FX通貨ペア選び/初心者向け!取引通貨ごとの特徴とは?

FX初心者の方が悩みがちなのが、どの通貨(通貨ペア)で始めればよいか、その選択基準です。

この通貨ペアの選び方によって、適する投資スタイルや、期待できる利益、あるいはリスクの大きさが大きく変わってきます。しかし、どの通貨がどのような特徴を持っているのでしょうか。

この記事では、FX初心者の方でもとっつきやすいFX通貨ペアと、その他の通貨ごとの特徴を解説します。

スポンサードリンク

目次

通貨ペアとは

FXとは、異なる通貨同士を売買することです。この「異なる通貨同士」の組み合わせを、通貨ペアと呼びます。

一番人気の通貨ペアは「ドル円」

初心者の方が選ぶ通貨ペアとして人気なのは、やはり「日本円」と「他の通貨」との通貨ペアです。

例えば、日本で最も取引量が多い通貨ペアが、「米ドル」を「円」で売り買いする、といった組み合わせ、つまり「ドル・円」という通貨ペアです。

他国通貨同士の組み合わせも

なお、初心者の方であればあまりピンと来ないかもしれませんが、取引する通貨ペアは、円を組み入れずに、他国の通貨同士を組み合わせるのでもかまいません。

例えば、ユーロ(ヨーロッパの通貨)を米ドルで売買する「ユーロドル」という通貨ペアもあります。こちらは世界で最も取引量の多い通貨ペアであり、日本国内ではドル円には遠く及ばないにせよ、取引量の多い通貨ペアとなっています。

FXで選べる通貨

FXで選べる通貨、つまり、通貨ペアに組み入れることのできる通貨は、米ドルやユーロといった主要国通貨で5つほど、さらに新興国通貨と呼ばれるマイナーなものも含めると20種類ほどとなります。

主要国通貨 – 取引量豊富で初心者向け

主要国通貨とは、米や日本など、先進国と呼ばれる経済的に豊かな国で流通している通貨のことです。「メジャー通貨」と呼ぶこともあります。

経済的に豊かな国の通貨であることから、これらの通貨はデフォルトリスク(国の経済が破綻して通貨の価値がほぼゼロになること)がきわめて低く、比較的安心して取引ができる通貨と言えます。

新興国通貨 – 値動きが激しいベテラン向け

新興国通貨とは、経済的な発展を遂げたのが主要国よりも遅く、流通量も主要国通貨に比べると少ないものをいいます。「マイナー通貨」と呼ぶこともあります。

新興国通貨の特徴は、高いボラティリティ(値動きの激しさ)や高いスワップポイント(通貨を持っているだけでもらえるお金、金利のようなもの)です。

とくにボラティリティに関しては、レートの差で利益を出すのが目的のFXトレーダーにとっては、大きな利益を狙いやすいとして、新興国通貨が好まれる事が多くあります。ただし、そのぶん大きな損も出やすいため、あまり初心者向けではないと言えます。

さて次に、実際どんな通貨があるのかを詳しく見ていきましょう。
まず、主要国通貨と呼ばれる次の5つです。

  1. 米ドル(動き安定、基軸通貨)
  2. ユーロ(動きが激しい)
  3. 英ポンド(動きがより激しい)
  4. 豪ドル(資源国通貨)
  5. ニュージーランドドル(資源国通貨)

①米ドル(FXのしやすい基軸通貨)

世界で最も流通量の大きな通貨が、世界経済の中心的役割を担う国・アメリカの通貨であるドル、通称「米ドル」です。

その重要性から「世界の基軸通貨」と呼ばれることもあります。

現在、この米ドルを使って、世界中の国がアメリカと貿易を行っています。そのため、米ドルのボラティリティが高まる(=レートが激しく上下する)と、世界中の国々の経済にも大きな影響が及びます。

安定したレート、豊富な情報量

といっても、取引量が最も多いことから、きわめて価値の安定した通貨とも言えます。つまり、値動きが(他の通貨よりは)穏やかだということです。

しかも、米経済のニュースは日本でも入手しやすいため、多くのトレーダーにとって最もFXしやすいのが、この米ドルと言えます。

円で取引するときは、「ドル円」もしくは「米ドル円」という通貨ペア名が使われます国際的に使われる略称は「USD」です。

②ユーロ(やや動きの激しい有力通貨)

世界市場で、米ドルに次いで取引量が多い通貨の一つが、ユーロです。

ユーロとは、ヨーロッパの国々によって結成されている欧州連合(EU)で流通している通貨です。

米ドルに次ぐ流通量、でも動きはやや大きい

ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど、誰でも知っているような有力国で構成されるEUは経済的先進国(の集合体)であり、米ドルに対抗すべく欧州各国の力を結集して生み出された通貨とも言えます。

トータルの経済力が大きい一方で、EU全体の力は、加盟国の一つ一つの動きに影響されやすいことから、ユーロは米ドルよりも値動きが激しいとされています。

円で取引するときは「ユーロ円」という通貨ペア名となります。国際的に使われる略称は「EUR」です。

③英ポンド(より値動きが激しいベテラン向け通貨)

米ドルやユーロに次ぐ取引量がある外貨が、英ポンド(イギリス・ポンド)です。

英ポンドの特徴は、主要国通貨随一の値動きの大きさです。とくに、イギリスがEU離脱を発表して以降は、離脱交渉やイギリス内政の状況に反応して短期間でレートが上下しています。

腕利きトレーダーに人気

値動きが激しいということは、腕に自信のあるFXトレーダーなら、より大きな利益を狙いやすいということでもあります。したがって、FXの盛んな日本では人気のあるFX通貨となっています。

ただ、値動きが大きいということは大損も出やすいということです。初心者がいきなり取引するのは避けたほうがよいでしょう。

円で取引するときは、「ポンド円」もしくは「英ポンド円」という通貨ペア名が使われます。国際的に使われる略称は「GBP」です。

④豪ドル(日本で人気の資源国通貨)

世界的な取引量はさして多くないものの、日本のFXトレーダーには人気があるのが、オーストラリアで発行される通貨、豪ドル(オーストラリアドル)です。

豪ドルは、比較的値動きが大きいことも特徴ながら、それ以上に、原油や金といった天然資源の価格に影響されてレートが動く資源国通貨であることが最大の特徴と言えます。

資源価格から値動きを予想できる

豪ドルが資源価格に影響されやすいのは、オーストラリアが原油や金の産出国であり、これらを諸外国に売ることで経済が成り立っていることが原因です。

したがって、例えば原油の値段が安くなると、オーストラリアの収入が減ることになり、そこから影響されて豪ドルの価値も下がります。(=豪ドル円レート下落)

逆に原油が値上がりすると、オーストラリアの収入増が見込まれて豪ドル円レートも上がることが多くなります。

このように、原油や金の価格(=原油先物価格、金先物価格)の動きを参考に、豪ドルのレート予想ができる「資源国通貨」であることが、豪ドルの大きな特徴と言えるのです。

円で取引するときは「豪ドル円」という通貨ペア名となります。国際的に使われる略称は「AUD」です。

ニュージーランドドル(農産物主体の資源国通貨)

オーストラリアからやや離れた東側に浮かぶ島国ニュージーランドの通貨が、ニュージーランドドルです。

ニュージーランドも資源国であり、豪ドルと同様に資源国通貨にくくられます。といっても、原油や鉱物を算出する豪と違い、ニュージーランドの主要資源は乳製品です。

したがって、乳製品のような農産物の価格に影響されることが多くなります。

市場センチメント(心理状況)に影響されやすい

ニュージーランドドルは、同じオセアニア圏の豪ドルと似たような値動きをするのが特徴である一方で、より市場センチメントに影響されやすいという特徴もあります。

市場センチメントとは、FXをしている世界中のトレーダーたちの心理状況のことです。例えば「世界景気が後退しそうだ」というニュースが広まったらニュージーランドドルは売られ、「世界景気が好調!」となれば買われる傾向があります。

農産物価格に加え、市場センチメントもレート予想の材料になるところから、やはり日本では人気の高い通貨です。

円で取引するときは「ニュージーランドドル円」もしくは「NZドル円」という通貨ペア名となります。国際的に使われる略称は「NZD」です。

さて、ここまででまだ説明していない主要国通貨があります。
それは、日本円です。

わたしたちがほとんど毎日使っている通貨・日本円は、実は、世界的に見て最も安定性のある通貨の一つと見られています。

安定性があるとは、すなわち、国家が破綻して通貨の価値がゼロに近づくデフォルトリスクが極めて低いということです。

低リスクな安全資産

経済力があり、治安がよく、外国への借金が少ない日本は、外国から見るととても安定した国と考えられています。事実、日本円が急に価値を失ったりしたことも、歴史的に見て少ないと言えます。

そのため、世界で景気減速や貿易摩擦といった危機感が浮上したときは、ほかの国の高リスク通貨を売って低リスクな円を買う「有事の円買い」という動きが見られます。

低リターン

しかし、低リスクであるということは、低リターンでもあるということです。
例えば、円は値動きが小さいために、FXで為替差益を狙うのにはあまり向いていません。

そのため、景気がよくてお金が余っている人は、低リターンな円を売って、円以上の儲けが期待できる高リスク高リターン通貨を買う傾向があります。

リスク低減に最適な日本円

言ってみれば、円を売って外貨を買うFXは、高リスクを取って高リターンを目指すという試みなのです。

逆に言えば、絶対にリスクを取りたくない人・取れない人(=お金に余裕がない人など)は、FXをやるべきではありません。

むしろそういう人は、FXよりもずっとリスクが低いと言える、円のままでの貯金などといった資産運用が適しています。

スポンサーリンク

新興国通貨

FX通貨としての新興国通貨にほぼ共通した特徴は、値動きの激しさ(高ボラティリティ)、そして利息の大きさ(高スワップポイント)です。

新興国は、経済的に安定していないために、通貨レートも安定しません。しかしその分、値幅を利用して大きな利益を狙いやすいと言えます。

また、価値の安定しない新興国通貨を、他国の人にも買ってもらうために、新興国通貨の金利はえてして高く設定されています。金利が高いと、FXでもらえるスワップポイント(スワップ金利)も比例して大きくなるため、この点でも新興国通貨は人気があります。

新興国通貨でもとくに人気のあるものを、いくつか詳しく見てみましょう。

トルコリラ(超高金利)

中東に位置し、世界史上きわめて重要な交易都市であるイスタンブールを擁する国が、トルコです。

このトルコが発行する通貨リラ(トルコリラ)が、FXでいま人気が高まっています。

人気の秘密は、その超高金利(超高スワップポイント)です。

驚異のスワップポイント15%超え%

スワップポイントとは、外貨をFXで保有すると毎日もらえる、金利のようなものです。このスワップポイントは、各国の「政策金利」というものが元になって決められます。

政策金利は、安定した国ほど低く、不安定な国ほど高くなる傾向にあります。例えば日本の政策金利はマイナス0.070%(マイナス金利)、アメリカなら2.500%と、いずれも低い値となっています。

これに比べ、トルコの政策金利はなんと24%もあります。これをベースにして決められるスワップポイントは、試算ベースなら年間15%を超えることもあります。

単純計算すれば、トルコリラ100万円分持っていたら、毎年15万円増えるということです。(あくまで試算です)

三年で50%減価

しかし、政策金利が高いということは、それだけトルコの経済状況が不安定であるということでもあります。

その不安定な経済状況を反映し、トルコリラの価値(レート)も、極めて不安定なものとなっています。

例えば、現在(2018年12月)のトルコリラ円レートは20円前後です。1トルコリラを20円ほどで買えるという意味です。

しかし、3年前の2015年12月、トルコリラ円レートは40円でした。

これはつまり、この3年間で、トルコリラの値段が半額まで落ちたということです。たとえば3年前に100万円分買っていたら、今はそれが50万円に減った、という計算になるのです。

初心者は手出し厳禁

トルコリラは長らくレートを下げ続けており、今年9月には市場最安値の14円をつけています。3年前の100万円が35万円に減ったイメージです。

それから現在までは値を戻し、いまでは20円まで回復していますが、今後どうなるかは誰にもわかりません。それほどまでに、トルコリラの値動きは不安定なのです。

いくらスワップポイントが高くても、このように値動きが激しすぎるトルコリラは、とても初心者にはおすすめできません。

南アフリカランド(高金利・高ボラ)

南アフリカランド(南アランド)も、トルコリラほどではないにせよ、高い金利で知られています。政策金利は6.75%、スワップポイントも8%超えのケースもあります。

しかし、こちらの特徴も、おおまかにはトルコリラと変わりません。

高いスワップポイントは南アフリカの不安定な政情を反映しており、それに応じてレートも大きく高下しています。

トルコリラよりは落ち着いているが・・・

南アフリカランド円のレートは三年前には8.0円周辺でした。現在は7.6円周辺で、トルコリラに比べると、大分安定しているように思えるかもしれません。

しかしこの3年間の南アランド円レート高値(一番高いレート)は9.2円、安値(一番安いレート)は6.7円でした。

これは、3年前に100万円分持っていたら、途中で115万円に増えることもあれば、82万円に減ることもあった、という具合です。

トルコリラに比べるとまだかわいいものと思えるかもしれませんが、実際に手元に100万円あるときに、20万円近い金額が増えたり減ったりすることを考えると、落ち着いていられる人は、とくにFX初心者であれば少ないのではないでしょうか。

スポンサーリンク

通貨ペアはまず主要国通貨から選ぼう

ここまでを大まかにまとめると、

・主要国通貨は比較的安定
・新興国通貨は比較的不安定

・安定した通貨は、儲けも損も比較的小さい
・不安定な通貨は、儲けも損も大きい

・安定した通貨は、初心者にもベテランにも向いている
・不安定な通貨は、初心者には向かない

となります。

初心者が選ぶなら、まず米ドル円を

結論を書いてしまうと、FXを始める初心者が選ぶべき通貨ペアは、米ドル円が最もおすすめです。

FXの主役は米ドル、と言っても過言ではありません。

というのも、

・世界で最も流通しており、世界でもっとも情報が充実していて、レート予想がしやすい

・値動きが大きすぎず小さすぎないので、リスクを抑えつつFXの面白みを感じられる

という2つの大きな特長があるからです。

FX会社を問わない

あなたがFXを始めるには、まずFX業者に申し込んで口座をひらく必要がありますが、FX業者によっては、取り扱う通貨が少ないところもあります。

しかし、米ドルなら心配はありません。FX業者と名のつくかぎり、どこで口座を作っても、米ドルFXは可能なはずです。

米ドル円でFXを始めよう

したがって、まずは自分の知っているFX業者で口座を開いてみて、まず米ドル円でFXトレードを始める、というのが、おすすめのFX通貨ペアの決め方と言えます。

なお、FX口座をひらくのはほとんどの場合無料なので、慣れてきて他の通貨をやりたくなったら、その通貨を取り扱う別のFX業者でも口座をひらく、という方法も可能です。

このほか、FX初心者向けの情報をこちらでお読みいただけます。
→FX初心者マニュアル – 誰でもわかるFXの始め方

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください