ドル円FX予想:下値余地意識 指標上下も米金利見通しは維持

12月第三週のドル円は底堅い。先日発表された米11月PPIなどの物価指標が市場予想を上振れたことで米10年債利回りが上昇しており、こちらを手がかりとしたドル買いが見られている。ただ市場関係者の大勢はFRBによる利上げ幅縮小の見通しを共有しており、今後は重要経済イベントに反応しつつ下値拡大の展開が見込まれる。

なお前回配信のFX有料レポートでは、米10年債利回りの上昇を受けたドル買い戻し観測による円安予想を掲載し、こちらが的中。

→ 有料版レポート:プロが予想するドル円節目レートは?

下値余地意識 指標上下も米金利見通しは維持

12月9日に発表された米11月生産者物価指数(PPI)は市場予想を上振れる強い結果、また同日の米11月ミシガン大消費者信頼感指数も強い結果となったことで、米10年債利回りは久方ぶりに3.60%を上回る水準まで上昇。結果、12月第三週にかけてのドル円レートは一時買い優勢となり、底堅さの示される展開が続いている。

さらにこの週には米11月消費者物価指数(CPI)発表、続いてFOMCと、今後の米金融政策の見通しを決定する重要な経済イベントが続く。これまでの米金利引き上げ政策の影響から米11月CPIは伸び鈍化となる、というのが市場予想だが、市場参加者の一角からは、先日の米11月PPIやミシガン大指数の強い流れを引き継ぎ、こちらもサプライズ的に強い結果になるのではないか、との声が聞かれている。

仮にそうなれば結果確認後にドル買い再燃となるだろう。その場合レートはボリンジャー20日ミッドバンド近辺の138円台前半まで上げる展開も考えられる。さらに株価が強い推移となれば、リスクオンの円売りも重なってレートはさらに上を目指す可能性も出てくるだろう。

ただ、この後に及んで米11月CPIが強い数値を示したとしても、すでに利上げ幅縮小の可能性に言及したFRBが態度を変える可能性は低いだろう。以前であればかたくなに利上げ断行姿勢を崩さなかったパウエル議長らFRB要人が今や公にハト派的な発言を行っているという事実は、それほどまでに重視すべきファンダメンタルズ転換の裏付けと言える。

こうしたなか市場関係者は米11月CPIよりもむしろ、その後に控える12月FOMCの結果に高い関心を注いでいる。上述の通りFRBはすでにハト派的な方向を向いていると考えられ、今回のFOMCで利上げ幅をこのところの0.75%から0.50%に引き下げる可能性がある。もしそうなれば市場はFRBの金融方針転換を意識した本格的なドル売りに動かざるを得ないだろう。

あるいは、仮に利上げ幅が0.75%のままだったとしても、その際のドル買いはあくまで短期的なスパンでのトレードに終始するだろう。一方の通貨オプション市場では円買い拡大傾向も続いており、ドル円相場は中長期的に下向きの見通しが共有されている。ドル円レートがほんの一年前には110円台、二年遡ると100円台で、現在の水準ですら+40円近い水準にあることを鑑みれば、当面の下げ余地はまだまだ大きいと言わざるを得ない。

現水準より下方では、日足ピボットPの137.30付近、心理的節目137.00付近がひとまずのサポートとなり下値を支える。ここを割れるとストップロス売りオーダーがやや厚いが、次には136.90付近に5日移動平均線、また136.75あたりに日足ピボットS1と一目転換線が位置しており、ここでも下値を支える展開が見込まれる。ただ上述の通り、目下の大きなファンダメンタルズを顧みれば方向感は中長期的に下向きだ。米11月CPIやFOMCでの利上げ幅縮小など、大きな材料が出れば一気にこうした水準を割れていく可能性を頭に置いておきたい。その場合はまず12月2日安値の133.60辺りが次の下値メドとなる。

現水準より上方では、まず心理的節目138.00付近がレジスタンスとなるほか、138.20あたりの日足ピボットR1、138.30あたりのボリンジャー20日ミッドバンド、138.40付近の21日移動平均線など、138円台前半にいくつかの重要なテクニカル節目が位置してレジスタンス帯を形成している点が意識される。このところの値幅の大きさを鑑みれば、米CPIやFOMCの結果次第ではここを一気に抜け、さらには日足ピボットR2の138.70辺りも抜けて139円台にトライする展開も十分に可能性がある。ただファンダメンタルズの大勢を見ればドル買いがそのまま継続する流れは考えにくいだろう。
→米CPIやFOMCなど重要イベントを通過で大幅下値拡大も視野、プロのドル円FX予想は?

 

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