私は、給与振込やカード支払など、メインバンクとしてS銀行を利用しています。
S銀行は、ATMがコンビニで使え手数料が無料、銀行振込も手数料が預金額に応じて数回無料になっており使い勝手が良いので、もう20年近く決済銀行として利用しています。
株価が急落している時など、買い増ししたいとき程、証券口座に現金が無いものです。そういう時も、S銀行から私の資産運用をしているSBI証券への振込も手数料も数回は無料なので、大いに役立ってくれています。
そんなS銀行ですが、先日、電話で資産運用に関する情報提供をしたいので、ご来店頂けないかと電話があり、一度は資産運用はSBI証券でやっており、しかも、現在はすべて損切りし、キャッシュポジションを1年くらいは維持するつもりなので、S銀行さんで資産運用する気はないとお話ししたのですが、どうしてもということだったので土曜日に約束をして、先日、生まれて始めてファイナンシャルプランナーの肩書を持つ方に、資産運用のご提案を頂きましたのでご報告します。
結論からお話すると、わかったことは:
- 1. 自信を持って紹介できる商品はなさそうなこと
2. 銀行業務自体がかなり危なそうなこと
の2つです。
まずは、S銀行さんに来店してから、いろいろな商品を紹介され、結局は2ヶ月の定期預金0.05%を作成した経緯について順を追ってお話します。
まず、S銀行さんの入口に着くとセキュリティーの方に名前を聞かれ、5分程待たされます。そうすると、20代後半でしょうか長身で、仕立ての良さそうなスーツを着たいかにもエリートっぽい資産運用アドバイザーの方から名刺を渡され、ちょっとした社長室のような個室にとうされます。大きな机には、パソコンのモニターが3つ程あり、アドバイザーの方は2つの画面を1つの画面は私の方に向けられ、現在の口座の預金状況を確認させられます。そこで、やり取りした会話はだいたい、こんな感じです。
アドバイザー「お客様の口座の預金額は、円普通預金が◯◯円ですが、間違いありませんか?」
私 「はい、間違いありません」
アドバイザー「預金が毎月少しづつ積み上がっているが普通預金に預けていても利子が殆ど0なので、もったいないですね。外貨預金や投資信託で資産運用を長期的にしてみてはいかがでしょうか?」
私 「資産運用は、SBI証券さんで一元的にやっているのですが、もし、良い商品があるならS銀行さんで少しづつ積み立てていってもいいと思っています。何か良い商品はありますか?」
アドバイザー 「いろいろな種類の投資信託がありますが、時間的に分散投資していけばリスクは分散されます。」
私 「リーマンショックから既に9年経って、ダウも史上最高値をつけています。今は買い時なんですかねえ?」
アドバイザー 「投資信託の値下がりがお気になるようなら、仕組み債というのがあります。」
とアドバイスを受けます。
仕組み債とは、デリバティブを活用した金融書品で、様々な商品がありますが、日経などのインデックスに連動したものは、例えば「5年間で30%以上値下がらなかった場合、年率5%のリターン」と言った商品です。
仕組み債は、購入時から参照対象のインデックスが一定の高さとなる水準に上昇した場合は、その瞬間に、債券は期限前償還となる一方、逆に一定の低い水準に下がってしまうと、投資元本を割り損をする。通常、判定日は四半期ごとで、両方の価格水準にタッチしない場合は、投資続行となる。
私達プロジェクトグループは、ダウと日経の過去60年の株価を見ていますが、ある時点から株価が一時的に30%下回るのは珍しいことではないです。
まして、償還期間が5年ともなれば、よほどタイミングが良くなければ、下がらないのが珍しいくらいです。ただし、おそらくですが、リーマンショックの底値の時などは、こういった仕組み債は発行されてないはずです。ファンドにしてみれば、上昇して早期償還すれば、投資家は再投資する可能性が高く、また手数料が入ってきます。また、債権の発行時の仕切値は証券会社が決めるためその決め方で手数料収入とは別に高い収益を得ることができるのです。こんなもんにひっかかって、買う人が本当いいるのかなあと思いつつ、次のような質問をぶつけてみました。
私 「なるほど、良さそうな商品ですね。ところで、今ダウが史上最高値です。日本市場はダウが下げると過剰反応して、それ以上下がるのが常ですよね。今後5年でNYダウが30%下がる確率はどのくらいあるんですか?」
アドバイザー 「わかりません」
私 「過去5年、10年で何回くらいあったんでしょうか?」
アドバイザー 「…….」
私 マジか….。こいつ市場のこと何もわかってない。
アドバイザーの方は、投資に商品やリスクについては知識はありますが、市場についての知識は、金融について調べて6ヶ月しかたってない私達より全く知識がないのです。私の期待していたのは、例えば、
「現在、市場が天井感があるので、リスクの低い債権や内需株型のファンドを一部お持ちになって、現金は短期の定期預金にしておいてはいかがでしょいうか?」
のようなアドバイスです。そこから、いや、今は株や止めときましょうとか、債権(ファンド)を多くしておきましょうとかそういうものだったのですが、勧めてくるのがあり得ないほどハイリスクローリターン(マイナスリターンの可能性大)のものばっかりだったので、自分のやっているプロジェクトの話をして、過去30年市場の状況の説明も軽くした上で、何か良いアドバイスはないかと聞き返すと、すっぱり商品を提案するのを止めてしまいました。そして、現在、定期預金は年数が長くなるほど金利が低くなるので、2ヶ月毎に利息を見直す、短期定期(利息0.02%)にお預けになってはどうでしょうかとういことでした。利息が0.02%とは、100万円預けても1年間で200円、利子が据え置かれたとしても税引き後はリターンが160円です。ちなみに、銀行への車で行ったので、駐車料は1時間400円でした…..。マジかっw.
SBIのオンライン画面上で、うすうすは感じていたのですが、現在日本円建てのまともな債権は発行されていないようですね。3〜4年前だと、1〜3%くらいの債権が発行されていたのですが、そういった債権を最近みたことがありません。また、日本の会社が発行する日本円建ての社債ファンドっているのはないのでしょうか?僕は今まで見たことがないのですが、もしご存知でしたらコメント下さい。
また、アドバイザーの方は後半こういったことも言われていました。最近、銀行からお金を借りる企業が激減しているようで、借りても低金利なので殆ど儲からないようです。特に中小企業、中でも利益の出ている企業は資金需要が殆ど0なようで、儲かっている企業程その傾向が強いとか。また、個人の融資も自動車ローンはさっぱり、住宅ローンは借り換えは一巡し、新規はあまりないようです。日経の記事などではよく見ますが、銀行は現在は財務体質もよく、収益もそこそこ出していますが、将来的には、かなりヤバイと感じました。低金利で資金需要が右肩下がりの日本社会では、投資銀行業務や海外での実績のない邦銀にとっては将来はかなり厳しいのではないでしょうか?お金の出し入れならば、セブン銀行で十分ですし、決済銀行ならネット銀行の方が便利です。また、今まで邦銀は、海外送金や為替で高額な手数料を稼いました。例えば、10万円を海外に送金するのに5000円以上の手数料がかかっていました。しかし、そんな不合理なビジネスモデルがネットの時代に続くわけもなく、近い将来ビットコインのようなデジタル通貨に取って代わられるでしょう。既に、海外への出稼ぎ労働者が多く、金融機関の出先機関が未整備なインドネシアやフィリピンなどでは、ビットコインでの送金が普通に行われているようです。マイナス金利時代に、どうして銀行ビジネスがヤバイのかということを改めて肌で感じました。
今回、個別の資産運用説明会でわかったことは:
1. 現在、資産運用アドバイザーが胸を張って勧められるような商品はない
2. 仕組み債は、インターネット・バブル時に流行ったアクティブファンドのようなハイリスク・ローリターン商品(だろう)、おそらく金融機関にとって、ローリスク・ハイリターンなんだろうけど
3. マイナス金利で銀行ビジネスの収益率は確実に下がっていき、マイナス金利政策が長引けば、いづれ銀行大再編時代がくるかもしれない
でした。
読者の皆さんの中にも、個別の資産運用説明を受けた経験のある方がたくさんいられると思います。何かご意見や自分の体験談など共有していただけることがあれば、是非、ご意見、コメントをお願いします。