今週のトルコリラ円レートは、政策金利維持や対米関係改善による好地合いのなか、市場でもリスクオフムードが後退したことも支えとなって、いくつかの悪材料の影響を限定的にとどめつつ、おおむね堅調に推移しています。
今日までの動きを振り返りつつ、来週のトルコリラ円レート見通しとレンジ予想を発表します。
今週のトルコリラ円概況
今週10月29日(月)から今日11月2日(金)にかけてのトルコリラ円レートは、高値20.680円から安値19.855円のレンジで推移しており、先週終値比では上昇しています。
好地合いのなか悪材料の影響も限定的に留める
今週のトルコリラ円レートは、先週の政策金利据え置き決定のほか、対米関係の改善、そしてサウジ記者事件にまつわるトルコの国際的な存在感向上などが支えとなり、好地合いのなかでスタートしたと言えます。
週前半はさらに原油安(によるトルコ対外債務の縮小)も追い風となり、レートは堅調に推移していました。
しかし週半ばの31日(水)にトルコ財務大臣より新たな減税計画が発表となると、減税による景気過熱の見通しからインフレ加速懸念が浮上、レートは急落しました。
とはいえ31日から1日(木)の夜にかけては、米株安一服とともに市場のリスクオフムードが縮小、トルコリラ円レートも31日にひとまず底を売った後、今度は同時株高に合わせて上昇トレンドに反転、週末となる今日2日(金)も堅調な推移が続いています。
来週のトルコリラ円レート見通しとレンジ予想
今週のトルコリラ円は総じて、地合いの良さが意識される展開でした。
今週半ばの急落時もめやすとなる20円台を下回ったのは一時的で、さらに週後半は同時株高などの好材料が出たうえ、今日2日午後には米中貿易摩擦の懸念後退観測も出ており、きのうまで上値の重かったレートは一転、週間高値を追う展開となっています。
いまのところ目立った悪材料は消化済みで、あとは来週に発表予定であるトルコ経済指標がサプライズ的な悪化とならなければ、来週はこのまま堅調トレンドを維持する可能性があります。
来週の材料とレンジ予想
来週5日(月)には、トルコ・CPI(消費者物価指数)が発表予定となっています。こちらが高水準となった場合は、トルコの大きな問題点である高インフレの加速見通しで、大きなレート下落圧力となりそうですが、現在のところそうした予想は立っていません。
今週に財務大臣から発表された減税政策はインフレ懸念に油を注ぐものではありますが、こちらはまだ実行にうつされておらず、来週発表のCPIへの影響はほぼないものと考えられます。
ただ、懸念として、サウジ記者事件にまつわる国際的な緊張激化、また今日2日(金)から来週にかけて発表される米国の雇用統計やPPIといった経済指標が悪化の可能性はあります。地合い良好とはいえ、これらが悪い内容となった場合は、一時的に大きな下落が発生しそうです。
来週のトルコリラ円レート見通しは、高値20.750円から安値19.350円のレンジを予想します。