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【9/26 FOMC考察】次の米金利引き上げで、新興国通貨が暴落?

米FOMCが、きたる9月26日に近づいています。この際にFF金利(米政策金利)の引き上げが行われることはほぼ確実とみられており、米経済成長の堅調さから、この米利上げに異論を挟む余地はほとんどなさそうです。

しかし、次のFOMCにおける利上げ発表をさかいに、新興国通貨が軒並み暴落へと近づいていく、という可能性が考えられます。

2018年12月FOMC利上げ日程と日本時間とパウエルFRB議長会見のライブ中継 ドル円は円高・円安?

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2018年12月18日

通貨不安の一服と米利上げの関係

このところの外為相場では、トルコリラ危機を発端とした新興国通貨不安が、市場に影を落としてきました。

ただ、発端となったトルコリラに関しては、9月の政策会合で、トルコ中銀が政策金利を17.75%から24.00%(+6.25%)へと大幅に引き上げたことにより、下落トレンドに歯止めがかかった、という認識も出ています。

さらには、トルコリラ下落の一服に応じて、新興国通貨不安も一服、という報道の出てきています。それと同調するように、市場ではリスクオフの巻き戻しで円が売られています。

とはいえ、このまま新興国通貨不安が治まり、市場でリスクオン的な流れに勢いがつくかどうかは、エコノミストの間では見解が分かれています。

というのも、今後の米国の利上げ見通しによって、外為相場あるいは新興国通貨が、大きな影響を受けると考えられるためです。

あと4回の米利上げは既定路線

次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)が、9月26日と迫ってきました。米の利上げ見通し、ならびに、今後のドル円相場の見通しは、この日のFOMC内容が鍵になるとみられます。

現在、米連邦準備理事会は(FRB)は、中立金利(緩和的でも引き締め的でもない、ちょうど中立的な金利水準のこと)を2.9%とみています。

これに対し、今の米政策金利は2.0%とより緩和的な水準であり、中立金利に達するまではあと0.9%、ほぼ1.0%の利上げが必要になります。

FRBはこのところ、一回に0.25%ずつ、政策金利の引き上げを行ってきました。これにならえば、米政策金利が中立金利に届くまで、あと4回の利上げが行われることになる、と考えられます。

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米利上げと新興国通貨不安の関係

FRBの考える中立金利が2.9%であり、今後の利上げがほぼ確定的である以上、市場の資金は徐々に米ドルに流れ込んでいくとみられます。

というのも、基軸通貨でありながら相対的に金利水準も高くなることで、米ドルの投資妙味が増していくためです。

この流れが進んでいくと、対・米ドルで、他の通貨が全面安の様相となるはずです。そして、その中でも激しく売られるのは、新興国通貨です。

新興国通貨は、下落リスクが大きい一方、概して高い金利が特長です。そこへ、下落リスクが相対的に低い米ドルが、さらに金利まで高くなると、新興国通貨の投資妙味が飲み込まれてしまい、資金が米ドルに流れ込みかねないからです。

これが現実のものとなり、歯止めのきかないレベルまで進んだなら、米金利上昇をきっかけにした新興国通貨暴落が起きる危険もあります。

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米利上げがインフレを「加速」する?

さらに、新興国通貨暴落は、当の米国自身、さらには、先進諸国を含めた世界経済にも、大きな負の影響を与えるでしょう。

というのも、新興国から「逃げてきた」資金が米ドルに集中すると、米国にはお金があふれ、けっきょく、利上げ=経済引き締めの意味を相殺してしまうからです。

利上げ=経済引き締めは、「緩やかで適度なインフレ」をコントロールしていくための政策であり、現在の米国では、よく知られるように「適温経済」つまり緩やかで適度なインフレが継続しています。

しかし、そこで利上げの効果を帳消しにするようなこと、つまり新興国通貨暴落による資金の米国集中が起きた場合、インフレは「緩やかで適度」というレベルを脱し、危険な領域まで加速する可能性もあります。

そのときは、もちろん、悪影響を被るのは米国に限りません。米に過度なインフレが起きれば、世界経済が次第に、しかし確実に、大きくバランスを崩すことになるでしょう。

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「崩れるバランス」の兆候

実際に、すでに「大きくバランスを崩し」始めた兆候を見せている通貨もあります。それは、トルコリラです。

もちろん、9月頭に起きたトルコリラ急落、いわゆる「トルコショック」は、その兆候の一つです。しかし、もう一つの兆候が先日起こっています。それは、トルコ金利の大幅引き上げの際に起きた、トルコ国内の企業や個人による、大量のドル買いです。

物足りないレート上昇幅

9月13日、トルコが政策金利を24%に引き上げたことで、トルコリラは一時急上昇しました。

・トルコリラ円 13~14日 2時間足チャート

しかし、もうすこし俯瞰してみると、トルコリラが戻した値幅は、先月8月の高値にすら届いていません。金利の引き上げ幅に比べると、トルコリラのレート上昇幅は物足りなく見える、というのが正直なところです。

・トルコリラ円 8月~9月 日足チャート(右端が9/13)

リラ売りチャンスを伺うトルコ国民

金利引き上げによって、トルコリラに買いが大挙したのは確かです。なのに、結果天気にルコリラレートが思ったより動かなかったわけは、トルコ国内の企業や投資家によって、大量のトルコリラ売り・米ドル買いが起こったため、と言われています。

トルコでは、不動産売買や賃貸といった国内の経済活動でも外貨決済が浸透していますが、続く超インフレとトルコリラ安により、トルコ国内では外貨不足が深刻化していました。

そんななか、金利引き上げでトルコリラレートが上がった瞬間に、それを千載一遇のチャンスと見たトルコ国民が、いっせいにトルコリラ売り・米ドル買いに駆け込んだ、というのです。

こちらは、政策金利発表のあった9月13日の、トルコリラ円の3分足チャートです。発表された20:00にレートが急上昇した直後、大量の売りが出て、レートの上値を強力に押さえ込んでいることがわかります。

なお、事後の報道によれば、金利引き上げの直後にトルコで起こった米ドル買いは、約10億ドル分にも及ぶといいます。

「ひずみ」を助長する米金利引き上げ

このチャートでわかるのは、すでにトルコリラが正常なバランスを崩しており、トルコリラレートが上昇しただけ、逆に強い下落圧力(トルコリラ売り・米ドル買い)が発生する構造ができてしまっている、ということです。

トルコ金利引き上げの際に生じていた、この強い売り圧力は、トルコ国内の需給によって生じたものです。しかし、今後起こるであろう米金利引き上げにともない、さらに大きな需給マネー、さらには世界中の投資・投機マネーまでが動き出してしまったら、世界の金融市場には大きなひずみが生まれると考えられます。

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次回FOMCの要注意ポイント

FRBは、今年6月12日のFOMCにて、2018年利上げ回数を年4回(2017年は年3回)に引き上げる、としました。
すでに3月と6月に政策金利変更が行われており、年内はあと2回の金利引き上げが行われることになります。

9月26日の次回FOMCにおける政策金利発表については、前回値2.00%に対し、予想値は2.25%(+0.25%)となっています。

利上げ発表にともない、新興国通貨は全面安、また円やユーロも金利差が意識され下落報告に動くと考えられます。

金利だけじゃない!FOMCには要警戒

また、FOMC後の会見では、FRBの経済見通しについてもコメントが出る可能性があります。

現パウエルFRB理事長は、現在米国が力強い経済成長を続けており、金利引き上げが前向きであるという旨の発言をしてきました。

しかし一方で、現在の新興国不安による米国経済への影響は、顕在化するまでに時間がかかるとも言われており、パウエル発言と矛盾した状況が、水面下で起こっている可能性もあります。

現状を楽観視し金利を引き上げても、しばらく間をおいて、新興国不安と相まった負の影響が突然現れる可能性は、否定できないのです。

「適温相場」を引き継いでの金利引き上げは規定路線とはいえ、その後何が起こるかは、誰にもわかりません。

少なくとも、パウエルFRB議長が何らかの見通し発言を行った場合、それに反応して市場が動くことは確かです。次回のFOMC発表が控える26日は、相応の警戒感をもって迎える必要がありそうです。

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