先週から今週頭にかけてのトルコリラ円は、米国人牧師ブランソン氏解放に向けた機運の高まりが対米関係改善の糸口となるとの見通しから、上昇しています。
また懸念となった米金利引き上げや国連総会でのエルドアン大統領演説は大きな悪材料とはならず、これらによるトルコリラ円レートへの影響は限定的な範囲にとどまりました。
先週のトルコリラ円相場を振り返りつつ、今週10月1日(月)から5日(金)までのトルコリラ円レート週間見通しを発表します。
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先週のトルコリラ円振り返り
先週24日(月)から28日(金)のトルコリラ円は、高値19.020円から安値17.320円の取引レンジで堅調に推移し、前週末比で上昇しました。
先週のトルコリラ円について、日本は祝日であった週初24日、トルコの対米関係をこじらせる要因となっていた米国人牧師ブランソン氏の拘束問題に関し、ブランソン氏が近く解放される可能性があると報じられたことで、トルコリラは急上昇しました。(下図ピンク矢印)
このところ、米トランプ大統領は、トルコに対し、ブランソン氏の解放を行うよう、トルコに迫っていました。
これには、11月6日に実施される米国中間選挙対策としてトランプ氏が米国の有権者へ「点数稼ぎ」を行う意図があると見られ、米トランプ政権からトルコへの圧力は強まる方向にありました。
ここで、もしブランソン氏が解放されれば、トルコ・米国間の関係は大きく改善される可能性があり、トルコ経済にとっては好材料となります。この見通し改善によりトルコリラは買われ、トルコリラ円は17.80円手前のレンジから18円を一気に上抜け、18.20円前後のレンジまで上昇しました。
つづいて27日(木)には、米FOMC後の米金利引き上げを受け、トルコリラ下落する場面がありました。(下図グリーン矢印)
ただし、米FRB議長パウエル氏は、米金利引き上げを近い将来に打ち止めとする可能性について言及したことで、高金利に注目されやすいトルコリラへのマイナス影響は限られることとなり、事前に警戒されていたような大幅な下落には至りませんでした。
また、先週開催の国連総会にて、エルドアン大統領が市場にマイナス影響を与える内容の演説を行うのでは、との懸念もありましたが、こちらもレートへの影響は限定的なものとなりました。
週末にかけ、トルコリラは買い戻しが進み、再び堅調に推移、週末は前週末比でプラス1円ほど上げて引けました。
今週のトルコリラ円見通し
今週のトルコリラ円は、高値18.880円から安値18.683円のレンジで堅調に推移し、小幅に上昇しています。(下図ピンク矢印)
今週の経済イベントとしては、10月3日(水)にトルコ・9月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されています。
高水準なインフレに長らく苦しめられているトルコにおいて、インフレ進行の尺度となるCPIの最新値は、きわめて重大な経済指標といえます。前回値17.90%(前年同月比)に対し予想は21.11%と、さらにインフレは進行すると見られており、結果には市場から大きな注目が寄せられています。
また、来週10月12日(金)には、くだんの米国人ブランソン牧師が解放されるかどうかが決まるとみられる裁判が予定されています。解放ならトルコリラ円は上昇、拘束継続なら下落と考えられ、こちらに関するニュースにも警戒が必要です。
今週のトルコリラ円レンジは、17.3円 – 19.3円を予想します。