今週のトルコリラ円レートは、米によるイラン制裁にからむ資源輸入コスト増大懸念の回避で一時急上昇するも、CPI悪化や経済見通し縮小といった悪材料で上げ幅帳消しの展開となっています
今週の動きを振り返りつつ、来週のトルコリラ円レート予想を発表します。
このページの目次
今週のトルコリラ円概況
今週のトルコリラ円レートは高値21.350円から安値20.649円のレンジで推移しており、前週終値比では小幅に上昇しています。
一時急上昇、懸念呼んだイベントもそつなく消化
週初には好材料が並び一気に21円を上抜けたトルコリラ円レートでしたが、週半ばからは悪材料が続き、そのたびに上げ幅を縮小、週末の今日9日(金)にはふたたび20円台に押し戻されたままの上値重い展開が続いています。
まず5日(月)は、米が発動した対イラン制裁において、米からイランの取引相手国に対し、原油などのイラン産資源の輸入を差し止めるよう要請がなされましたが、トルコはその要請対象から期限付きで除外されました。
資源輸入国のトルコは、原油や天然ガスをイランから輸入していますが、これが差し止められると、資源調達コスト増や、すでに高水準なインフレのさらなる加速など、悪影響は甚大となります。しかしその懸念が払拭され、5日のトルコリラ円レートは急上昇しました。
なお、懸念されていた米中間選挙については、ほぼ事前予想通りの展開でレートに大きな影響はなく、また今日9日未明のFOMCによる米政策金利発表も結果は据え置きと、トルコリラ円レートに大きな影響は見られませんでした。
週中から悪材料続き上げ幅帳消し
しかしその後、6日発表のトルコ・CPIは悪化となり、インフレ加速が市場の懸念を呼び、レートは下押しました。
さらに8日には、米格付け会社のムーディーズからトルコの経済が今後2年で縮小するとの見通しが出され、レートは21円を下抜けて週初の上げ幅をほぼ帳消しにする展開となりました。
今週末から来週のトルコリラ円見通し
週末のきょう9日、レートは20.710でいったん下げ止まり、あとは下げ渋る展開となっています。
トルコ財務大臣「最悪期過ぎた」と発言も…
なお、きょう9日の未明には、トルコの財務大臣アルバイラク氏より「トルコが通貨危機やインフレ危機を打破した」との声明が発表されています。
声明内容は、今年8月の通称「トルコリラショック」からの2ヶ月間で、これらの問題は解決され、「トルコ経済の最悪期はもう過ぎた」とするものです。
しかし、ムーディーズによるトルコ経済の縮小見通し発表があった矢先とあって、この財務大臣発表に対するレートの反応はほとんど見られませんでした。
今週末~来週のトルコリラ円レート見通し
週足チャートで見ると、今年ずっと下げていたトルコリラ円レートが、9月以降は反発していたことがわかります。
この展開をうけ、市場ではトルコリラ円レートの底入れと見る向きも根強くなっていますが、年間で2桁台に達する極めて高い水準のインフレ率が、ここにいたってなお進行している事実は揺るぎなく、半信半疑の市場はムーディーズ発表のような悪材料に敏感に反応している状況です。
ただ、インフレ率が「これ以上極度に悪化することはないだろう」という見解があるのも確かで、来週に予定されている雇用統計がいい結果となった場合は、このところの上げ基調が継続する可能性もあります。
来週のトルコリラ円レートは、高値21.75円から安値19.75円のレンジを予想します。
トルコリラ円 来週のイベントスケジュール
トルコリラ円に関する来週の経済イベントは、下記が予定されています。
15日(木)16時 8月失業率(前回値10.8%)
16日(金)16時 9月鉱工業生産(前月比)(前回値1.1%)