市場の焦点となっていたトルコ統一地方選の結果がほぼ明らかとなったところで、与党AKPは敗北が濃厚となり、トルコリラ円レートは一時20円を上抜ける上昇を見せたものの、時間が経つにつれ市場心理が軟化、再び19円台へ押し戻されています。
統一地方選の結果を振り返りつつ、今後のトルコリラ円レート見通しを解説します。
このページの目次
統一地方選結果にレート振らされ
このところ激しいボラティリティを示しているトルコリラ円為替は、今週に入ってからやや上昇（リラ高）しており、一時は節目となる20円を上抜ける展開となっています。
・トルコリラ円 直近1週間チャート（1時間足）
トルコリラ信用不安をうけ、最近になって二度のレート急落を起こしたトルコリラ円ですが、ひとまずはトルコ与党政権による「一時しのぎ」とも思える空売り抑制策（スワップ金利の著しい引き上げ）により下落に歯止めがかかり、今週に入ってからのレートはやや下値堅く推移しています。
このレート急落への対応もさることながら、市場は、先月末31日に投票を終えたトルコ統一地方選の開票結果に注目していました。
トルコ統一地方選は与党敗北濃厚
本選挙は、失政を繰り返す与党AKPが多数をとれるかどうかが焦点となっていましたが、その結果は野党優勢となり、4月1日深夜には、AKP最後の砦とも言えた最大の都市イスタンブール市長選も野党優勢と伝えられました。
これによりトルコリラ円は思いのほか上昇、独裁政権をしくエルドアン大統領率いるAKPからの脱却期待がリラ買いを支え、トルコリラ円為替は週高値の20.40円台まで上伸しました。
・トルコリラ円 1日～2日（30分足）
しかし、リラ買いが一巡するとレートは軟化、2日（火）17:30現在は再び20円を下抜けて頭重く推移し、19.92円をつけています。
野党へ期待も短期的リスクは増大
AKP敗北濃厚となったことで、エルドアン大統領は今後、国民からの支持拡大のため、さらなる一時しのぎの政策に着手するおそれがあります。
中長期的には、長期政権となっていたエルドアン政権から、野党である民主的なケマル派へと支持が移っていく可能性があり、トルコの見通し改善につながると言えますが、短期的には、焦った与党の政策によってトルコリラの信用がますます失われる可能性が強く、そうなれば、今後しばらくリラはさらなる下落圧力にさらされると考えられます。
高まるリスク、対米関係懸念も重し
外国諸国の投資家は、トルコに対し、民間投資の増進と財政赤字の抑制、そしてトルコ中銀への介入を行わず金融政策を正常化させることを望んでいると思われます。
しかし、当面、エルドアン政権がそのような方向に進む可能性は、さして強まっていないと言えます。エルドアン大統領は市場介入を行わないとの発言も行っていますが、有言不実行の起こりがちな同政権については、この発言通りに解釈するわけにはいかないのが、実際のところです。
戦闘機問題で新たな悪材料
また一方では、地方選結果に関心が集まりさして注目されなかったとはいえ、米がトルコへのF35戦闘機出荷を4月2日に停止したとの報道も、トルコリラの見通し悪化につながっています。
トルコ空軍の戦闘機購入については、政府がロシアからの最新鋭機購入の意向を明らかにしており、これに米が反発していた経緯があり、今回の報道で、トルコ・米国間の対立がさらに意識されることになり、こちらもリラ売りに影響しているもようです。
スポンサーリンク
トルコリラ見通し（今日・今週のレンジ予想）
今後のトルコリラ円のレンジ予想については、下記のページをご覧ください。
→今日のトルコリラ円FX レンジ予想（今週・今月のレンジ予想も）
こちらの本サイト公式LINEアカウントを追加すると、トルコリラ円レートや株価の予想関連情報をお届けします。
↓
スポンサーリンク
今月のトルコリラ関連イベントスケジュール
トルコリラ円に影響を与えうる経済指標公表などの今月のスケジュールは、下記の通りです。
※状況に応じ変更となる可能性があります。
これから予定されている今月のイベント
4/3（水）16:00 3月消費者物価指数（CPI）(前年同月比)（前回値 19.67％、 今回予想 19.61％）
4/3（水）16:00 3月消費者物価指数（CPI）(前月比)（前回値 0.16％、 今回予想 1.00％）
4/11（木）16:00 2月経常収支（前回値 -8.1億ドル）
4/15（月）16:00 1月失業率
4/16（火）16:00 2月鉱工業生産(前月比)（前回値 1.0％）
4/23（火） 休場
4/25（木）20:00 トルコ中銀、政策金利
4/30（火）16:00 3月貿易収支
すでに終了した今月のイベント
4/1（月）16:00 3月製造業購買担当者景気指数（PMI）（前回値 46.4、結果 47.2）
