2021年の豪ドル円は、どういった材料で、どのように動くのでしょうか?
豪ドル円レートと相関の強い銅価格の動向や、豪経済に影響する中国との関係をポイントに、2021年の豪ドル円の高値メド/安値メドや方向感を予想します。
このページの目次
2021年の豪ドル円は反発基調
昨年2020年の豪ドル円は、年初のコロナショック時に一時60円割れまで下げたものの、その後は反発基調が継続。
事実、2020年の月足チャートを見てみると、コロナショック以降は9~10月を除くすべてのローソクが陽線となっており、上昇圧力の強さが確認できます。
さらに、この上昇局面で、豪ドル円は2014年以来の下落トレンドラインの上抜けも果たしています。
こうしたなか、続く2021年の豪ドル円は、下落トレンドラインを上放れ、強気トレンド入りが確定するかどうかが注目となります。
それでは、2021年の豪ドル円の行方を考えるうえで、ポイントとなる材料を見てみましょう。
銅価格上昇とつれ高の可能性
まず押さえておきたいのが、豪ドルとの相関が強いとされる、銅価格の動向です。
2020年以降の豪ドル円チャートを、銅価格と重ねてみると、銅価格の上昇局面では、豪ドル円も連動して上昇していることがわかります。
このため、銅の需要が今後高まれば、銅価格が上昇し、豪ドル円もつれ高傾向となりそうです。
なお、銅を大量消費する国として知られるのが中国ですが、中国はコロナ禍からいち早く景気回復を果たしており、今後は中国からの銅需要が堅調となるとみられ、銅価格も堅調推移となって豪ドルをサポートする可能性があります。
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豪中関係には警戒感も
ただし、ひとつ注意しておきたいのが、オーストラリアと中国との国交関係です。このところの豪中関係は緊張状態にあり、上記のような中国からの銅需要や、その他の生産品の貿易がとどこおれば、豪経済の悪化観測で豪ドル円の重荷となる可能性も否定できません。
豪中関係悪化の火種となったのが、新型コロナ問題です。豪モリソン首相は新型コロナウイルスの発生源について「徹底的な調査」を要望しており、これを受けて中国は、オーストラリアの大麦の輸入規制を行うなど、制裁を発動する事態へと発展しています。
2021年初頭時点では、豪中関係の悪化は小康状態にありますが、もし今後さらに緊張が高まれば、中国への豊富な輸出に悪影響が及び、豪ドル景気見通しが悪化して豪ドル売りとなり、豪ドル円の重荷となる可能性があるため、注意が必要です。
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下落トレンドラインをめぐる攻防
もう一つ、冒頭で述べた2014年以来の下落トレンドラインとの関係も、注意しておくべきでしょう。
豪ドル円チャートはすでにこの下落トレンドラインを上抜けていますが、また「明確に上放れた」との認識が広がったわけではなく、これが本格的な上昇のサインであるかどうかは議論の余地があります。
むしろ、トレンドライン上抜けが利確売りを呼ぶことも珍しくないため、市場の一部では、トレンドライン近辺での豪ドル円急反落を警戒する声も聞かれています。
とはいえ、この利確売りの流れが一巡してしまえば、トレンドライン付近の押し目売り圧力が解消されたこととなり、その後は本格上昇へ突入する可能性も強まると言えます。
さらにそうした局面で銅価格が堅調な推移を示すなどすれば、豪ドル円は比較強い上昇トレンド入りも期待できそうです。
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2021年の豪ドル高値メドと安値メド
さて、2021年を長期目線で見た場合、豪ドル円の高値メドと安値メドは、次のようになります。
高値メド: 88円付近(その上は100円付近)
安値メド: 72円付近(その下は60円付近)
高値メドは88円付近と100円付近
ここ数年の長期チャートを見てみると、豪ドル円は2017年ころに下落トレンドラインにタッチし、その後2019年頭まで、88円付近を天井としたレンジ相場を形成しています。この88円付近が、ひとまずの高値メドと言えます。
もし88円の水準を上抜けることになれば、その次の高値メドは、下落トレンドラインの起点となる2015年高値の100円付近が意識されそうです。
安値メドは72円付近と60円付近
一方安値メドとしては、2010年ころからローソク下ヒゲ先端でサポートとなることの多い、72円付近の水準が意識されます。
その次の安値メドとしては、昨年のコロナショックの際につけた安値の60円付近が意識されそうです。とはいえ、次に60円を割るときは、コロナショック時安値(59.9)に続き二度目の60円割れとなり、下落に歯止めがかからなくなる「底割れ展開」も警戒されるでしょう。
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まとめ:強気トレンドも豪中関係など警戒を
近年で見ると、2017年以降は下落傾向であった豪ドル円ですが、2020年初頭のコロナショック後にはV字回復を果たし、以降はほぼ一貫して上昇トレンドが継続。次の高値メドは2018年1月の水準である88円となります。
ファンダメンタルズ的には、銅価格の上昇が豪ドル円の追い風になるほか、経済的なつながりの深い中国経済の回復傾向も、豪ドル円上昇の支えとなりそうです。
ただ、コロナ問題をめぐって豪中関係はやや冷え込んでおり、こちらの見通し改善が果たされない場合は、豪ドル円の重荷となります。報道によっては、2014年から継続していた下落トレンドライン近辺で利確売りが膨らみ、短期的~中期的に押し戻される可能性も警戒されます。
2021年の豪ドル円は、こうした材料と関連しつつ、上昇トレンドがどこまで続くのか、と言う点にまず注目したいところです。
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