FXのメリットの一つが、24時間取引ができるため、日中仕事をしている人や学生でも始めやすい、という点です。といっても、そうした人は、仕事や学校の時間には取引ができなくなってしまいます。
こうしたトレーダーに活用されている手法のひとつが、数分あるいは数秒という短い時間で行うことができる、スキャルピングという取引手法です。スキャルピングなら、空いた時間や夜間など、比較的短い時間でも取引に入り決済を済ませることができます。
この記事では、スキャルピングで儲ける方法として、スキャルピングのメリットとデメリット、そして注意しなければ行けない点を説明します。
このページの目次
スキャルピングとは
数銭から数十銭というごく小さな利幅を狙って、数秒から数分というごく短い時間に売買を行い、それを繰り返して利益を積み上げる手法を、スキャルピングといいます。
超短期売買
FXトレーダーの多くは、数日から数週間で取引を終えるスイングトレード(短期~中期売買)で取引を行っています。あるいは、その日じゅうに取引を終えてしまうデイトレード(短期売買)という手法もあります。
しかし、スキャルピングは、このどちらとも異なる取引手法です。
スキャルピングは、極端に短い時間のあいだに、ポジション保有(売りもしくは買いで入る)から決済までを済ませてしまうことから、超短期売買と説明されることがあります。
比較的新しい取引手法
スキャルピングは、比較的新しい投資手法と言われています。
個人投資家が超短期売買を行うためには、 1. 高速なインターネット回線 が必要で、また 2. 取引手数料が安い(スプレッドが狭い) ことが条件となります。
高速ネット回線がなければ、数秒で決済どころか、売り注文・買い注文を出してから約定までにもっと長い時間がかかります。これではスキャルピングの特長は発揮できません。
また取引手数料が安く(=スプレッドが狭く)なければ、長くて数分の取引を一日に何十回も繰り返していたら、手数料で利益が食いつぶされてしまいます。
現在のトレード環境では、高速なインターネット回線を利用できるトレーダーは全く珍しくなく、また、個人トレーダーを顧客として取り込みたいFX業者の努力で、スプレッドが狭く手数料が小さくて済む業者が多くなっています。
このようなことから、スキャルピングは、比較的最近になって個人トレーダーにも馴染みやすい取引手法になった、と言えます。
利幅はレバレッジで稼ぐ
数銭から数十銭という値動きで決済してしまうのだから、稼げる利幅も限られているのではないか、と思うかもしれません。しかし、スキャルピングで利益を上げているトレーダーは、高いレバレッジをかけ、その小さな値動きでも十分な利益を得ようとしているケースが多く見られます。
通貨に限らず、様々な資産の市場価格は、細かく騰落を繰り返しながら変動しています。ずっと上昇しかしないということはなく、下落しかないということもありません。
つまり、少なくとも短いスパンで言えば、上昇が続いていても、そのうち必ず下落局面が来るはずだ、ということです。
その局面を狙って短期決戦を行うのがスキャルピングです。
この手法の利点の一つが「大きな利益が出たとき」ではなく「小さくていいから利益が出たとき」に決済できるという点です。利益さえ出ていれば決済すればいいので、決済のチャンスは相対的に多くなる、と考えられます。
そして、価格差が小さいときでも、しっかりと利益を得るため、比較的高いレバレッジをかけるのです。
もちろん、こうすると、損が出たときも大きくなります。そのため、被害を最小限に留めるべく、すばやく損切りを行うのも、スキャルピングの重要なポイントです。
スキャルピングのメリット
スキャルピングには、他の取引手法にはない、いくつかのメリットがあります。
それを知った上でスキャルピングを始めれば、そのメリットを活かして効率よく利益を上げることができます。
トレンドの影響を受けにくい
スキャルピングの最大のメリットは、大きな相場変動やトレンドの影響を受けにくい点です。
市場にはトレンド(流れ、基調)があります。例えば、米国と中国の対立が深まれば米ドル安(円高)トレンドとなる、とか、米景気が好調なら米ドル高基調となる、といったものです。
こうしたトレンドに逆らったポジションで、少しでも長い時間保有してしまうと、どんどん損が膨らんでしまいます。例えば、買いポジションを持っているときに相場が急変しレートが急落、しかしそれに気づかず一晩たって翌日まで持ち越したら、大きな含み損が出てしまった・・・といったケースです。
しかし、スキャルピングなら、ポジションを持っても、決済するまでレートから目を離すことはありません。長くても数分、早ければ数秒の間に、レートの上下に合わせて利食いあるいは損切を行ってしまいます。
これなら、「一晩目を話したスキに、大損を出してしまった・・・」というようなことはありません。
短期間で相場観が身につく
また、スイングトレードやデイトレードと異なり、わずかな時間のあいだにたくさんの回数の取引を行うことができるため、相場観(経験値)を高めやすいという点も、スキャルピングのメリットと言えます。
相場観というものは、ただ経済誌を読んだりチャートを眺めているだけでは、なかなか養われないものです。それよりも、実際にポジションを持ち、利益を出したり損を出したりしながらのほうが、はるかに相場観が養われます。
仮設をたてたうえで取引に入り、その結果をすばやく評価して決済する、という流れを、短い時間のあいだに何度も何度も繰り返すことで、スイングやデイトレよりもはるかに早く相場観が身につく、というのが、スキャルピングのメリットの一つと言われます。
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スキャルピングのデメリット
もちろん、スキャルピングにはデメリットもあります。
(良くも悪くも)スピード命
スキャルピングは、とにもかくにもスピードが命です。スピーディな取引を行うからこそ、少しでも利益が出たら決済、それを何度も積み上げて利益を増やす、という手法が成り立ちます。
このスピードを可能にするものの一つは、現在のインターネット性能の向上です。ずっとつなぎっぱなしでよく、また時間帯にかかわらず高速なデータ送受信が可能な現代のインターネット環境があってはじめて可能になったのが、スキャルピングと言う手法と言えます。
もう一つ、スキャルピングのスピードを実現するために必要なのが、判断力です。
この判断力とは、わずかな幅でも、自分があらかじめ設定していた利益が出たら、欲張りをせず決済する判断力、あるいは、あらかじめ考えていた損が出たら、粘らずきっぱり損切りする判断力のことです。
スキャルピングに限らず、経験豊富なトレーダーにあって初心者トレーダーにないものが、この(相場観に基づく)判断力だと言えます。
判断力といっても、短い時間で先読みができるような知能の高さだとか、計算力の高さが必要なわけではありません。それよりも、あらかじめ利食い・損切のラインを決めておくこと(事前準備)、そしてそのときになったら邪念を挟まず決済を執行すること(感情に流されない理性)が必要になるでしょう。
事前の準備と、感情に流されず取引する理性あるいは覚悟がないと、スキャルピングに必要なスピードは実現できません。そして、まごついてスピーディに取引ができなくなってしまったら、もはやスキャルピングで利益を上げるのは難しいといえるでしょう。
業者を選ぶ必要がある
もう一つのデメリットが、スキャルピングに向いたFX業者を選ぶ必要がある、という点です。
その理由の一つは、スプレッド(=取引手数料)の問題です。
スキャルピングでは、他の取引手法よりも桁外れに多い回数の取引を繰り返すため、スプレッドが高い(=取引手数料が高い)と、そのぶんコストがかさみ、取引で得られる利益を圧迫してしまいます。
そのため、スキャルピングを行う場合は、スプレッドのできるだけ狭い(=取引手数料が安い)業者を選ぶようにします。
そして、業者を選ばなければならないもう一つの理由は、スキャルピング自体を禁止している業者がいるためです。
とくに数秒から数十秒で取引するスキャルピング(秒スキャル)は、FX業者のサーバーに大きな負担をかけるおそれがあるため、業者によっては、秒スキャルを繰り返すトレーダーの口座を凍結してしまうところもあります。
そうならないためには、スキャルピングOKのFX業者を探す必要があります。といっても、こちらは、自分が口座を開いているFX業者がスキャルピングOKかどうかを確認し、NGならOKの業者で口座を新設、というだけで解決します。
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知っていれば損益改善できる注意点
さて、スキャルピングを始める前に、必ず覚えておくべきことがいくつかあります。といっても、いずれも難しい話ではありません。
これらのポイントは、ただ知っておくだけで、スキャルピングでの利益を増やし、また損失を限定することができるようになります。
ランダムウォーク理論
FXのみならず、株式などの取引においてもよく引用される、ランダムウォーク理論というものがあります。「理論」というと難しそうですが、その中身は単純です。
ランダムウォーク理論とは、市場で取引される株や通貨といった資産の価格が、上昇する確率も、下落する確率も、常に50:50であるという考え方を言います。価格がランダムに進んでいく、という意味で、ランダムウォークといいます。
この理論に従えば、どんなトレーダーでも、短期的には、勝つこともあれば負けることもあります。実際、経験を積んでいるほど、負けたことが一度もないトレーダーなど存在しないと言えます。
「負けない」ではなく「負けの幅を小さくする」
この、常にランダムとされるFXの動きのなかで、利益を上げるには、どうすればいいのでしょうか?
それは、「永遠に勝ち続けること」「一度も負けないこと」ではありません。
そうではなくて、「チャンスを逃さないこと」および「負けの損失を最小限に留めること」が有効です。
(特に初心者は)ドル円で取引する
スキャルピングを行うためには、取引量が安定して多い通貨セットを選ぶ必要があります。
というのも、取引量が多くないと、約定に時間がかかったり、値飛び(短い時間でレートが大幅に動いてしまう)が起きたりする確率が高くなるからです。
超短期間で、ごくわずかな値差を狙って行うのがスキャルピングの特質ですが、超短期間で大きな値差が生じてしまっては、損が出たときのダメージがとほうもなく大きくなってしまうため、とくに初心者には危険すぎておすすめできません。
そして、取引量が安定している通貨セットといえば、やはりドル円です。
全通貨から見ると、ユーロや豪ドルもあてはまるのですが、とくに日本でFXを始めようという初心者は、ドル円で取引することをおすすめします。
自分の取引ルールを作る
スキャルピングで利益を上げているFXトレーダーの多くは、チャート波形やテクニカル分析指標の活用、あるいは単に、利食い・損切りラインを厳密に定めることなどによって、自分なりの取引ルールを作り上げ、それにそって取引を行っている人が多いといわれています。
このように、自分なりのルールを持ち、淡々と取引をこなし、またルールを改善していくことで、スキャルピングで利益を積み上げていくことができるようになります。
余裕資金で取引する
自分のルールにのっとって取引を続けていると、その間、短期的に負けがこむこともあれば、勝ちが続くこともあります。
しかし、それで感情に流され、無茶な金額の大勝負に出たり、あせって勢いで取引したりしたりしてしまと、せっかく貯めた利益を一発で台無しにしてしまう、いわゆる「コツコツドカン」が待っています。
これでは、危険きわまりないのです。心の余裕がなくなり、運やカンにまかせて勝負するようでは、ランダムウォーク理論よろしく、安定して利益を上げることは難しくなります。
そのため、月並みではありますが、取引は余裕資金で行うことが重要になります。生活資金や老後資金をFX取引に使ってしまうと、心の余裕がなくなり、利益を上げるのが難しくなることが多いのは、必ず覚えておきましょう。
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スキャルピングの経験と相場観を身につけるには
スキャルピングのもう一つのいいところが、「すぐに結果がわかる」という点です。FXの面白さを手っ取り早く感じたいというトレーダーには、そうした意味でも魅力的なのが、スキャルピングでしょう。
といっても、スキャルピングが「すぐに儲かる」方法だ、というわけではありません。
勝ちも負けもすぐに結果が出るという意味です。
そして、スキャルピングに限らず、FXで利益を出す最も重要なポイントが、相場観と経験であるのは、間違いないでしょう。
いくらスキャルピングがスピード面で有利な取引手法とはいえ、相場観も経験も、一朝一夕で身につくものではありません。スキャルピングを始める際は、余裕資金を用い、手っ取り早く大儲けしようなどとは思わず、地に足をつけて取引をかさね、相場観と経験を付けていくようにしましょう。
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