移動平均線を使いこなそう-見方と使い方/FX初心者マニュアル

FXトレードで活用されるテクニカル分析の中でも、最もポピュラーなものといえるのが、移動平均線です。

移動平均線は、FXのみならず株式投資や商品先物といった他の金融商品においても広く用いられている、いわばテクニカル分析の基礎にして基本でもあります。FXトレードを始めたい場合は、まずこの移動平均線を使いこなせるようになるのを目指すとよいでしょう。

この記事では、移動平均線を理解し、トレードに役立てるまでを、誰にでもわかるように説明します。

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移動平均線とは

移動平均線は、任意の期間のFXレート(終値)を平均して出した値を、互いにつないで線にして表したものです。

例えば、下記のチャートは、ドル円FXレートの1時間足ローソクチャートに、5本移動平均線(青い線)を重ねたものです。

移動平均線でトレンド(方向感)を見る

この移動平均線を見ることで、細かいローソクの変動に惑わされることなく、現在のレートがどんな方向感で動いているのか(=トレンド)を把握することができます。

例として、上記のチャートから移動平均線を非表示にした状態を見てみましょう。

1時間足のローソクは、一定方向に向かっている期間もあれば、激しく上下動する期間もあり、はたして今現在(チャートの右端)が上昇しそうなのか、それとも下落しそうなのか、いまいち判断が付きません。

そこで、25本移動平均線を足してみると、こうなります。

この移動平均線を見ると、チャートの左側半分はおおむね上昇トレンドにあったものの、チャートの右端に近づくにつれ上昇の勢いが弱まり、最新時点(右端)では下落トレンドに移りつつある、というように判断がつきます。

トレンドと移動平均線

FXトレード、あるいは株式や商品先物といったトレードのほとんどでは、この「トレンド」を読むことが非常に重要になります。

今、相場がどんなトレンドにあるかを読むことができれば、トレードで利益を出すことは非常にかんたんになります。つまり、上昇トレンドに入ったときにすばやく買い、下落トレンドに入った時にすばやく売れば、利益を手にすることができるわけです。

しかし、ただローソク足の現在値チャートだけを見ていては、細かな上下動が目に付き、トレンドを見極めるのが難しいというケースが、たびたび出てきます。

そこで役立つのが、この移動平均線です。常に細かく動いているFXレートを「ならして」、なめらかな移動平均線にすることで、トレンドの方向感を見定めることができるのです。

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移動平均線で市場心理を読む

トレンドを見ることのほか、移動平均線でわかることが、もう一つあります。
それは、市場心理です。

つまり、移動平均線を使うことで、他の世界中の投資家がいつ売ろうと思っているか、いつ買おうと思っているか、それを推測することができるのです。

移動平均を見ているトレーダーは極めて多い

なぜ移動平均線を使って市場心理を読むことができるのでしょうか。

その理由は、移動平均線がきわめてポピュラーなテクニカル指標であることが挙がります。つまり、みんな移動平均を見てトレードしているからです。

みんなが移動平均を見ているということは、移動平均を売買のサインと考えている人が多いということです。例えば、移動平均を見て「これは売りのサインだな」と考え、実際に売るトレーダーが世界中に多くいたとすると、レートは強い売り圧力にさらされることになります。

そうして、実際にレートが移動平均のサインどおりに動くことが、非常に多々あるのです。

下値を支える(支持線/サポートライン)

まずこのチャートを見てみましょう。

一時するどく下落していたローソク足が、25本移動平均線にあたって跳ね返され(青マル部分)、それ以降上昇トレンドに転じています。

このように、下落トレンドにあった現在値チャート(上図の場合はローソク線)が、それより下にあった移動平均線に跳ね返されるようにして反発し上昇トレンドに転じるケースが、よく見られます。

このときの、現在値の下にある移動平均線は、支持線もしくはサポートラインと呼ばれます。

上値を抑える(抵抗線/レジスタンスライン)

次は、こちらのチャートです。

今度は、一時上昇に転じそうだったローソク足が、25本移動平均線に当たって跳ね返され、再び下落トレンドに戻ってしまっています。

このように、上昇しつつあった現在値チャートが、現在値の上にある移動平均線に押さえつけられるようにして反落するケースも、よく見られます。こちらは抵抗線もしくはレジスタンスラインと呼ばれます。

人気の高い移動平均本数を使おう

支持線や抵抗線は、みんなが同じ移動平均を見ているからこそ、生じる現象と言えます。

そのため、例えば、みんなが25本移動平均を見ているのに、自分だけ13本移動平均を見ている場合は、支持線や抵抗線が発生することが少なくなると考えられます。

人気のある移動平均線の本数は、おおむね5本25本75本200本あたりと言えます。ただ、チャートが1時間足か日足か、あるいは5分足や1分足かによって変わってくるため、自分のトレードスタイルごとに人気の移動平均の本数を調べてみるのもよいでしょう。

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複数の移動平均線で市場心理を読む

支持線・抵抗線のほかにも、とてもよく知られる移動平均線の使い方があります。それは、複数の移動平均線を使って、相場のトレンドを読む方法です。

このとき、トレンドは、より短い期間の移動平均(短期線)と長い移動平均(長期線)がどのように交差しているかで判断します。この交差は、ゴールデンクロスもしくはデッドクロスと呼ばれます。

ゴールデンクロス(買いサイン)

たとえば、下記のチャートには、75本移動平均線と200本移動平均が同時に表示されていますが、青丸の部分で75本線が200線を上に突き抜けています。

これはゴールデンクロスと言われており、レートが上昇トレンドに乗ったサインとされます。

一般には、ゴールデンクロスが生じたときは、買いのサインとなります。

デッドクロス(売りサイン)

今度はこちらのチャートを見てみましょう。短期線が長期線を下抜いており、それ以降はレートが下落トレンドになっています。

こちらはデッドクロスと呼びます。さきほどとは逆で、こちらは下落トレンドに入ったサインとされ、一般には売りのサインとなっています。

ポピュラーなゆえに機能する

やはりこちらも、きわめてポピュラーであるがゆえに機能するサインと言えます。

すなわち、世界中で「ゴールデンクロスだ!買おう!」と思う人が多いために、ゴールデンクロスで上昇トレンドに転じやすくなる、ということです。

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まとめ:テクニカル分析に不可欠な移動平均線

移動平均線は非常にシンプルであり、世界中でひろく活用されるテクニカル指標です。そのため、移動平均を用いたテクニカル分析は、FXトレードには欠かせないものと言えるでしょう。

他のテクニカル分析を理解する基礎にも

ここで紹介した用法のほかにも、移動平均線をベースとしたテクニカル分析の手法は、まだまだあります。

例えば、通常の移動平均線(単純移動平均線といいます)と比べ、平均値の出し方を少し工夫することで、トレンドをよりすばやくつかめるようにした指数平滑移動平均線(EMA)、複数のEMAやさらにEMAの平均値も用いてで分析するMACD、さらには単純移動平均線とMACDの組み合わせなどです。

これらはいずれも、ローソク足の細かなジグザグを平均して「ならす」ことで、よりトレンドをわかりやすくする、という移動平均線の考え方がベースになっています。

より踏み込んだテクニカル分析を使いこなすためにも、まずはこの移動平均線(単純移動平均線)の理解を深め、取引の際に実際に役立ててみるのがよいでしょう。

FX初心者向けの情報をこちらでお読みいただけます。
→FX初心者マニュアル – 誰でもわかるFXの始め方

 

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