

そこで、「11月の終値で日経平均を買い、翌5月の終値で売った」と仮定した場合のリターン率を、期間ごとに過去十年分出してみました。その結果が次の表です。

勝率4割、負け年は経済イベントが大きく関与?

このデータによれば、「セルインメイ→ハロウィン効果」のアノマリー投資を行った場合、勝った期間が6つ、負けた年が4つで、勝率は4割となります。

勝率四割というと、思ったほどの実現率でもないように見えます。しかし、負けた期間(リターン率がマイナスになった年)では、特有の理由があるようです。上記の表の「補遺:できごと」の列を見てみましょう。

「ハロウィン効果→セルインメイ」の投資法で負けた年は4つありますが、そのうち3つの年は、歴史的な経済イベントのさなか、もしくは直後であったことがわかります。

歴史的危機を控除すると・・・

2008-09年はリーマン・ショックが起きた期間です。リーマン・ショック以前と以後を比べると、2007年11月に16000円を超えていた株価が、2年後の2009年11月には8512円まで下げています。実にマイナス50%の下げ幅です。

また、2011-12年には東日本大震災が起きています。下げ幅はマイナス2%と比較的小さいものですが、その前年まで堅調であったトレンドが一気にマイナスに引き戻されています。

2015-16年には、アベノミクスなどと関連する株高のあと、中国株ショック(上海市場暴落)による世界同時株安が起きています。この期間だけ見ると+18%ときわめて堅調であったものの、その翌年にはマイナス13%下げています。

こうしてみると、「ハロウィン効果→セルインメイ」の投資法が失敗するときは、歴史的経済イベントがあった期間が多いようです。逆に言うと、歴史的な経済危機に見舞われない限り、ハロウィン効果は実現しやすい、とも言えそうです。

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アノマリー投資の前に「平時か異常時か」を見極める

さて、ここで見た経済危機のうち、天災である東日本大震災を除く二つ、すなわちリーマン・ショックと中国ショックは、その直前のボラティリティ上昇、株価高騰、あるいは理論株価との乖離、といったサインで、ある程度の予見できていた投資家もいた可能性があります。

つまり、ハロウィン効果が実現しなかった各期間(東日本大震災を除く)では、「そろそろ暴落が来そうだな・・・」と感じていた人も少なくなかっただろう、ということです。

ハロウィン効果(あるいは、セルインメイ)が実現するのが、歴史的な経済イベントの発生した期間を除く「平常時」であると考えるなら、このアノマリーを活用するには、少なくとも「今が平常時なのか、それとも異常事態が近づいているのか」に、しっかりアンテナを貼っておく必要がありそうです。

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1 個のコメント

  • >少なくとも「今が平常時なのか、それとも異常事態が近づいているのか」に、しっかりアンテナを貼っておく必要がありそうです。
    典型的な「たられば」です。投資という行為で100発100中を狙っていませんか?ハロウィーン効果の本質は、10年間持ち続けた場合とのパフォーマンス比較でしょう。(もちろん譲渡税と手数料込み)
    そもそも「異常時かどうか」の判断など、どのような基準でするのでしょうか。ニュースを見れば心配なことだらけで、投資を控えれば機会損失です。
    筆者に聞きたい。「2017年10月31日現在、ハロウィーン効果を期待して株式を買うべきですか?」
    テロも北朝鮮も米国の利上げも米国と中国の景気減速も心配です。
    あなたは投資を控えますか?
    これにこたえられないので、記事に書いた時点ことは一言も触れていないのでしょう。
    「マスコミが報道する社会情勢に振り回されず、愚直に長期間(少なくとも5年)は売買を繰り返すと、持ち続けているよりも高い収益が期待できる」
    「持ち続けるほど大きなドローダウンを負わなくで済むので、最悪のタイミング(価格の底)で株式を手放さなくても済む」
    この2つがハロウィーン効果の要諦です。