今週の市場では、30日・31日に実施されるFOMCの見通しが、高い注目を浴びています。
とくに論議されているのが、明日31日に発表される米政策金利の引き下げ幅です。市場では0.25%の利下げ予想が優勢ですが、しかし0.50%利下げの可能性がなくなったわけではありません。
さらに市場が関心を持つのは、利下げ幅の結果によって、ドル円がどのように動くのかです。
つまり、0.25%利下げなら円安か円高か、あるいは0.50%ではどちらか、その予想が市場の強い関心を呼んでいます。
そこで、今回は、
・過去10年間の金利変動に応じたドル円レート変動傾向
そして
・FXアナリストらによる、利下げ幅ごとのレート変動幅予想まとめ
を、集計・分析しました。
このページの目次
過去の金利変動幅ごとのドル円傾向
まず、過去10年の米金利(FF金利)推移とドル円レートの動向を分析し、FOMC前日とFOMCの翌日でレートがどのように変動したか、平均値を数値化してみると、下の表のようになりました。
0.25%利下げなら、変動は38銭の円高
この表によれば、この10年で0.50%利下げはデータがなかったものの、0.25%の利下げだと、平均では円安(上昇)に振れる、ということになっています。
円安に振れる幅は、平均値としては0.38円の円安ということです。ただ、過去10年のあいだに0.25%の利下げが行われたのは、2008年4月の1度きりで、少々サンプルデータとしては物足りないと言わざるを得ません。
金利変更後は「円安」?
ところで、この表で興味深いのは、金利を変更した際は、利上げだろうが利下げだろうが、平均値はすべて円安となっている点です。
例えば、米金利が0.25%引き上げられた際は、平均0.64円の円安(レート上昇)となっています。これは、米金利上昇で米ドルが買われ、米ドル高で円安、と、論理的にわかりやすい展開と言えます。
この0.25%利上げは、2015年12月から2019年現在までの5年間で、9回に渡って実施されており、この間で利下げが行われたことはありませんでした。
こうした背景を鑑みると、この利上げ局面の5年間は、きわめて順調な景気拡大期にあったことがあらためてわかり、景気を冷やしすぎない小幅な利上げを行ってきたことで、市場への悪影響を最小限にとどめることができ、そのため円安余地が十分にあった、と言えます。
しかし、逆に米金利が1.00%も引き下げられたケースでは、なんと5.56円もの円安(レート上昇)が起きています。
これが起きたのは、リーマンショック(世界金融危機)のさなかの2008年10月です。世界がリスクオフに動くなか、景気下支えのための思い切った利下げでリスクオフ心理が後退、今度は安全資産の円が売られてドルが買われ、ドル高・円安となったことが想像されます。
と、こう振り返ってみると、金利の変更は基本的に「景気を支える」ために行われる施策であったために、金利変更に対する市場の反応が円安であることも、納得できなくもありません。
今回の利下げで、ドル円レートはどう振れる?
さて、ここで、あらためて今回の利下げを考えてみましょう。
市場予想は0.25%引き下げが主流
0.25%引き下げ予想が主流ですが、背景としては世界景気拡大ペースの鈍化を懸念しての「予防的」な緩和措置であり、市場は0.25%の利下げによって短期的・中期的な将来に景気後退が起きるとは考えていなそうです。
むしろ景気後退を「予防」するものであるからこそ、今回の利下げによって米経済状況は正常化の方向へと動き、今後の景気拡大路線への回帰を妨げるものではない、という認識のほうが主流といえるでしょう。
となると、今回の利下げ幅が0.25%に留まれば、FOMC後のドル円レートは(過去の統計と同じように)やはり円安に振れる可能性が高そうです。
0.50%の可能性も否定はされていない
さて一方で、0.50%利下げが実現される可能性も、まだ否定されたわけではありません。
市場では0.25%利下げが主流予想とはいえ、0.50%利下げが完全に否定されたわけではなく、なんと市場ではいまだに20%ほどが0.50%利下げを予想しているという情報もあります。たとえばCME Fed Watchによる調査では、0.50%をいぜん支持する割合はなんと四分の一以上(25.60%)にものぼります。
となると、たんに0.25%の利下げになったときレートがどうなるか、だけではなくて、0.50%利下げの際のレートの動きも考えておいたほうがよさそうです。
そこで頼りになるのが、FXアナリストたちが出している予想の集計結果です。
FXアナリスト予想では、どんな予想が優勢?
当社では、今週頭に出されたFXアナリストらの相場予想レポートを独自に分析・集計し、アナリストらの利下げ幅予想がどうなっているか、そして利下げ幅ごとにレートは円高円安のどちらに動くかをまとめています。
その結果が、次の表です。 …
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