今週のトルコリラ円は、経済指標に悪化に加え、(その一因でもある)原油高進行での見通し悪化、またトルコ長期金利の急上昇などが悪材料となり、軟調に推移しています。
今週前半のトルコリラ円相場を振り返りつつ、今後のトルコリラ円レート見通しを発表します。
このページの目次
今週前半のトルコリラ円振り返り
今週前半、10月1日(月)~3日(水)のトルコリラ円は、高値19.269円から安値18.625円の取引レンジで、売り買い交錯で横ばい気味に推移しました。
対米関係改善兆候も経済指標悪化が冷や水
先週までは、対米関係悪化の原因となっていた米国人牧師ブランソン氏の拘束問題に関し、ブランソン氏解放の可能性について報道が出たことにより、トルコリラ円レートは上昇していました。
しかし今週前半は、1日(月)に発表されたトルコ・9月製造業PMIの悪化、また3日(水)のトルコ・消費者物価指数上昇による過度なインフレの進行が重しとなり、トルコリラ円は売り買い交錯で、19円周辺を行きつ戻りつの横ばい展開となっていました。
原油高がトルコ物価上昇に油を注ぐ
さらに、このところの原油高も、原油輸入国であるトルコの物価高騰につながっています。
トルコ国内において、原油価格は2018年内に2倍に高騰しているとの報道があり、もともと高水準なインフレ(物価上昇)にあえぐトルコにとっては、火に油を注ぐ事態となっています。
マッキンゼーとの提携はポジティブニュースか
好ニュースとしては、金融面の苦境打破のため、トルコ政府が米コンサル名門のマッキンゼー社を雇ったと、週初に報道がありました。
一時、これによりトルコ中銀などの独立性が損なわれるなどの懸念が浮上したものの、翌日エルドアン大統領がそうした懸念を払拭する声明を出し、沈静化しました。
マッキンゼー提携による影響が短期的に表出するかは不明であり、市場も目立った反応は示していないものの、中長期的にはポジティブなニュースとして受け取ることができそうです。
今週後半のトルコリラ円と見通し
今日4日(木)17時、トルコリラ円レートが急落しています。
レート急落、CPI・原油高・長期金利上昇の相乗効果か
今日は、トルコCPI上昇、また前述の原油高が更に進行したことで、トルコリラ円レートは下落傾向でしたが、その一方でトルコの長期金利(下図青線)も急上昇しており、16時から17時、せきを切ったようにトルコリラ売りにはずみがつきました。(下図緑矢印)
・トルコリラ円(ローソク)、トルコ10年国債金利(青線) 10月3日~4日 1時間足
在米トルコ宗教家宅で発砲事件も
また今日4日には、在米トルコ人のイスラム教指導者ギュレン氏宅で発砲事件があったとの報道も出ています。
報道によれば、ギュレン氏を含めけが人は出なかったとのことですが、氏はトルコ政府からクーデター首謀者として容疑がかけられており、引き渡しを拒絶し続けている米国との関係悪化の原因の一つとなっていたため、この事件を端緒になんらかの悪材料が出た場合、さらにトルコリラを下押す材料となる可能性もあります。