今週のトルコリラ円レートは、CPI悪化で一時下押すも、米中間選挙前のドル安や、イラン制裁にともなう原油懸念の後退で、いっきょに21円を上抜けたレンジまで急伸しています。
今日までの動きを振り返りつつ、米中間選挙をからめての今週後半のトルコリラ円レート見通しを発表します。
目次
今週のトルコリラ円概況
今週のトルコリラ円レートは高値21.329円から安値20.649円のレンジで堅調に推移しており、先週終値比でも上昇しています。
週初のCPIは悪化で一時急落
まず、きのう5日(月)には、注目のトルコ・CPIが発表となりました。結果は前回値24.52%に対し結果25.24%と悪化(前年同月比)しており、もともと超高水準であったインフレがさらに加速したとの見方で、レートは一時急落しました。
ドル安と原油供給懸念払拭で21円突破
しかし、5日夜からきょう6日にかけてのトルコリラ円レートは、米中間選挙を前にした警戒感でのドル売り、また米による対イラン制裁の適用範囲からトルコが除外されたことなどが好感され、21円台を上抜ける大幅な上昇となっています。
まずドルに関しては、米中間選挙に関して下院で与党の共和党が苦戦となる見通しから、ドルがほぼ全面的に安くなっています。とくに新興国通貨に対してはドルの下げが大きく、それに連れ安で対円のトルコリラも上昇している状況です。
また原油に関しては、、米が起案の対イラン制裁によってイランからの原油輸入に足かせがはめられると、原油輸入国であり通貨下落に苦しむトルコにとっては大きな痛手となるおそれがありました。しかしトルコが適用除外となったことでこの懸念が払拭、こちらもトルコリラ上昇に寄与しています。
今週後半の材料とレンジ予想
今週はなんといっても、米中間選挙の動向が最大の材料となりそうです。
米中間選挙日程とトルコリラへの影響見通し
米中間選挙の日程は、日本時間の今日6日20時に投票開始、明日7日の午後15時頃には開票結果が明らかになる見込みです。
中間選挙で争われる上院・下院の結果予想としては、上院が与党の共和党優位、下院が野党の民主党優位となっています。
この見通しは市場ですでに織り込み済みとされており、結果がこの通りならトルコリラ円への影響も軽微となって、このところの上昇基調が続きそうです。あるいは共和党が上・下院とも制することになっても、景気上昇期待でリスクオンとなり新興国通貨も上げそうです。
レートの懸念としては、上・下院とも野党の民主党が制するケースです。この場合、共和党とトランプ米大統領の景気振興策はすべて思うように進められなくなり、リスクオフムードが発生、トルコリラ円にも重しとなりそうです。ただ、このケースが実現する見通しは、今の所低いと言えます。
取引なら十分に注意を
ほか、今週は特にトルコでの経済イベントは予定されていません。大きな懸念だったトルコ・CPIもひとまず発表済みで織り込み済みの現在、まずは米中間選挙に注意する必要があります。
選挙の見立ては大方が上院共和党・下院民主党というものですが、2016年のトランプ大統領就任時のように、選挙では大勢の予想が覆されることが珍しくなく、今回も何が起こるかわかりません。事実、ここに至って下院での共和党追い上げのニュースも入ってきています。
このビッグイベントを機に取引に入るという場合は、情報を鵜呑みにせず、自信過剰になることなく、資金に余裕をもって取引にあたることを強くおすすめします。